第103話【クロニアス王国到着】
その頃、ミックスらは渓谷地帯で昼食を食べ終終えると、再びロック・ゴーレムとトロールと戦いながらクロニアス王国に向かっていた。メルディア曰くゴーレムは魔力で産み出されて縄張りに侵入していきた人間を排除する為にリザーナ目当てで襲ってくる。トロールは知性が低い上に人喰いでリザーナを狙っている為に敵が格上だろうと襲いかかってくる。お陰で懐が暖かくなりそうで助かるが、その渓谷地帯を抜けるとトロールもロック・ゴーレムも姿を表さなくなってしまった。
どうやら、ロック・ゴーレムとトロールの縄張りを抜けたようだ。後は人の気配を強く感じる方へ向かって進めば問題ないだろう。
「あれがクロニアス王国の国境の砦か?」
「デケェけど、何かワラワラと人が出てきてねぇか?」
「ん~?クロニアス王国の冒険者ギルドに向かうってゴリガンに手紙を送らせた筈やけどなぁ~?」
「取りあえず行けばよくない?何かあったら倒して通ちゃえばいいんじゃないの?」
俺達はクロニアス王国に戦争を仕掛けに来た訳でも滅ぼしに来た訳でもない。わざわざそんな蛮族みたいな事を好き好んでやる訳がない。
少なくともそれは向こうの出方次第で最終手段になるだろうが、ゴリガンらが手紙の内容をどう送ったのか知らない為に警戒しているだけかもしれない。
米と醤油の為にもクロニアス王国を滅ぼす事はしない。料理のレパートリーを増やす為にも大量に購入したい。
クロニアス王国とは友好関係を気づかないと俺の料理に影響を及ぼす。丼ものが作れないのはキツいからな。すると、丼ものを知らないリザーナが訊ねてきた。
「ドンモノってなに?食べ物なの?」
「米の上に食材を乗せる食べるものだぞ?揚げ物ばかりにならねぇようにサラダも作るが・・・」
「それって美味しいの!?」
余程の事がない限り嫌いな人はいないと思うし、米があれば香辛料から作ったカレー粉モドキと野菜を煮込んでカレーライスが作れる。
久しぶりに米が食いたいし、何よりも米があるなら丼ものが新たにレパートリーに増える。
わざわざ、ジャカイモの芽がはえたものを買い込んで片栗粉を一から作ったり、パンを魔道具で凍らせておろし金を作り細かく削り出したパン粉モドキもある。ここに醤油と米が加われば作れる筈だ。
「味は保証する。米と醤油はポートフォリオンじゃ手に入らなかったし、大量に買い込む予定だ」
「酒に合うツマミも増えるのか!?」
「フライドポテト以外だと唐揚げとかトンカツとかだな?後は醤油があるならクロニアス王国でしか食べられないものもあるだろうし、市場があって見て回れて作れるものは増えるぞ?」
「直ぐに行こう!!食いてぇ!!」
当初の目的はクロニアス王国にある30階層以上ある迷宮 踏破が目的である。
少なくともアステリオスの要望通りに異世界のものを流行らせるのにこのクロニアス王国は重要になるだろう。
何事もなければ良いがと、食い気が勝ったリザーナとエレーナに引っ張られながらクロニアス王国の国境砦に向かったのであった。
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クロニアス王国の国境砦は思ったよりも強固な作りになっており、モルタルで作られていた。流石は王国の防壁といったところだろう。
それにしてもリザーナとエデンの街に初めて行った事を思い出す。また剣や槍を向けられている。まぁ、ミノタウロスや蛇身、水妖魔を連れたエルフの少女などリザーナくらいしかいないだろうがこればかりは仕方ない事だろう。
メルディアが前に出てきて騎士団長と話していると後ろから更にアマゾネスらしい筋肉質で大柄な女が姿を表して声を掛けてきた。
「なんだ?アレックス。冒険者関係はアタイら任せにするんじゃなかったのか?」
「エルザか。冒険者ギルドから話しは聞いていた。だが、まさか、この目でラビュリンティスのミノタウロスを見ない事には信用できなかったからな」
「だろうね!ウチの旦那が悪かったな!アタイはクロニアス王国の冒険者ギルドのギルドマスターエルザだ。こっちの騎士団はアタイの旦那のアレックスだよ。良くきたね!かんげいするよ!」
「冒険者のリザーナです!こっちはミックス、エレーナ、メルディアだよ!」
人を疑わないリザーナはエルザに近づいて冒険者カードを受け渡すと二人は冒険者カードに使い魔として登録されている事を確認すると入国の許可が出た。
門を潜ると、目に飛び込んできたのは広大な土地に植えられた田んぼと水車、そして所々日本家屋が並んでいた。
恐らくは日本人の転生者か転移者が知恵を出したのだろう。
冒険者ギルドは大きな古風ある煉瓦作りであり、中には多くの冒険者の姿が見られた。
ギルドマスターの部屋は2階だが、流石にミノタウロスの重さに耐えれるか微妙の為、渓谷地帯で倒したロック・ゴーレムやトロールの買い取りがあったのでついでに話し合いを済ませる為に買い取りや解体をする大広間に案内して貰い後を着いていった。




