第197話【神殿迷宮攻略前の休息とリリスとの混浴(2)】
リザーナの身体を借りてまで俺と話したいというリリスはリザーナとはまるで違う妖艶な笑みを浮かべてきた。
警戒していると、リリスは湯から片腕を上げると指をパチンッと鳴らす。
「流石にメルディアとディオスに聴かれるのはまだ早いからねぇ。ミックスだけには話しておかないとね。今のアンタ達じゃこのガルーシャ大洞窟は攻略できない」
「攻略ができないか。このメンバーでも勝てないって確証があるからいってるのか?」
「話が早くて助かるわ。ここの神殿で作られてる機械兵や黄金の甲冑は倒せるでしょうけどね。地下で造られる武器が厄介なのよ」
「地下で造られてる武器だと?」
「そうそう。ここはベリアルの軍事工場で異世界の兵器を取り込んだゴーレムやそれを使うリビング・アーマー系の魔物がいる。その魂が厄介な存在である勇者だからね」
この神殿はリリスの力であるモンスターウェポンの研究を永年続けている場所であるというのだ。サキュバスと吸血鬼の混合種であるリリスの一族しか使うことはできない。
だが、たった一つだけ可能性する方法が存在した。
異世界から呼び寄せた身体と魂を持つ転移者の『勇者』の魂をモンスターウェポンの代わりにする事が可能性だと魔族に知られてしまったからだ。
この世界以外にも異世界がある事を知っているのは異世界人・神・そして魔族である。
そして、魔族同様に封じられた魂がある場所『魔界』とは別に神から力を得たにも関わらずその力を悪用した勇者の魂を封じている場所である『表と裏の世界』の存在を知り見つけてここでその魂を利用して造られている。
その事は理解しているつもりだったが、異世界の魔王を倒せる力を持つ武器を持つリビング・アーマーの大群に勝てるのかと訊ねられた。
性根が腐っていても異世界の魔王を倒した勇者あることに違いはない。転生者は黄金の甲冑や機械兵となり、より落ちぶれた悪の魂を持つ勇者には黄金の狂戦士となり、転移者の力を持つ武器を扱ってくるというのだ。
平和な世界に『勇者』は必要ないといわれるように結局はその場しのぎの仮初めの勇者として選ばれたり呼び出されて民衆から讃えられた過去の栄光にすがり続ける哀れな人の有り様だとリリスは嘲笑った。
「んで、俺に何を求めてるんだ? そんな事をいう為にわざわざリザーナと入れ替わったってんなら殴るぞ?」
「まぁ、貴方にシルヴァノの様な紳士的な態度は求めておりません。吸血鬼の王であった彼よりも貴方は強い。ただ、リザーナではまだモンスターウェポンの力を使いこなすのはまだ早い」
「だからどうしろっていうんだ?俺はリザーナの使い魔だ。簡単に主変えるつもりはないぞ」
「そこは大丈夫よ。リザーナの身体を使ってモンスターウェポンの戦い方を二人に教えるつもりよ? 私もアステリオスと同じで外から貴方達を見てた方が興味深いもの。 ただもっと強くなって貰わないとベリアル達には到底叶わないわよ?」
リリスは身体を伸ばして客観的に見てもリザーナの戦闘能力の低さをカバーできる力をリリス自身でも補う事は困難だと判断し、武器になる俺に話をお持ち掛けてきた。
理由は単純にモンスターウェポンとしての役割りを完璧にこなしてリザーナを更に強化するためだという。
少なくともリリス自身もリザーナの事を気に入っている為にここで殺させる事は避けたいと考えていた。
ならば、単刀直入に訊ねようと思い、わざわざこんな手間を掛けてまで二人で話したかったのか尋ねる。
「んー、ハイエルフになって少しはスタイル良くなってるんだけどねぇ~ 全然欲情しないのね?さっきからサキュバスのフェロモン出してるのに・・・」
「身体はリザーナだぞ? 成長したかもしれんがリザーナだからな?」
「まぁ、サキュバスは精気を力に変えるんだけど、リザーナの場合は吸血鬼のやり方のがいいかもしれないから貴方の血を飲ませて欲しいのよ?」
「俺の血だと?」
リザーナが使っているリリスのモンスターウェポンの力は本の一部である事と全ての魔力量を俺が負担している事を指摘した。
このままでは神殿の機械兵やゴーレム達には勝つことは困難であるために『混血』という魔力共存を方法をするというのだ。
本来、ハイエルフは体内に膨大な魔力を持つ種族であるがリザーナは呪いによって魔法とモンスターウェポン以外の武器を扱う事ができない身体となっている状態であると教えられた。
そもそもサキュバスの先祖はエルフやハイエルフが【性欲】に堕落し、誕生した為にエルフ族であるリザーナはそれに当てはまってしまった為にリリスの呪いを力をとして使いこなすことができるという。
元々、性欲に溺れたエルフの姿として語られているらしいが、リザーナが欲深い性格なのは知っているが他のエルフの事を余り知らない為に本当かどうかはメルディアに訊ねれば良いだろう。
考えていると、リリスは口を開けて牙を見せてくると、首筋を舐め始めてそこにかぶりつき始めた。
「荒々しい血ね。結構好みの味かも」
「まさか、この為に風呂に?」
「流石に汚い獣の血を吸う性癖はないの。ただ清潔にしてから噛みつきたかっただけよ?」
リザーナの顔で妖艶な笑みを浮かべるリリスは湯船から上がると、指を鳴らしてバスローブを作り出して着た。
すると、さっさと上がるように指示してきた。
単純に一回血を吸っただけでは足りないために夜通しで血を吸うと舌の先で指先を舐めて妖艶な目付きでこちらを見てきたが、無邪気な笑みのリザーナに慣れていた為にグレたリザーナの将来を見ているようでため息が出てしまった。
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