第192話【ガルーシャ大洞窟内の製造場】
メルディアが拡げた図面にはあの新田内部の設計図が書かれていた。かなり複雑な構造になっているが中央の魔道ボイラーを中心に機械兵や黄金の甲冑が製造され地下からエレベーターであげられているようだ。
他の異世界の技術を利用して生物兵器を量産しているのだ。かなり数を造ってるみたいだが、それだけ需要があるのだろうとドラッグはいう。
少なくともこっちの人を媒体にしてる方は帝国の軍事には需要はある為に魔族がアドディア帝国がどこまで繋がってるのか知らないが軍事国家である為に軍力になるモノは欲しいだろうと考えているそうだ。
ドラッグはレオーネに「戦場で見たことないか」と訊ねたが、首を横に振った。
「俺は戦場には赴いていない。少なくともこの機械兵相手なら負けても納得だがな」
「けど、 アドディア帝国って北の大国なんだろ?こっからどうやって持ってくんだ?」
エレーナが気になった問題は魔族なら簡単に解決できるだろう。
魔族が絡んでるなら圧縮転移魔法陣盤と同じ原理で移動はさせる事など造作もない事だ。
おそらくはここを護る機械兵とアドディア帝国に送られる機械兵は分けられている。少なくとも魔道ボイラーの動力源になっているだろうダンジョンボスの場所までたどり着けなれば製造を止めることは不可能だ。
この神殿製造所はダンジョンボスと迷宮の魔力で稼働している。
つまりはガルーシャ大洞窟の活動そのものを停止される必要があるのだ。
ドラッグとベラドーラは難しい顔をして熟考しながら相談する。
「迷宮の魔核の停止か。ミックス、それって可能なのか?」
「出来るには出来るだろうが少し難しいかもしれん。ここまで異世界の知識を蓄えた迷宮を停止させるだけでかなり手間が掛かる。仮に止めたとしてもだ。あの魔族が別のヤツをダンジョンボスにして稼働させる可能性もあり得るぞ?迷宮の魔核その物を壊す必要があるな」
「と、なるとダンジョンボスの『マンティコア』を倒してから迷宮の魔核探すしかねぇか?」
「可能性が一番ありそうだが、多分別の場所にあると思うぞ? 迷宮内の土や岩とか溶かして無理矢理『魔鉄』を製造してるんだろうな。魔道ボイラーを動かすエネルギー源には迷宮の魔核の魔力が一番いいだろう」
経験からいえば、迷宮の魔核の魔力を使用して製造過程を覚えさせれば良い。
仮に魔道ボイラーが破壊されても迷宮の魔核が記憶していればその通りに作り直すことができる。倒されたダンジョン産の魔物や魔獣が勝手に戻るのはそれが理由である。
問題なのは機械兵も黄金の甲冑も2メートルほどしかない為にリザーナがリリスの力で戦い続けなければならないということだ。
「戦闘慣れさせるのにはいいかも知れんが、メルディアとエレーナに助けて貰えない場合もあるからな」
「大丈夫大丈夫!ミックスが武器だしなんとかしてくれるでしょ?」
「リザーナはん、ダンジョンボスのマンティコアは狡猾な魔獣やで? 何してくるかわからんから心配なんや」
「圧縮転移魔法陣盤の板を首飾りにして魔道具として使えば離ればなれになっても集まることできないの?」
確かにメルディアが作った圧縮転移魔法陣盤を首飾りとして持っていれば集まることは可能だが、問題は誰を『集合場所』にするかだ。
圧縮転移魔法陣盤はお互いに設置してある魔法陣を行き来出るものである為にどちらかが行き先にならなくてはならない。
すると、リザーナはルイをポイントに集まった方がいいと言い始めたのだ。
「マンティコアって若い女の肉が好物?なんだよね?なら、ルイちゃんが一番危ないからルイちゃんの元に集めるでいいんじゃない?」
「っつっても作れるのミックスだけだろ?鍛冶スキル持ってるのミックスだけだし、魔法付与はメルディアもできるが・・・」
「人数分なら2日あれば作れるからその間に資料とか内部構造を調べるとかするグループと別れるか?」
「ここ拠点にして圧縮転移魔法陣盤繋ぎ直せば中でも戻ってこれるからな~」
クロニアス王国の迷宮とは違い手付かずの場所はおそらくは魔族が異世界からの知識や物資、人などを集めるのに利用されているのだろう。
少なくとも兵器開発までして軍事力をあげているのであれば下手をすればレッドクリムゾンや巨人族よりも厄介な存在になるかもしれない。
もしかしたらラビュリンティスにいる【破壊の邪竜】レッドクリムゾンと【復讐者の巨人】オルガ率いる巨人の戦士達に【魔界皇帝】ベリアルは接触しようとしている可能性もある。
もしも、巨人に合う武器を製造されたら厄介な存在になり得るし、レッドクリムゾンの配下である飛竜を何らかの形で使われたら被害は拡大してしまうだろう。
魔族達が何を企んでいるのか調べる必要はある。
すると、突如として魔法陣が現れ警戒するとそこには見知らぬ男と女の姿があった。メルディアが「マリアンヌ!?」と声をあげた為にもう一人の男性が薬神ディオスであるとわかったのであった。
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