表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/216

第13話【 生態系の異変(4)】



元よりこの洞窟内にはサイクロプスが縄張りにしていた為にサイクロプスが増えること自体は稀にある迷宮(ダンジョン)である。魔物は一定期間の間に空気中の魔素を元に誕生し、食物連鎖により強い魔物に変異する事があるといわれている。サイクロプスよりも巨大な身体を持つ一つ目の巨人の怪物【ブロンテス】はネームド持ちの巨人の魔物であり、冒険者ギルドでの報酬額も桁違いだ。


流石のドラッグもこの辺りの異常な魔素量が増えた原因がこの一つ目の巨人の怪物【ブロンテス】で間違いないだろう。他のサイクロプス達とは違い、肌が青色ではなく、人間のような皮膚に蓄えられた顎髭、腰には獣や麻布で出来た腰巻きを着けいる。更にはこれまで葬ってきた冒険者や騎士達の頭蓋骨がその腰巻きにぶら下げられていた。

そして、ミックスよりも巨人だったサイクロプス達よりも少し大きく腕には弱点である目を護る為か籠手と盾が装備されていた。


すると、リザーナの元にいた蛇身(ラミア)がサーベルの剣先を向けて威嚇し始めたのだ。


「何故、ワタシの故郷を同胞を皆殺しにした!!!」


「決まっておる。我が配下に下らない魔物に用はない。だから、皆殺しにしたまでの事だ。

我ら『巨人族』は神々との戦いに敗れこの地へと追いやられた。

そしてら再び神々に挑むために魔族と手を組み人間と神々を滅ぼす為に兵力がいるのだ・・・」


・・・どうやら、蛇身(ラミア)は同胞をこのブロンテスに皆殺しにされた為にサイクロプス達と戦っていたようだ。


すると、ドラッグらが体勢を立て直す為に近くに集結した。

そして、ドラッグは撤退する事を伝えたのだ。


少なくとも自分達ではブロンテスには勝てないと判断したようだ。


確かにこの状況下であれば1度エデンの街に戻ってゴリガンやダリル伯爵に報告して街の総力をあげて討伐するのが現実的な判断であろう。


恐らくはあのブロンテスとはまともにやり合える自信はあってもどうなるかわからない。


だが、リザーナは助けた蛇身(ラミア)の事が気になってしまっていた。

すると、腰布を引っ張り見たこともないほど真面目な顔を向けてきたのだ。


「あの蛇身(ラミア)に協力しよう!! あの巨人を放置しておくのもヤバいでしょ!!?

ミックスなら何とか出来るよね!!? 」


「流石にそこまではわからん。 俺よりも巨大な上に武器も巨大だからな・・・ 」


ブロンテスの右腕には独特な形をした石の棍棒が持たれていたのだ。 恐らくは同胞の亡骸の頭蓋骨と思われるものを硬い鱗か鉱石でくっ付けているのだろう。


悪趣味な武器であり、どんな攻撃をしてくるのか未知な為にドラッグはリザーナを説得するが、一人で仲間の敵討ちにきた蛇身(ラミア)は例え勝ててももう一緒にいてくれる同胞も仲間もいないのが可愛そうだというのだ。


