第122話【ロックタートルとスティンガー】
32階層の階層主の扉を開けると中には巨大な亀の魔物がいた。メルディアの話で『ロックタートル』という魔物で動きは機敏性はないが全身が硬い岩石で甲羅や皮膚でおおわれている為に武器の攻撃が通らない厄介な魔物であるというのだ。
そして、土魔法で遠距離攻撃をしてくる為に容易には倒せない魔物である。
直ぐ様、土魔法の岩弾と放ってきたのだ。
「メルディア、どうすればいい?取りあえずは指揮は任せるぞ?」
「せやな。取りあえずはひっくり返しさえすれば倒せるんや。ロックタートルの腹部分には守る岩石があらへんからな・・・」
「んじゃ、ミックスが下から大地魔法で身体を押し上げてひっくり返して腹に攻撃すれば良いのか?」
「それでいこう。【グレイト・ウォール】ッ!!!」
ロックタートルがいる地面を盛り上げてひっくり返すと、起き上がる事が出来ず、エレーナの鞭攻撃とメルディアの水の弾丸が腹を突き抜け呆気なく倒されてしまった。
すると、ロックタートルの死体は消えてしまい、宝箱とロックタートルの巨大な甲羅が現れた。
宝箱に石を投げると、ギミックであり、戦斧で粉砕したが、前のように宝箱を落とさなかった。
魔核収納にロックタートルの巨大な甲羅をいれると、これまでの階層主を思い出していた。
「この感じだと、次の階層は蟲系の魔物か魔獣ぽいな。ミスリルリザード、キラーホーネットの大群、ロックタートルと来てるしな」
「ゲッ毛のはえた蜘蛛じゃなきゃいいけどなぁ~ 」
「まぁ、後はオーガがおったし、オーガキングやろうかなぁ。オーガはウチが殺るで?」
「あのさ、メルディアってオーガ嫌いなの?昔、何かあったの?」
次の階層に降りる階段を降っている時にリザーナがメルディアに訊ねたのだ。確かにメルディアはオーガにだけは容赦なく攻撃して他を俺とエレーナに任せていた。
考えられるのは人間だった頃にオーガに嫌な思い出あるとしか考えられないからだ。
少なくともリザーナが不安があるほどメルディアはオーガを憎んでいる殺気を漂わせていたからだ。
メルディアがまだ人間で駆け出しの冒険者の頃にオーガに強姦されて二度と子どもを授かれない身体になってしまった過去があると話してくれた。
一時期は心も壊れてしまったがそれでも側にいてくれた仲間がいてくれたおかげで大魔導士まで成長する事ができたという壮絶な過去だった。
「まぁ、そういう訳で個人的にオーガにゃ恨みしかない。女としての幸せを奪ったあの魔物はウチが殺す」
「まぁ、ワタシも仲間をブロンテスに殺されてるから気持ちはわかるな・・・」
「まぁ、ラビュリンティスにいってたんわ。そういう過去があったからミノタウロスも殺したろう思ったけどな。今はミックスはんと会えて良かったと思っとるで?意外と情け深く慎重な性格やし見とって面白いからな~」
「子どもを授かれないのは確かにキツいな。けど、メルディア的にいえば、リザーナが子どもみたいなもんだろ?」
メルディアは成人しているエルフ族のリザーナをそういった目でみるのは失礼だと思っていたが、リザーナは普通のエルフなような矜持は持ち合わせていない。
冒険者になるエルフは大体が里の窮屈な掟に嫌気が差してしまい里の外にでるエルフが大半である。
少なくとも、普通のエルフは弓矢や槍、剣、魔法が得意なものが多いがリザーナはそれにも当てはまらないし、知識もメルディアのが博識であるのだ。
「まぁ、確かにリザーナはんは子どもっぽいけど『親』ぽい事をしとるのはミックスはんやろ?」
「別に飯を作るのが親の役割じゃねぇだろ?魔物や魔獣の知識を教えるのも親立派な役割だろ?少なくとも俺はそういう知識ねぇしな」
「確かにメルディアなら大体の魔物や魔獣知ってるしな。夜も色々と本読んでくれるしなぁ~」
「ん?なんだ?一緒に寝てるのか?あの広いベッドはエレーナ用に作っておいて上にも寝室あったろ?」
夜営や迷宮内でも休みやすいようにエレーナの身体の大きさに合わせてベッドも特大サイズの物を作りその上にリザーナ寝られる寝室を作ってあるのだ。
だが、念には念をという考えでエレーナとメルディアも一緒に寝ているそうだ。
話していると、33階層の階層主がいる場所に辿り着いた。中には黒い甲殻を纏った巨大なサソリの姿が見られた。
【スティンガー】赤い宝石のような目を五つ持ち、巨大なハサミと毒針をこちらに向けて威嚇してきた。
メルディアも見るのは二度目でグランディア王国周辺の洞窟に棲み着いており、アーマースコーピオンの群れから稀に産まれる希少種であり、コロシアムでもたまにでるが大方の剣闘士を食べ殺してしまう魔獣である。
少なくとも、このパーティーには毒体制のスキルをだれも持っていない。
だが、火に弱い為にエレーナとミックスの火炎魔法で攻撃するように指示をされて炎を放つと鎧のような甲殻に亀裂が入ると、そこにメルディアが水の弾丸を撃ち込むと奇声をあげてその場にドスンッとその場に倒れると、宝箱が三つも現れた。
慣れたようにそれぞれに石を投げて、鑑定すると巨大なルビーとスティンガーの甲殻と毒針が入っていた。
「スティンガーの甲殻は武具の素材として優秀で高値で取引されるで?毒針は解毒剤の研究に使われたりするなぁ~こっちのルビーは国宝級やね。クロニアス王国の冒険者ギルド傾くで?」
「後、二階層か。次は何が出てくると思う?」
「流れ的にはいえば、次はヘビかトカゲ辺りやね。多分、ダンジョンボスはオーガキングやろうね。その魔力がビンビン感じるわ~」
「よし!!んじゃ、このまま行こう!!後、二階層ならすぐだよね?」
確かにここまで苦戦したのはキラーホーネットの巣だけであり、単体なら難なく倒してこれた。リザーナのいう通りこのまま踏破を目指した方が良いかも知れない。
洞窟の奥に下へ続く階段が表れ次の階層へと歩みを進めた。




