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第16話【 特訓と覚悟(1)】



エデンの街で唯一のB階級(ランク)のドラッグにミックスらはダリル伯爵から与えられた屋敷の中庭で猛特訓させられていたのだ。ドラッグの職業は稀有な【薬剤師】であるが、特殊な製造法で回復薬(ポーション)魔力回復薬(マナ・ポーション)などを製造できる上に病気などの薬作りもできるスキルを取得している為にどの国もドラッグを国に加えたいと狙っている人物である。


だが、スラム出身であり、気に入らない相手や国がどうなろうと知った事でないという思考を持っている為に危険人物でもあるのだ。

そんな人物に鍛えて貰えるのは滅多にないのだ。


特に蛇身(ラミア)のエレーナは人間相手にここまで苦戦するとは思ってもいなかったという顔を見せ、ドラッグを『師匠』といい鍛えて貰っているのだ。


実際にドラッグは短剣を使った戦闘が得意だと思っていたが、懐から煙管を出すとそれを武器の代わりにエレーナのサーベルとまともにやりあえているのだ。


喧嘩煙管という40センチ~50センチほどの鉄製ではあるが、国王に面会する際には武器を取り上げられてしまう為に『治療器具』として使用しているからだ。


エレーナが躍起になって両手のサーベルを振り回すがそれを難なく避けると煙管で軽く頭を叩いたのだ。


「大振りしすぎだな。それだと隙だらけになるだぞ? 相手の動きをよく見てろって」


「だぁぁぁ~!!!難しい話は無理だって!!! 」


魔物なんだから人間見たいにサーベル振り回すだけが武器じゃないと説明を始めたのだ。下半身の蛇の尻尾や移動手段だって使い方によっては立派な武器になり、ようはそれをどうやって使いこなすかが重要だと説明し、頭を撫でていた。一方で俺はひたすら魔力が空になった魔石に魔力を流し込むという地味な作業を端でフェローラとともに行っていた。


適材適所という事なのだろうか。 リザーナはガーベラに抱えられて何処かに連れ去られてしまった。 少なくともガーベラならリザーナに危害は加える事はないだろう。


余計な知識をつけて帰ってくる事だけは辞めてほしいが所ではあるがサキュバス相手ならあり得なくもないだろう。


「ん。ミックス。 もっと魔力を流すの集中して?」


「ん? あぁ、スマン。リザーナが心配でな? 余計な知識をつけて戻ってこないかと・・・」


「エッチな事? それはない。今ガーベラと一緒に狩りに向かってる。

リザーナは自己防衛出来る術が弱いから魔術や弓の熟練度をあげて貰ってる。全部ドラッグの指示」


ドラッグは全員の得意不得意な事を把握し、3人で分担して育成に取り組みを考えているというのだ。

少なくとも、【肉体強化】と【武装強化】ができ魔法が付与されいる【付属魔法印(エンチャント)】の武器である戦斧バトル・アックスを持っている自分には魔力を自在にコントロール出来る様になれば、土魔法も同時に使えるようになるというのだ。


そうすることでより強力な技を取得できる可能性があるからやっているだとフェローラは拗ねた顔をしながら教えてくれたのだ。


何故、拗ねた顔をするのか理由を尋ねるとドラッグとガーベラといる時間が減ってしまったからだというのだ。フェローラはエデンの街の裏にある森で産まれドラッグとガーベラと出会い3人でそれなりに楽しくやってきていていたからだ。


しかし、今のドラッグはそれとは別の意味で楽しそうにしている事に嫉妬していると頬を膨らませた。


だが、フェローラの頭をドラッグが乱暴に撫でにきたために後ろを振り向くと、エレーナが地べたにへたばった。


こちらの様子を見にきたタイミングで話した為に全て訊こえてしまったのだろう。


少なくともドラッグは空気中の微量な魔素を体内に溜め込んで魔力にする事が出来る体質の持ち主である為に生態系の変化により魔物が凶暴化する事で自分等の生活にも影響する可能性が高いと考えてミックスらを育てているというのだ。


ブロンテスを倒した力を目の当たりにした為にリザーナらは戦力として数えられる。


特にエデンの街にいる冒険者の最高階級(ランク)ではおそらく外にいる魔物退治の依頼でも困難なレベルに上がる可能性がある。


つまりはエデンの街を護る為にもこの街に強い魔物達が棲み着いていると警戒させる必要があるのだという。


「実際にあの大迷宮・ラビュリンティスのミノタウロスがここで強大な魔力を放ってくれたら街の防衛にもなるし、【肉体強化】と【武装強化】が出来るなら魔石の魔力を回復させる特訓で魔力を流し込む事をさせて外の魔物らの牽制効果もあるからだ 」


「じゃあ、リザーナは何を?何でガーベラと?ここでも弓の練習はできる筈・・・?」


フェローラのいう通りだ。 確かに弓の練習であればダリル伯爵から貰った屋敷の庭でも十分できる広さがある。


わざわざドラッグが暮らしている森に行かせる必要があるのか尋ねるとリザーナには冒険者として致命的な欠陥があるというのだ。


冒険者はいつも必ずしも仲間が護ってくれる状況下にあるとは限らない。 つまりは一人でも困難をある程度乗り越えられる本能的な強さが必要だというのだ。


だが、それならばリザーナを常に背負ったまま戦えばいいだけの話ではないだろうか? リザーナは魔物使い(テイマー)なのだから使い魔の俺達がしっかりと護ればいいだけの事である。


しかし、それではリザーナの功績ではなく伝説級の怪物として語り継がれているミノタウロスであるミックスの力のお陰だと陰口を言われるのが冒険者の世界である。


少なくともこれから先どんな事が起こるかわからない。リザーナにはガーベラが見守りながらも強くならなければいけないとドラッグはいうのだ。


だが、リザーナは普通のエルフじゃないんだよ。

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