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第160話【アステリオスの過去】


アステリオスは自らの過去について話し始めた。父である大昔にこの大陸を納めてた王である男、アステリオスにとっての父親が神々が儀式の生け贄の為に与えられた雄牛の美しさに魅了され、別の牛を生け贄に出した事で神々の怒りを買ってしまった。


その代償は王の女、アステリオスの母親がその雄牛に欲情する呪いにより誕生したのが自分であるとリザーナに話し始めた。


前にそれは聞いていた為に差ほど驚く事はなかったが、次にアステリオスは産まれて暫くの間の事を語り始めたのだ。


父である王の【欲】の為に人間の母と牛の父を持つ混血の存在として産まれた事で迷宮(ダンジョン)に閉じ込められたのでないというのだ。


アステリオスは雄牛の様に幼いながらも逞しい身体つきに成長し、知識欲も旺盛だったという。その為に軍略や武具の製造などありとあらゆる手段を使い父である王が納める国の為に尽力していた。


”自分という異常な容姿を持って産まれた為に忌み嫌われる存在を認めてもらいたかった„


父である王が神々から怒りを買った為に周りとはまるで違った異質な存在に産まれてしまった事で父や母の為に役立つ事を使命だと当時は思っていたらしい。アステリオスが産まれた頃は魔物や魔獣はおらず、他国との人間同士の領土争いが繰り広げられていた。


当時はアステリオスのような巨体な人間もいたが、産まれ持っていた怪力と己の血を混ぜて作った戦斧(バトル・アックス)を扱う剛腕と戦闘スキルを持ち、大軍を率いる統率力と軍略知識を覚え領土の拡大に大いに貢献した筈であった。


だが、アステリオスは王にはなれなかった。


何故ならば、王には側室が何人もおり、その中から産まれた義理の弟が若くして王に就任した。当然の事だろう怪物が納める国にしたいという人間はいない。


義弟の名前は忘れてしまったらしいが、若くして王になった時には王国の危機に直面していた。義弟の為に戦略と戦闘の知識を貸し、自らが前線に立った戦術は奇跡的な勝利をもたらし、敵国は降伏させる事に成功した。


しかし、その結果が良すぎたのだ。義弟の妬みと嫉妬心によってアステリオスは信じられない罪を着せられることになり迷宮(ダンジョン)に閉じ込められる事になってしまった。


何故そうなったのか訊ねてきたが、二人とも答える事が出来なかった。


理由は至極単純な嫉妬だった。義弟は今回の活躍を目の辺りにして自分の王位を脅かす存在だったと思い込んだのだ。当然アステリオスは無実を訴え続けた。


だが、王子の影響力は強く、判決は変わる事はなく、大迷宮・ラビュリンティスに閉じ込められる事になった。最後の瞬間まで、アステリオスは真実を訴え続けたが、義弟の陰謀を暴き出す事は出来なかった。


自分が異質な存在であるために恐れられた結果がこれであった。


義弟が大迷宮・ラビュリンティスに閉じ込めた理由は父である王が犯した罪を償う為に神々との約束であったと知ったのはそれから何十年という月日がたってからの事だったという。


大迷宮・ラビュリンティスには定期的に人間の幼子が迷い込んで来ていた。海に浮かぶ孤島に創られた大迷宮には幼子を養う為の食糧など存在しなかった。その為にラビュリンティスの至るところを戦斧(バトル・アックス)で叩き壊して何とか外に出させ様と尽力した。また一人また一人と幼子の命が失われていった。最初はしっかりと埋葬していたが、ある日迷い込んできた賢者というダークエルフに教えられたというのだ。


義弟は国を拡大し、帝国の王として地上に君臨しており、森に古くから暮らすエルフや山脈に暮らすドワーフを奴隷にしたり、税の払えない階級の低い身分の者をラビュリンティスに送り込んでいると伝えられたのだ。そのダークエルフの話しではラビュリンティスには粗暴で狂暴な怪物・ミノタウロスの怒りを静める為の生け贄といわれていたが、神々への生け贄の為に利用されていたのだ。


ここで無くなった魂を神々の生け贄に利用していた。


それに激怒すると、ダークエルフは力を貸すといい始めたのだ。それが魔物や魔獣を産み出す結果になったのはいうまでもない。


アステリオスは冷静な判断が出来ないほど頭に血が登っていた自らを鼻で嘲笑った。神々の生け贄にされ、この世に怨みを残した魂に新たな生命を与えた。飢餓で苦しんで無くなった幼子はゴブリン。大人はオークと姿を変えて生まれ変わり、魔物という存在が誕生した。

ゴブリンやオークには知識が無かったが自らが先頭に立ち軍勢を率いてラビュリンティスから脱出し、階級の高い人間と神々を巻き込んだ争いを引き起こした。


だが、巨人族同様に人間界から隔離される事になってしまったアステリオスの戦力の大半を占めていたオークが戦いから身を引いたからだ。


オークは森の民であるエルフに助けを求め、怪物・ミノタウロスは神々の力によって再びラビュリンティスに封じ込められた。そこからは大迷宮・ラビュリンティスの主として膨大な魔力で島の生き物を魔物や魔獣に変えて再び神々との戦いを挑む為に戦力を増やすために迷宮の拡大を続けた。


だが、ふっと復讐をしたとして自分がミノタウロスとして産まれてきた事は変えられないと気づいてしまった。


そこからは神々への憎悪の怒りも阿保らしくなり、大人しく迷宮の主として義弟や他国から奪った金貨を守護する怪物としての役割りを全うするようになったというのだ。



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