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第165話【マリーナシティ出港】



  2日後、ブルンネの港町行きの船に乗る為に港に来ていた。あれからトレーラーハウス作りでマリーナシティの大工などにも教授して色々と大変ではあったが何とか出港前に完成することができた。一応ガスパールがブルンネの冒険者ギルドとグランディア王国の冒険者ギルドには通達したらしいが期待はしない方が良いといっていた。

 

 少なくとも黒い噂があり、訳ありな冒険者が多く在籍している為に普の冒険者ギルドよりも荒くれ者が多いというのだ。特に問題行動を起こしてよその国から来る冒険者は多いというのだ。

 

 だが、ブルンネの港町やその周辺の街や村は近くに出現する魔物や魔獣を素早く対処してくれる為にそうは思っていないというのだ。理由を訊ねても話せないというのだ。それはメルディアもそうであった。

 

 理由は解らないが少なくとも女神に関係しているのはわかっている。子どもらから訊いた話によると【癒しの女神】・ティアと【戦いの女神】・アテナの神話によって成り立っている地方だというのだ。

 

  詳しくは解らないが女神のかごを受けたか何らかの仕来たりを悪用している可能性がある。あの薬神・ディオスが滅ぼしてもいいというぐらいだ。何かあるのだろう。

 

 「ミックス!みてみて!何か跳ねてる!!」

 

「おお!船って初めて乗ったけど結構揺れるな!」

 

 リザーナとエレーナに関してはそんな事はどうでもいいのだろう。少なくとも魔物の癖に変な所で人間性がある自分が異常なのだろう。前の記憶などはなくアステリオスから『異世界の食』だけが思い出させて貰った。

 

 だが、ブルンネからはこれまで以上にリザーナとエレーナから目を離す訳には行かない。少なくともエルフの冒険者は貴重で蛇身(ラミア)も珍しい魔物であるからだ。

 

 それはメルディアも自分も同じであるが少なくとも並大抵の人間にそう簡単には倒されるとは思えない。あのドラッグでさえまともにやり合わなくても戦いたくないといわれてしまったからだ。

 

  とりあえずは自分達から離れなければ大丈夫だとは思うが色々と不気味な国に向かっているのは間違いない。

 すると、リザーナがブルンネについて訊ねてきた。

 

「ブルンネってどんな国なの?美味しい物あるの?」

 

「・・・あんま期待はしちゃあかん。後は何を見ても助けちゃあかんで?」

 

  メルディアの表情は強張ったものでありリザーナも不思議そうに見つめていた。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 一方で天界では薬神・ディオスが困惑した表情で会議に参加していた。グランディア王国の内情をしているために勝手に名前を使われている【癒しの女神】・ティアと【戦いの女神】・アテナが言い合いをしていたからだ。

 他の女神や神々が止めに入る様子をテーブルに頬杖をつきながら見守っていた。すると、そこにディオスの従者であるマリアンヌが姿を現した。

 

「ディオス様。ミックス様達がマリーナシティから・・・」

 

「ん。ありがとう。さて、どーするかな~?」

 

 「コレ!ディオス!!お主も二人を止めんか!」

 

 鍛冶神ガルスからそう言われ他の神々に視線を送るとディオスは鼻で笑った。その態度にアルテミスらは激昂したが元を辿れば原因は本人らの教えであり、その地方の伝承が色々と入り交じった結果である。

 

 はっきりいってしまえば人間から信仰されてその人間にいいように利用された哀れな女神にしか見えないのだ。ここで本人らが言い合った所で何の解決にならない。

 何故ならば互いに信じているものが違うからだ。女神の教えは女神によって違いどちらが正しいなどない。

 

「少なくとも大昔からあの風習はあったし、今更ティアとアテナが言い合った所で何も変わらねぇよ。無意味な事にオレは協力しねぇよ?」

 

「そんな!無意味な事などありませんよ!?」

 

「そうだぞ!! 我々を信仰してくれてる者が・・・」

 

「結果としてそれで苦しめてるなら意味がねぇだろ?」

 

 はっきりと返答に簡単に黙ってしまった。所詮神の教えなんて人を騙すのに使える。要は権力者にいいように利用されただけの話であるのだ。今更それぞれの思想について話し合うだけ無駄な事だろう。

 

 それでグランディア王国は巨額の富を得ている。二人は所詮は表だって使える便利な女神程度なのだ。椅子から立ち上がりゆっくりと二人に詰め寄る。

 

「オレは他の神とは違って優しくネェよ。お前らはいいように利用されてる女神に過ぎねぇんだよ。信仰してても騙されりゃ結局苦しめる事になってるだろ?」

 

「そ、それはそうですが、グランディア王国のやり方は・・・」

 

「そうだぞ!!ワタシを信仰するアマゾネスの文化を愚弄する行いでもあるのだぞ!?」

 

「バカじゃねぇのか?お前らがここで揉めた所で地上には何の影響もない。結局信者を救えねぇなら意味がねぇだろって話してんだよ。頭冷やせ。オレよりも早くに神になってんのにバカみてぇなことに付き合わせるな」

 

 溜め息をついてそう伝えると他の神々もなんともいえない表情をしていた。少なくとも信仰する信者がいても直接的に救えなきゃ意味がない。地上に神の使いである聖女がいれば話は別だろうがそれも今となっては使い物にならない代物だ。ティアの使いであったマリアンヌがこの場にいることが何よりの証拠だろう。今、薬神・ディオスが心配しているのはグランディア王国に向かってるミックスらを事だけである。

 

 


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