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第135話【ドラッグとの再開】



ポートフォリオンで副ギルドマスター兼薬剤師をしている筈のドラッグがバイコーンを連れてクロニアス王国の競売場に姿を表したのだ。


だが、フェローラとガーベラの姿はなく、バイコーンとキーンとリーナ、ターシャ、ギガルのパーティーである。リザーナが気が付いて飛び降りるとドラッグに突進した。


「リザーナか? クロニアスの迷宮(ダンジョン)踏破したらしいな。偉いぞ?」


そういってリザーナの頭を撫でるとリザーナは調子に乗った。


「ふふん。女魔王リリスの力を使ってオーガキングを倒したのは私だもんね~」


「・・・そうみたいだな。魔力の流れが全然変わってるが、大丈夫なのか?」


ドラッグがこちらを見てきたが、何の事か解らずに訊ねるとリザーナの体内で膨大な魔力が常に吸収されている状態であるというのだ。通常の人間や魔力体制のあるエルフや魔物や魔獣でも自身の体内で魔力が急激に上がる事で制御出来ずに暴走してしまい身を滅ぼして消滅する事があるらしいというのだ。


今のリザーナはその状態であるのは確かであるが、本人は首を傾げて事の重大さを理解していない様子であった。ドラッグにクロニアス迷宮(ダンジョン)であったことや薬神ディオスから教えられた事を伝えると頭を悩ませた。


「なるほどな。考えられる可能性はミックスになるな。多分、接吻(キス)をした際にリザーナの魔力を流し込まれてたんだろう。ガーベラやフェローラと同じ原理なら説明が付くからな・・・」


「ガーベラとフェローラと同じ原理って?」


「二人はサキュバスでオレの精液を体内に取り込んで力に変えてるんだ。その際に性行為は勿論だが、接吻(キス)によって自分の性質にあった魔力を受け取りやすくなるんだよ」


「つまり、今はミックスはんがその膨大な魔力を常に吸収されとるちゅー訳か? 出鱈目な魔力量のミックスはんなら多少は平気やろうけどな~」


ドラッグはガーベラがかつて女魔王リリスの側近であった事を知ってから話し合いをしてリリスの力について調査していたというのだ。 リリスはサキュバスとヴァンパイアの血を受け継いだ混合種であり、人間や魔物や魔獣の血や精液を吸い取って自分の力の糧にしていた。


リリスが異性を武器に代えられるのは『自身が心のそこから信頼できる異性のみ』である為に並みの人間や魔物、魔獣では身体が持たずに壊れてしまっていた。だが、豊富な魔力を持つヴァンパイア・ロードの一人に恋をして平穏に暮らしていたのだ。


リリスらは人間との共存を考えており、無理矢理拐う等の事はせずに行き場を失くした者達を匿い、サキュバスやヴァンパイアも無理に血や精液を奪い取る事はさせなかったというのだ。


だが、それを面白く思わなかった心ない者らが結託して勇者を召喚し、女魔王・リリスの居城を襲撃したのだ。その中にエルフ族もいた為にアルテミスがその力を『呪い』と称してリザーナに受け渡しと知った時にはガーベラは憤りを隠せていなかったと話してくれた。


「まぁ、三幻神の【海竜神レヴィアタン】・【天空神ジズ】・【獣王神ベヒーモス】の力を得るのは迷宮の怪物・ミノタウロスでも女魔王リリスの力に耐えられるかわからないから魔力量を増やせって事だろうがな」


「それ以外に何かできる事はないのか?リリスの力で殺されるのはともかく、リザーナらを残して死ぬと他の奴らに迷惑を掛ける可能性が高いだろ?」


「ミックス酷い!!まるで私が悪い事をしてるみたいじゃんか!?」


「実際にミックスに壁を破壊させてゴブリンの巣穴を壊滅させたきっかけだろうが!!!忘れてねぇからな!?」


実際にリザーナのやらかしに巻き込まれたドラッグに叱られると、リザーナは頬を膨らませる。何時もなら、ガーベラ辺りが仲介に入ってくれるのだが、ガーベラもフェローラもポートフォリオンで役割があるためにドラッグだけで来たそうだ。


目的は今後のクロニアス王国との貿易と冒険者ギルドとの連携、それと個人的にクロニアス王国の薬剤師に回復薬(ポーション)魔力回復薬(マナ・ポーション)の販売を頼みたいと思っていた為に丁度マリーナ・シティに向かうキーンらと行動をともにしてクロニアス王国に訪れたというのだ。


すると、ドラッグに頬を掴まれていたリザーナがニンフがクロニアス王国の薬剤師であると指を指したのだ。突然の事にニンフは戸惑いを隠せていない様子であった。


「クロニアス王国の薬剤師か。ちょうどいいな。オレは・・・」


「旧・フェンナト王国で噂の薬剤師のドラッグさんですよね?王国や騎士団相手に蹴りを入れたり、冒険者ギルド内で暴行したって噂の薬剤師ですよ!?あの回復薬(ポーション)の作り方をご存じですよね!?教えて貰うことはできますか!?」


「は?回復薬(ポーション)ぐらい知識あれば、誰でも作れるぞ?」


「えっ?で、でも亀石(タートルストーン)がないと製造できないのでは?」


同じ薬剤師である二人は首を傾げて製造方法を訊いていたが、ニンフの話を訊くとドラッグは怪訝な顔をしていた。すると、その薬作りを教えた人物が誰かニンフに訊ねると、薬造りを教えたのはグランディア王国の『アルムニス』という高位な神官であると話すとドラッグは溜め息をついた。


そのアルムニスを知っていおり、薬剤師の知識など持っていない事を知っている為にニンフに教えた事は出鱈目であると伝えたのであった。



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