・・・迷宮(ダンジョン)で一人であった時はそんな事を思ったことはなかったが、リザーナに出会って本当は誰かと一緒にいたかったんだと気づかされてしまった。


もし、あの蛇身(ラミア)がブロンテスに敵討ちが成功してもひとりぼっちのままになってしまう。

リザーナはそれは何よりも寂しい事だというのだ。


ドラッグもリザーナの言葉が刺さったのかガーベラとフェローラの顔を見て髪の毛を掻き毟ると覚悟を決めた顔をしていた。


そして、ドラッグは全員に計画を変更して蛇身(ラミア)に協力すると伝えると全員が頷いた。


すると、リザーナは笑顔で弓矢を引き、矢をブロンテスに射出したのであった。


以前はまるで矢が飛ばなかったが、レベルアップしたおかげなのか弓矢を引く力と命中度が上がっていたのだ。


・・・そう言わなければ、こちらの気持ちが維持できない状況になってしまったからだ。


リザーナが放った矢はブロンテスの目ではなく、胯間に刺さってしまったからだ。


「流石にそこ狙うのは男としてはちょっとな・・・?」


「ち、違うよ!!ちゃんと目を狙ったんだよ!?けど、思いの外高くて・・・ 」


確かにリザーナにしては高めに放ったつもりであるが矢は綺麗な放物線を描き、見事に胯間に突き刺したのであった。


これにブロンテスは跪いて胯間を抑えていた。


すると、蛇身(ラミア)はブロンテスに近づいてサーベルを目に向けたのだ。


「・・・同胞の敵討ちだ。 悪く思うな?」


「ぐっ・・・こんな所でやられてたまるかぁぁぁぁあぁ!!! 」


流石は巨人族の戦士といったところであろうか。胯間に矢が刺さっているにも関わらずその痛みに耐え、片腕で蛇身(ラミア)を弾き飛ばしたのだ。壁に激突した蛇身(ラミア)は当たりどころが悪かったのかぐったりと気を失ってしまった。


ゆっくり立ち上がると、胯間に刺さって矢を抜く。そして、矢を見つめて掌で握り潰すとリザーナを睨み付けてきたのだ。


「きさま!!!良くも我の片玉を狙ったな!!?」


「た、タマタマだけにたまたまです!!なんちゃって・・・」


リザーナがブロンテスを完全に怒らせた為にブロンテスはリザーナに向かって突っ込んできたのだ。


こうなってしまってはブロンテスと戦うのは自分であると戦斧(バトル・アックス)を両手で握り締めてリザーナ達の前に出るとブロンテスが怒りで振り降ろさせた石の棍棒を受け止めたのであった。


向こうの方が体格的に優位である為に上から攻撃を仕掛けられるメリットがあるのは良くわかる。


だが、身体がデカければ足元への視野は狭くなりやすいというデメリットがあるのだ。


リザーナに良く身体に上られるのはその視界から消える場所を上手く利用されるからだ。


ドラッグはリザーナを脇に抱えて蛇身(ラミア)の元に走るとガーベラとフェローラにブロンテスを暫くの間抑えて欲しいと叫んだ。


すると、ガーベラは爪を鉤爪に変えて悪魔の翼を生やしてまるで鎌鼬のようにブロンテスの皮膚に傷を着けていった。


フェローラも植物の蔦をブロンテスの足首と手首に絡み付けて動きを封じた。

一瞬動きが止まったブロンテスに向かって戦斧(バトル・アックス)を振り下ろしたが、サイクロプス達とは防御力が桁違いなのか多少の切り傷は出来たが、致命傷にはいたらなかった。


恐らくは自分と同じ【硬筋肉(こうきんにく)】のスキルを持っているのだろう。


すると、ガーベラは【肉体強化】と【武装強化】が出来なければ恐らくはブロンテスの硬い筋肉の鎧には致命傷になる傷を負わせることは不可能だというのだ。


【肉体強化】は魔力による自身の肉体能力を向上させる事ができ、力や瞬発力や肉体防御力も上昇させれる事ができるそうだ。


【武装強化】は肉体強化の延長戦で自身が使用する武器も身体の一部として扱い魔力を流し込み武器や防具の強度を上げる事で攻撃力と防御力を上昇させられるスキルであるのだ。


「少なくともこの2種類ができないと上では通用しないわ!!! ダーリンはできるけど私らは肉体強化しか出来ないの・・・」


「んな事言われても、やったこととネェのに出来るもんなのかよ!!?」


実際にこの2種類を習得できる冒険者の数は少数であり、この2種類の熟練度によって冒険者としての活躍できるか推し測れるというのだ。


実際に魔族にもそういった戦闘スタイルをする者もいる為に今のうちに身に付けて置かなければこれから先、リザーナを護っていくのは無理だと言われてしまったのだ。


ならば、やるしかないと魔力を集中力を高め始めたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