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第131話【お財布に優しい価格】



次の日、朝からルディは元気良く屋台の準備を手伝ってくれている。屋台の組み立ては任せて貰い、肝心の竹皮の包みと竹を編んで作った籠をできる限り調達して貰ってきていた。


実物を見せても貰うと竹で編んで作った籠は小さい弁当ぐらいのサイズであった。


これならサービスで卵焼きやチキンカツやトンカツ等を付けて焼きおにぎりセットで販売しても良いかもしれない。


因みにリザーナ達は販売よりも狩りのが面白いからという理由で今日もマインの特訓という護衛任務に着いて行っている。リザーナに魔法の鞄(マジック・ポーチ)を持たせて三人分の弁当とおかずの入った竹で編んだ籠を早速使わせて貰った。リザーナらいると商売になるか不安だったのは事実だった為に狩りに同行して貰った方が心配事が減ると思い了承したのだ。

メルディアとエレーナがいれば、リザーナもマインも安全だろう。


その変わりにルディがエプロン姿で屋台の助手兼看板娘をやってくれているのだ。


「え~と、こんな感じでいいのですか? ミックスさん ?」


「ああ、大丈夫だな。ただ火傷だけ気を付けろよ?焼きおにぎりの方の作り方は大丈夫そうだな?」


「そんなに難しくないので結構簡単ですね。揚げ物の方はどうやっていれますか?」


「竹籠の中に竹皮を敷いて油が垂れない様にする。値段は少し高いかもしれんが、その辺りも大丈夫だろう。さっき教えた通りに接客してくれればいいぞ?」


ある程度の準備と接客方法をルディに教えて仕込みを終えて焼きおにぎりの屋台は販売を始めたのであった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


クロニアス王国の冒険者ギルドは屋台街の1番端に近い為にそこに屋台を出している。


ここならば、冒険者にも国民にも提供がしやすいからだ。魔核収納(コア・ガレージ)から魔道コンロと置き場を大地魔法で作り、焼きおにぎりの場所と売り子はルディに対応して貰っている。


すると、ミノタウロスが料理している事と焼きおにぎりから焦げた醤油の香りが漂っていた事もあって辺りには人が集まってきていた。


「いらっしゃいませ~焼きおにぎり焼きたてで~す。セットで卵焼き、チキンカツ、トンカツが選べま~す!いかがですか~?」


「あれ?冒険者ギルドの受付をやってるルディちゃんじゃないか?なにやってんだい?」


最初の客は子どもを2人連れた夫婦であり、旦那の方が冒険者をやっているために顔馴染みだというのだ。


ルディはクロニアス王国の食材を使った屋台を出していてその手伝いをしていると話すと子どもらは興味津々の様子であった。

すると旦那の方が恐る恐る訊ねてきた。隣にミノタウロスがいたらそうなるのは申し訳ない。


「値段はいくらなんだい?流石に高いと買えなくて・・・ 」


「 焼きおにぎり3つで銅貨3枚、六つで銅貨5枚です。卵焼き、チキンカツ、トンカツセットは銅貨8枚ですよ?」


この世界は通貨は銅貨、銀貨、金貨とある。大体銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚だと教えられている。


大体この辺りに出現する魔物であるホーンラビットやキラーラビットの買取額が銅貨5枚から7枚で取引されており、安い宿でも他の客との同じ大部屋で布団やベッドなしの雑魚寝で銅貨10枚程だとルディがいっていたのでこの価格にしたのだ。


「ルディ、サービスの説明も頼むぞ?」


「はい。 後は竹皮と竹籠をお持ち頂ければ、サービスで銅貨2枚分お安くなりますよ?」


「ルディちゃん?そ、それじゃ商売にならないんじゃないかい?」


「あー、その辺は気にするな。この国に滞在している間だけの営業だからな。真似して屋台出すなり、サービスも真似して値段も勝手に決めて貰えれば良いからな」


ハッキリいってしまえば、安い値段で客を呼び込んで流行らせるのが目的であるので利益は考えていない。そもそも準備費用が金貨5枚程で済んでいるのだ。


別に金に困っている訳ではないし、困ったら魔物や魔獣を討伐して買い取って貰えば済むし、何よりも迷宮(ダンジョン)踏破の買取額が幾らになるのかわからない。


夫婦で顔を合わせていると、取りあえずは銅貨8枚のセットを注文してくれた。

ルディは竹籠に竹皮を下に敷くと焼きおにぎりを5つ入れてこちらに回すと玉子焼きを3つ、チキンカツを切ったものを3つ、同じく切ったトンカツを3つ入れてその下に千切りキャベツを敷いてルディに渡し返し完成である。


流れ作業でスムーズに受け渡すと子どもらは焼きおにぎりを手に取ると直ぐに食べ始めた。

昼時だったから余程腹が減ってたのかバクバクと食べてる。夫婦も1つずつ手に取り食べ始めると「おぉ、こりゃ美味い!」といい番宣をしてくれた。


こうなれば、後は時間の問題である匂いを値段の安さで一気に長い列が出来るが昨日の夜から仕込んで置いたおにぎりがあるし、焼きおにぎり在庫も寝ずに作ったからだ。

魔物や魔獣は基本的に着かれたら休む為に一週間は寝ずに移動は出来るのだ。


安全な場所を見つけたらそこで寝て身体を休める為に夜通しの作業は別に影響はない。


ルディは注文を受けると直ぐ様用意して受け渡したり、こちらに回したりと忙しそうにしていたが客を待たせる事はなく見事に販売したのであった。

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