第146話【マリーナシティ散策】
マリーナシティはポートフォリオン同様に高波に備えた傾斜を活かした作りになっており漁港には巨大な広場に何十隻もの船が並んでいた。
ポートフォリオンの海は常に激流の為に大型船が多かったが小型船なども浮いており、ロープでくくりつけられていた。ポートフォリオンでは見られなかった煉瓦作りの関所がいくつか設けられており、身分証の提示もしっかりと冒険者ギルドが管理している為特に揉める事もない。
例え、横暴な貴族相手でも取引を中止したり国との貿易そのものを止めるなど国相手の重鎮相手でも決して怯む事のない屈強な戦士が多いのだ。
グランディア王国とはそういった横暴な貴族が多い為に国に対して取引の中止を通達した事もあるというのだ。少なくともグランディア王国は近くの港街であるブルンネを通して貿易をしている為にブルンネの領主からしたらはた迷惑であり、グランディア王国の貴族や商人との貿易船を停止させた事もあるそうだ。
少なくともグランディア王国にはこれといった名産品はなく娼婦館やコロシアムで闘う奴隷剣闘士を売買する奴隷商が来ることが多い為、クロニアス王国でも貿易をするのを何度も見送っているというのだ。
それとは別に親を病気や何らかの事情で早くに亡くしてしまった子どもらの保護活動も積極的に行っている為にレヴィアタンから手厚い恩恵を街全体が受けているというのだ。レヴィアタンが求める『強い男』として認められるには自身が与えている加護以上の何か、マリーナシティの為になる功績をあげてみろということなのだろうか?
メルディアにも知恵を借りるつもりではあるが、神と同等の力を持つ神獣相手に納得させる事のできる偉業などそうそう思い付く事はできないだろう。
リザーナにも一応許可を取るために声を掛けると武具屋を見る約束の事を訊ねられた。すっかり忘れていたが、マリーナシティでリザーナの防具を買い揃える事を忘れていた。
リーゼらに街を見て回るついでにリザーナの防具を新調したい事を伝えると、迷宮がある為に武具屋は多いというのでリーゼに店まで案内をしてもらいながら何かヒントがないか散策ついでに観光も楽しむ旨を伝える。
すると、つまらなそうな表情をしていたリザーナとエレーナは子どものようにはしゃぎ始めたのだ。
その様子を見て疑問に思ったリーゼらに訊ねられた。
「ミックス様が使い魔で合ってますよね?我々が知っている魔物使いとまるでち違うというか、その・・・使い魔だ便りすぎませんか?」
「普通の魔物使いに合ったことがないが、オレはリザーナに名付けされた時にコイツの面倒を見る契約を結んでいるからな。少なくともメルディアと相談しながらいつもこんな調子だな・・・」
「かなり稀有な契約を結ばれたのですね。まぁ、人語を理解できる魔物や魔獣を従える事はかなり困難だと訊きますし・・・」
「そうなのか?逆に人語を話せない魔物や魔獣を従えている魔物使いを見たことはないがな」
ポートフォリオンではドラッグがサキュバスのガーベラとドライアドとアルラウネの混合種のフェローラや懐いてついてきたバイコーンを連れていた。それ以外に魔物や魔獣を使役している魔物使いにあった事はないと話すと、この街にも魔物使いはいるそうだ。
魔物使いが魔物や魔獣を使い魔にするには大きく分けて二つあるようだ。一つは人間に好意的な魔物や魔獣、スライムや鳥系の魔物や魔獣が使い魔になりやすいという。もう一つは魔物や魔獣に認められる事だというのだ。
魔物や魔獣のは弱肉強食の世界であり、魔物使いとしての力を認めてもらう事で使い魔になる種族がいるというのだ。
だが、俺以外の二人はそれに該当しない。エレーナもメルディアも自分自身でリザーナの使い魔になっているからだ。名付けという意味ではエレーナも該当するがメルディアは元々名前があり、人間から魔物になっている為に意志決定はメルディアにあったのかもしれない。
そうリーゼ達と話していると、マリーナシティで一番大きな武具屋に着いた。マリーナシティにも迷宮がある為にそれなりに大きな武具屋がある。
ここならば、リザーナの満足する防具が購入できるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リザーナの我が儘を甘く見すぎていたようだ。マリーナシティにもリザーナが気に入る防具はなく、マリーナシティにある武具屋を全て回ってしまっていた。
「もうちょい妥協するとか出来ねぇか?リザーナ・・・」
「妥協するにしても気に入った物がないのにどうやって妥協するの? 欲しいものが売ってないのが悪いもん!!!」
リザーナはメルディアとリーゼに連れられて武具を見て回ったが、これといって気に入るものが無かった為にいくつかリーゼが案内して貰ったが全てダメであったのだ。ならばの女性服店に案内して貰いそれに付与魔法を掛けて防具にする事も考えていたが、そちらも全滅であり、リザーナはかなり不機嫌な様子で角を掴み揺らして来るのだ。こちらとしてもまさかここまでリザーナが気に入るものが無いとは予想もしていなかった。
困り果ててメルディアらにどうする相談を持ち掛けているとアルガーとリーゼが何やら話している。
「あそこの店ならあるいは…けど、流石にオススメは」
「ですが、リーゼ様。もう案内できる店はあそこしかありません。彼女らならきっとリザーナ様がお気に召させるものを・・・」
リーゼとアルガーに訊ねると、もう一店舗だけ武具屋に心当たりがあるが女性冒険者専用の防具しか作らず客も選ぶ為にかなり厄介な店主が経営している店であるがリーゼのビキニアーマーもそこで購入したものだというのだ。我が儘なのはこちらもだが、背に腹はかえられぬ為にその店に案内して貰うように頼み込みリザーナが気に入るものがあれば何でもよいと楽観的な思考と早く決めて欲しいとい気持ちであった。だが、この後俺は後悔する事になったリザーナと同等に面倒臭い女と出会う切っ掛けとなってしまったからだ。
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