第169話【グランディア王国のゴブリン達】
人の街に出てきてこれ程毎日が憂鬱な日々はそうはないだろう。人からの物珍しさの視線はなれてきたいたが獲物として見られるのは地上に出てから久しぶりであった。
初めて街に行った時にダリル伯爵の護衛の一人をぶっ飛ばした事があったがグランディア王国領土内に入ってからは常に狙われている状況だ。
エレーナも痺れを切らせて鞭で攻撃してしまったが、諦めが悪い連中が多いのがよく現れる。
何故かは知らないが必死な連中も多い気がするがこちらもそちらの勝手な都合で捕まる訳にも行かないし、コロシアムで見世物になるつもりなどない。
何よりも飯時にも襲撃に来る為にいい加減腹も立ってきていたところだ。焼きおにぎりしか喰えなかった事で三人ともご立腹で八つ当たり気味で倒してしまった。
人間は相手にも容赦しない辺りはまだ魔物としての本能が残っているのだろうがメルディアは元は人間である筈なのに人を殺める事に迷いが感じない。
「にしてもコイツら殺しにはきてねぇよな?」
「そりゃただの魔獣討伐よりも難易度高いからな~」
確かに普通の冒険者ならば魔物や魔獣は討伐依頼で棲むがこのグランディア王国では魔物や魔獣を『生きたまま』捕獲するのがこの国では『常識』のようだ。
ある程度弱らせたら薬や腐りなどで封じ込めて檻の中に入れてしまえばあとは魔法の結界や魔物使いの強制懐柔で従わせるだけでいいだけという話である。
それにラビュリンティスのミノタウロスの伝説は至るところで広がっており話題作りの為に貧しい村か街の住人が冒険者ギルドに頼ったのだろうとメルディアは呆れたような話す。
広大な草原地帯でこうも冒険者に足止めされてはグランディア王国に到着するのにどれ程時間が掛かるのだろうとため息がでてしまった。
すると、草影に気配を感じて視線を送ると、ゴブリン達がやってきたのだ。この辺りは草原地帯でも大型の魔物や魔獣が住み着いている為に冒険者や街や村の男衆が集まってくる為に危険な場所であると教えてくれた。
何故そのような事を教えてくれるか訊ねてみると、ゴブリン達もグランディア王国に強制懐柔で働かされる様になり様々な考え方を持つようになったというのだ。
特に雌のゴブリンが産まれてゴブリンが街の運営を任されているこのグランディア王国の食糧や働き手の大半はゴブリンが締めている状況である。
グランディア王国出身の人間は自分達と立場が逆転してしまった事に気付いておらず愚かだと考えているゴブリンもいるというのだ。
元々ゴブリンは高い繁殖力がその反面数が増えても略奪しか生きる術しか知らなかった。だが、人間から知識を貰って今の生活がある。
すると、一匹のゴブリンがこう教えてくれたのだ。
「ここの人間は自分達が人の暮らしを放棄している事に気付いていない。危険を犯して魔物や魔獣を生け捕りにするよりこちらのが安全で飯も食える。だけど、彼らはそれがどれ程愚かな事なのか気づかないだ」
グランディア王国のゴブリンは知性が発達している為か農作物や家作り等もできる為に今のグランディア王国の働き手はゴブリンと奴隷堕ちした少女。それと他国からきた奴隷剣闘士のみだというのだ。
しかも他国からの貴族もこの国のゴブリンが働く事で自国の民に娯楽を提供しようと考えている国もあるというのだ。そして、グランディア王国に向かっている事をわかってるためにいくつか注意点を教えてくれたのだ。
「グランディア王国に向かうなら『トビアス王子』と『アルムニス大司祭』には気をつけろ。あんたらに高い報酬金を掛けてるのはそいつだ」
「強制懐柔でこの辺りの強力魔獣達を従えてる。他の魔物使いも王子には勝てない」
「けど、お前らは王子が強制懐柔で従えてる魔物や魔獣よりも強い。だから皆金のために狙ってんだ」
「なるほどな。この辺りの魔物や魔獣じゃそのトビアスって野郎に勝てねぇからワタシらを狙ってるって話か?」
ゴブリン達がいうトビアスという王子には心当たりはないがアルムニスという名前には心当たりがある。
確かドラッグと同じ薬剤師でありながら回復薬の正しい作り方を教えずに不老不死になれるという伝説の薬・【エリクサー】の材料を集めているというヤツだ。だが、材料の一つである亀石を持っていないために狙われる理由がない。
すると、ゴブリン達から教えられた亀石の持つ長命種になれる力をミノタウロスの角にはあるという伝説がこの国には存在するというのだ。
リザーナが角を掴んでいるが、そう簡単に折れる角ではない。だが、ゴブリンはラビュリンティスが造られた場所はかつて暴君・ミノタウロスが倒した島亀という巨大な海亀の死体で出来た場所に作られその力を角にためられるいうという伝承があるというのだ。
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