第158話【海竜神・レヴィアタン】
黒長い髪と竜独特の角を生やした大人びた顔立ちをし、青いマーメイドドレスを身に纏った美女が海竜神・レヴィアタンであるとアルガーがいうと介抱されていたリーゼとマリーナは酒のせいで冷静な判断力を失っていた。
リーゼにとっては母親であるレヴィアタンであるが、この世界の三獣神の一角であるのは事実である。
すると、レヴィアタンはこちらに視線を向けてきた。指をパチンッと鳴らすとマリーナとリーゼは正気に戻った。マリーナは抱きつきている人物を見ると青ざめた表情を見せていたが、リーゼ母親の顔を知らない為にアルガーが「レヴィアタン様です」と跪いたまま教えてもらいじっと顔を見つめていた。
「貴女が私の母上の海竜神レヴィアタン・・・」
「満月の石が人魚の国に戻ってきた事とこの場にあのミノタウロスがいるから来てみれば何やら楽しげな宴を開いていたから参加させてもらった」
レヴィアタンの言葉におののいた人魚達も食べるのを辞めたが、リザーナとエレーナは食べ続くていた。二人は試練を受けるのは前々から決まっていた事で驚く必要はないし、折角来て貰ったなら食べながら話した方がいいというのだ。レヴィアタンもそのつもりで人魚の国に出向いたという為に料理をしながらレヴィアタンに『モンスターウェポン』について訊ねた。
「あぁ、モンスターウェポンは人と魔物が共存することで発動する魔武器のようなものだ。まぁ、リリスの力はヴァンパイアと相性が良かったが今回はあのミノタウロスとはなぁ・・」
「ちなみにだが、リザーナ以外にモンスターウェポンを使える奴はいるのか?」
そう訊ねると、モンスターウェポン自身は使い手こそ少ないが、ドワーフの一部では【人工的なモンスターウェポンの研究】をしている者もいるというのだ。それ以外にはレヴィアタンが知る限りでは知らないらしい。
そもそも、リリスのモンスターウェポンであったヴァンパイアの王でありそれなりに強さがあるしゅぞくであった。ヴァンパイアは女性の生き血を吸わなくては魔力が弱ってしまうという性質をもっているといたのメルディアから教えられた。
その為にリリスの生き血以外を吸わず、リリスもモンスターウェポンになったヴァンパイアの王以外とは接吻をして力を使うことはしなかったのだ。レヴィアタンはそれを不思議に感じて一度だけリリス本人に「他の者では駄目なのか?」と訊ねた事があるというのだ。
すると、互いの魔力を供給し共存をしあっていくうちにそれ以外では物足りなくなってしまったと本人達から直接聞いたというのだ。
「これが異世界の食べ物か。上手いな。あの暴君が身体を差し出してまで欲するのもわかる気はするな・・・」
「そういえば、レッドクリムゾンが復活した時に何故現れなかったんだ?」
答えは至極単純なものであった。レヴィアタンは今の天界の神々の使いではないというのだ。それは他の幻獣神達も同じである為に現れなかったそうだ。レヴィアタンはエルフの少女がリリスの呪いをアルテミスから受けてしまいまさか、モンスターウェポンになったのが大昔に暴れていたミノタウロスになるとは予想もしていなかったと笑った。
リリスの時にモンスターウェポンになったヴァンパイアの王の時よりも魔力量が増大する為に魔素を溜める魔核を育てる為には神に等しい幻獣神の魔力を体内に流し込み魔物のとしての格をあげる必要があるというのだ。
「薬神ディオスは若い神だが、創造神相手にも面と向かって己の思考を口に出すからな。次の創造神候補だろうな・・・」
「創造神候補・・・?どういう意味や?創造神は唯一無二の存在やないんか?」
「そんな訳なかろう。この世界の他の異世界の神々は常に不足しておる。実際に我らレヴィアタンも異世界には様々な形態として存在しておるのだぞ?まぁ、その都度人間やその世界から記憶を書き替えておるから知らぬのは当然の事だな・・・」
「んで、レヴィアタンの試練は何をすれぱいいんだよ?」
ある程度食べ終えたエレーナが試練について聞き始めた。確かにレヴィアタンの試練を受けるためにマリーナシティに訪れたのだ。すると、レヴィアタンは海底神殿にいる魔獣を倒せばレヴィアタンの加護の力を授けるというのだ。そもそも、レヴィアタンの加護を受けるに当たって自身が産み出した魔獣を倒せる力がある者にしか授けるつもりはないらしい。
「それから試練を受けるのはエルフのリザーナとミノタウロスのミックスのみだ。蛇身と 水妖魔はここで待つことになるな・・・」
「はぁ!? ワタシとメルディアはいけねぇのかよ!?」
海底神殿での戦闘を楽しみにしていたエレーナであったがメルディアに宥められた。おそらくは他の幻獣神も同じ試練を与えるとレヴィアタンは教えてくれた。レヴィアタンは食べ終わると、海中に魔力を放ち海底神殿に続く道を作ると準備が出来次第試練を受けるといいというのだ。
リザーナを見るとまだ食べていて試練を受ける気分ではない為にリザーナを待つことにした。
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