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第201話【ガルーシャ大洞窟の番人・ゴーレムケンタウロス】



ガルーシャ大洞窟の地下はゴーレム製造工場として稼働しており、各パーツ事に製造されて一定の場所で組み立てられていた。

 

  黄金の狂戦士ゴールデン・バーサーカーやマシンゴーレムといった変異種がこの場所で量産されている。

 

「エレーナ、鞭で足首を狙って足止めをお願い。メルディアは鎧の隙間に水の槍を撃ち込んで動きを封じ込めてくれる?」

 

「了解だ!!」

 

「はいはい。わかったで~ 」

 

 リリスが的確に指示を出してエレーナとメルディアが忠実にそれを実行する。

 

 理想的な前衛の冒険者リーダーの指示を出すリリスをドラッグとベラドーナは高く評価していた。

 

 敵を制圧すると、リリスはルイの元に近づき回復魔法を掛けるように手を握って見せた。

 

「次は回復の訓練ね。ルイちゃんは王女様になるけど聖女としての役割りもしないといけないんでしょ?」

 

「で、ですが、サキュバスや魔族には回復魔法は苦痛になるのでは?」

 

「今はリザーナの身体だから問題ないわ。少なくともバルバゴールドの豪炎を防げる結界とか出せるレベルにならないと今後はキツいかもしれないわよ?」

 

 影と火炎の支配者と恐れられている大魔族相手となると聖女としての力が必要になってくるらしいが、マリアンヌもいるのだから大丈夫なのではないかとリリスに訊ねた。

 

 マリアンヌは既に下級神であり、聖女としての力は失われてしまっている。唯一残っているのは癒しの力のみであることも見抜いていた。



 そして、影と火炎の支配者・バルバゴールド以外にも厄介な存在いるとリリスは見ている。黄金の狂戦士ゴールデン・バーサーカーも機械兵も元は腐っても勇者の魂のである事には違いないが余りにも杜撰な造りをしており『本気』で魔王同士の抗争に参加させるには力不足すぎるというのだ。

 

 何よりもリリスが気にいらないと思っているのは真の勇者になりきれなかった魂がこの地いる事が気に食わない様子だ。

 

「そろそろ雑魚勇者の魂を使った傀儡相手は飽きてきたわ」

 

「これで雑魚勇者なのか?」

 

「少なくとも本物の真の勇者なら死後、こんな場所で魔族に利用されない。利用されてるのは偽物ね」

 

『勇者に偽物とか本物とか見分け着くのか?』

 

 リリスは真の勇者であればこのような場所に堕ちる事はないと言い切った。何よりもそれは神であるディオスが一番理解している筈だという。

 

 早い話が神が加担して力を授けたり、選ばれた真の勇者しか抜けない聖剣ごときで真の魔王に勝てる保証などない。

 

 真に選ばれた勇者とは存在そのものである。真の魔王を倒せるのは真の勇者と同じ力を持つ魔王のみ。

 

 対等な関係であるからこそ理解できることもある。



すると、神殿らしい場所というべきだろうか、巨大なケンタウロスの姿をした黄金の狂戦士ゴールデン・バーサーカーが両手に剣を構えて佇んでいるのが見えた。

 

リリスは自分以外は近づかないよう伝えると翼を出し加速の勢いを利用して戦斧を振り下ろす。

 

だが、巨大な剣でそれを防いだ。そして、気だるそうな声を出して動き始めたのだ。

 

『何だぁ? 侵入者にしちゃあ、強ぇ魔族だなぁ?バルバゴールド様の客かぁ?』

 

「いえ、私はリリス。バルバゴールドの力を奪いにきたのよ?」

 

 戦斧を構え直して名乗り直すとケンタウロスは豪快に笑い始めた。魔王の中で唯一人間と友好的になり、人間に裏切られ滅ぼされた魔王の恥晒しと嘲笑った。

 

 初めて聴いた事に戸惑いながらリリスに声を掛けようとしたが、集中して戦いなさいと一喝されてしまっては黙るしかないが、リザーナの声で怒られるとどうにも違和感がある。



ケンタウロスは肩から腕を出すと両手には巨大なクロスボウが装備されていた。

 

 だが、感じの弓矢が装備されている物だけである事に違和感を感じた。リリスは魔力を練り上げて強度の高い鎧と籠手。ブーツを作り出した。


  あの矢は魔力で幾つでも産み出すことが出きるものであり、油断せずに魔力を練り上げて強度を保ってとリリスが指示を出すのだが、違和感しかない。

 

『リザーナの声で真面目なこというの辞めてくれ。背筋がゾワゾワする』

 

『・・・リザーナなら取りあえず魔力を上げて頑張って取りあえず支えてと指示なしですがそちらが好みで?マゾなのですか?』

 

『辞めろ!!中身はリリス何だが、何かリザーナを知ってるからこそ違和感しかねぇんだよ!?』

 

『仕方ないでしょ?リザーナの身体何だからね』

 

 リリスは呆れた様子でクロスボウから放たれる巨大な矢を戦斧で捌きながら会話をする程余裕を見せた。


戦斧を巧みに操り戦うさまは歴戦の女戦士のようであり、リザーナにはとてもみえない。

 

 すると、ケンタウロスは高笑いし始めた。

 

『やっぱり戦いは楽でいいなぁ。ただ目の前の敵をぶっ殺せばいい単純な仕事だからなぁ』

 

「仮にも世界を救った勇者がいう台詞かしら?」

 

『ハッ!んなもん救った所で何もならなかった。魔王がいなきゃ勇者はただの『化物扱い』。戦場で護ってきた筈の人間を殺し領土を奪う駒として扱われ統治された頃にはお役御免で民衆から軽蔑の眼差しを向けられた。過去の仲間達にもだ。勇者を受けたが故に苦痛だっただから王族や俺様を利用したやつらをぶっ殺して奪い返してもらっただけの事だ!!」

 

 このケンタウロスは所謂、さまざまな勇者が経験した過去から滲み出る憎悪そのものを力として活動しているのだろう。

 

 魔王を倒した後勇者の扱い方は悪くいってしまえば用済みの道具のような扱いだ。その扱いに不満を溜めて最悪の結果を招いた者が偽物の勇者なのだろう。


戦う力はあるが、それを正しく使い人々を導く事が出来ず、権力者に派閥争いに悪用されそれに鬱憤を溜めて王族を皆殺しにして民に高い税を取り立てて今までの苦労を形として労わせようとした者達が落ちぶれた勇者なのだろう。

 


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