第15話【 生態系の異変(6)】
エデンの街に到着すると直ぐ様、冒険者ギルドに急ぎで受付嬢のステラに報告をした。 すると、様子がおかしいと気付いたギルドマスターのゴリガンが上のフロアから降りてきたので事情を話したのだ。
ゴリガンが信じがたいという表情を見せていたが、ここ最近の魔物の凶暴化による冒険者の被害や本来の生息域から魔物が移動している事を考えると色々と辻褄が合う点が多いのだ。
だが、何よりもこの辺りでネームド持ちの魔物が現れる事自体が稀である為に信憑性が高く、ドラッグの手に持たれていた魔剣が何よりの証拠になるだろう。
実際に実物を見るのは初めてであるがドラッグが持っている魔剣の総重量は1tもある重量級の大剣であるからだ。
その為ステラとマリナが古い書物を持ってきて魔剣を調べ始めた。
魔剣の名は【メガグラムス】という名でありかつて魔王軍の幹部の戦士が使ってきた武器である事がわかったのだ。
しかし何故、細身な身体のドラッグに持ててミノタウロスである自分には持てなかったのか理由を尋ねると、体内に流れている魔力を使って【肉体強化】と【武装強化】を駆使して使用する武器である為にただ力任せに持ち上げようとしても持ち上げる事は難しい代物であるというのだ。
ドラッグは空気中の微量な魔素を体内に溜め込んで魔力にする事が出来る身体を持っている為に【肉体強化】と【武装強化】の魔力操作が出来ている為に剣の柄から魔力を流す事で1tもある大剣を持ち上げる事が出来るというのだ。
実際にドラッグは剣を鞘から引き抜きと鞘を持ってみろといった。
言われた通りに鞘を持ってみるとそれなりに重さはあるが、剣が収まってる時よりもはるかに軽かった。
「魔法が付与された【付属魔法印】で重力刃が付与されているんだろう。
んで、使用者の魔力量によって重さも変わるけど、この大剣だから100%でも10㎏の重さはあるから両手で持つのが正しいだろうな・・・」
「だが、ブロンテスを倒して手に入れた魔剣というのは真実ならば魔族がレッドクリムゾンを復活させようとあらゆる場所で土地の魔素を増強させて魔物を強力にしているという事か・・・」
実際に巨人族のネームド持ちが魔族に協力して人間と神々と戦う気でいるのは間違いない事実である為にドラッグは近々女神様が【勇者】を導く可能性があるというとギルド内は騒ぎになったのだ。
魔王復活を阻止する為に勇者は各国で女神達によって導かれその仲間に加わる事ができれば巨額の富と名声が手に入るからだ。
その一方で魔族との命懸けの戦闘になるのは当たり前であるがそれぞれの国の矜持にも関わる為に勇者の仲間選びには国が関わる事もあるというのだ。
ちなみにドラッグはガーベラ達を受け入れてくれる可能性が低い為に個人的に魔族とは戦うつもりはあるがフェンナト王国に任命されても断るというのだ。
それにドラッグは女神が選んだ勇者がうんぬんよりもリザーナらのが興味があるというのだ。
「少なくともこいつらに【肉体強化】と【武装強化】のコツを伝授すれば勇者パーティーよりも戦力になるからな。
実際にブロンテスやサイクロプスの討伐はリザーナらの功績だ・・・」
「・・・少なくともリザーナはドラッグの推薦もあるからB階級冒険者にはなれるな・・・」
腕を組み、ゴリガンがリザーナにそう伝えるとC階級の冒険者の一人が反応したのだ。
「ご、ゴリさんそんなのおかしいだろう!?B階級になるには迷宮で魔法の鞄の入手が条件な筈だろ?」
「確かにそうだが、リザーナの使い魔であるミックスが魔核収納を使える為に魔法の鞄の入手する必要が無いんだ・・・」
ゴリガンが魔物が使える魔核収納には魔法の鞄と同じ様に異空間に物を収納できるとミックスから話されていた為にB階級への難関とも呼べる魔法の鞄の入手が必要ないのだ。
実際にこの魔法の鞄の入手は困難であるというのだ。
必ずしも、 迷宮に潜ったから入手が出来るものではないからだ。
たまに迷宮から溢れ出た魔物が持っている可能性がある事と収納という便利さを合わせてC階級の根気と実力の底上げの為に入手が必須であるからだ。
すると、ドラッグはそのC階級の冒険者達に向かって何故魔法の鞄の入手が必須なのかを教えた。
「・・・そもそもだが、階級をあげても魔法の鞄の入手が出来なければ王都から冒険者として指名される事はないからな・・・」
「な、なんでだよ・・・?」
「折角見つけた迷宮の秘宝や稀少なアイテムが見つかってもそれを運び出す手立てがなかったら意味がねぇだろ?
それに食料や水も魔法の鞄が入手出来れば軍の物資支援にも配置されるからな。
つまりは魔法の鞄の入手が必須なのはそう言った働き方・依頼を受けられるようにギルド側が冒険者への配慮なんだよ。
普通に魔法の鞄なら熟練の魔術師が製作する事も出来るからな・・・」
ドラッグは実際に魔法の鞄の入手が必須だったが、知り合いの魔術師に素材を集めて製作して貰った事もあり、王都に雇われている魔術師レベルならば生産する事も可能だと聞いたことがあるからだというのだ。
つまりは入手困難にしてある程度育ってきた冒険者パーティーを勧誘する為のヤラセであるとドラッグは言いきったのだ。
実際にこの辺りの迷宮や魔物が持っている魔法の鞄は全てフェンナト王国の魔術師が製作したものが出回っている為に監視され実力を認められた冒険者に行き渡る様になっているとドラッグは暴露したのだ。
つまりはフェンナト王国が雇う相応しい冒険者には魔法の鞄の入手するにはより強い実力を着けて見せつける事が大事だと話し始めたのだ。
後は実力を着けている為に迷宮攻略を続けた功績と魔物を倒した実績でB、A階級になれると直接フェンナト王国の王様の胸ぐらを掴んで履かせた事があるとドラッグは言いきったのだ。
そして、ドラッグは魔剣を鞘にしまうとガーベラに魔術で運び出しやすい台車のようなものを出して貰い、鞘を角度の着いた石の窪みに嵌め込んだのだ。
「少なくともこの魔剣を軽々と引き抜く力がなければ王都から呼び掛けは掛からないだろうな・・・」
「俺もそれは同意見だな。少なくとも【肉体強化】と【武装強化】は己の身を護る術には必須であるからな。
少なくとも魔剣を軽々と持てる魔力操作が出来なければ難しいだろう・・・」
実際にゴリガンもドラッグが用意した台車から魔剣【メガグラムス】を軽々と持ち上げたからだ。
つまりは上位冒険者は【肉体強化】と【武装強化】を扱いこなすだけの魔力操作が出来なければB階級には上がれないという目安にもなるだろうと話していた。
すると、C階級の冒険者達が次々に試すが鞘から少しだけ抜きだせれた者やまるで抜き出すことが出来ない者が続出したのだ。
だが、ドラッグはエデンの街では唯一のB階級である為に当分の間はリザーナらの面倒を見てB階級以上の実力を着けさせると伝えたのであった。
少なくともブロンテスが言っていた事が本当であればこのままではエデンの街にもいつ危害が及ぶかわからない状態である為に早急な対応が必要だとゴリガンに進言するとゴリガンもそれを容認したのであった。




