第170話【ゴブリン達から教えて貰った】
ゴブリン達は冒険者や街や村の男衆が入れない区域に案内してくれて匿ってくれることになった。無関係な他国の魔物使いであるリザーナに迷惑は掛けたくないといってくれ自分達の集落に案内してくれた。
警戒はしていたがゴブリンは特に武器などは持っておらず普通の人間と変わらない暮らしをしている様子だ。
そこの集落の村長のゴブリンは連れてきたゴブリンらに見張りをするように指示を出してくれた。
なんでもこの時期はより強い魔物や魔獣をどの村や街も求める為に多くの死者がでるのは毎年の事であるというのだ。
大昔は山岳地帯を棲みかに村や街を襲っていたが異世界から召喚された勇者に強制懐柔されてから農作業や漁業、運搬に商売など様々な事を教えられてきたらしい。ゴブリンの寿命は20~30年程であるが、グランディア王国では不衛生な生活や食生活が改善された為か60まで生きるゴブリンが増えてきているというのだ。
今ではグランディア王国の人間の人口よりも数が多いが纏まってグランディア王国に牙を向けるつもりはないらしい。
メルディアは何故そう思うのか訊ねるとゴブリンは魔物や魔獣の中でも最弱であり他の生物から命を狙われる危険がないからだと話す。
「希にホブゴブリンやゴブリンチャンピオンになるものもいますが、基本的に希少種はグランディア王国で働いています。他の人間よりも体格も優れてますから色々と手伝わされることが多いので」
「またに奴隷堕ちした女のおこぼれは貰っとんやろ?」
「それは大昔に無くなりましたね。ゴブリンガールや成長したゴブリンマドンナという同種との繁殖のが長生きてするから。ただ、その、言い難いのですが・・・。そういった奴隷堕ちした者もその後はどうなるのかはわかりません」
「どういう事や?奴隷堕ちになったら酷いことになるんや無かったんか?」
寧ろ今は負けた女を奴隷として持つ者が多く例え負けても鍛えて勝てばそれなりの地位は手に入れる事はできるというのだ。例えば初めての儀式で負けたとしても買い手によっては待遇のいい場合があり、その者と結ばれる事もある事も珍しくはない。
逆に一番最悪なのは奴隷を多く持っている貴族や王族に買われてしまいその中でも負け続ければ娼館に売られてしまうというのだ。
寧ろ、娼館が買い取ってしまえばそのチャンスはなく、娼婦として一生を終えるか男に惚れられて買われる事もあるというのだ。
一番過酷なのは他国の奴隷剣闘士であるという。
「知っての通り奴隷剣闘士は魔物や魔獣と闘わされます。この国には今、他国の王女様が捕らえられておりましてその王女様を助けるために戦う獣人の剣闘士がおりまして・・・」
「獣人の剣闘士?」
「はい。最近北のアドディア帝国が近隣王国を滅ぼしまして・・・」
「待って!!それってジーニアス王国のルイ王女とレオーネじゃないよね!?嘘でしょ!?ミックス、メルディア、私、助けに行きたい!!ルイちゃんと友だちなの!それにジーニアス王国の信仰女神って【癒しの女神】・ティア様だよ!?【戦いの女神】・アテナ様と全然違うしヤバイよ!?」
珍しくリザーナが慌てているが事情がよく解らずにメルディアを見ると薬神・ディオスがいっていたことがわかったというのだ。このグランディア王国は【戦いの女神】・アテナを讃えている。だが、【戦いの女神】・アテナは女部族・アマゾネスの女神であり他国の大半は【癒しの女神】・ティアを信仰している。
【戦いの女神】・アテナは武勇を讃えてその栄光の元により素晴らしき子が授けると伝えられており、【癒しの女神】・ティアは他者を労い共に歩み悪しき者と戦う心の強さの元に勇敢なる子が授けると教えられている。
今の話を聞く限りだと闘わされている少女らは女神・アテナ派とティア派に別れていることになる。そういった宗教的教えの違いは争いに発展するがこの場合はグランディア王国の儀式の闘いによって勝敗が決まりどちらの教えてが正しいのか【武力】によって解決する事になっている。
つまりは半アテナ派と反ティア派の派閥争いが起こりそれによりグランディア王国には大きな利益が発生することになる。
更にそこにジーニアス王国でも有名な獅子の獣人・レオーネがルイ王女の奪還の為にコロシアムで魔物や魔獣を倒せばそれだけ利益が発生する。
街や村の者らはレオーネを倒せる魔物や魔獣を捕まえて闘わせて勝つことで莫大な利益を得ることができるためにレオーネに勝てる魔物や魔獣を血眼になって探してる為に俺達を捕らえようとているのだという。すると、エレーナがゴブリンらに訊ねた。
「仮にそのルイ王女とレオーネを助けるにはどうすればいいんだ?」
「実例は無いですが奴隷剣闘士と引き取り手の中から1名がタックを組んでトビアス王子が強制懐柔した魔物や魔獣を全て倒せれば貰い受ける事はできる筈です。ただ過去にも何度かありましたがその・・・」
実現した者はいないと申し訳無さそうにいった。リザーナはルイ王女とは故郷の樹海と近くレオーネとも面識があるというのだ。その為に助けたいと申し出るがメルディアは悩んでいた。
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