第102話【天界の動き】
ミックスらが旅立つ前に色々と準備をしている間に天界でも動きがあったのだ。薬神ディオスの問題行動についてである。
問題点は二つあり、一つ目はリザーナらに神託をして手助けした事。
そして、もう一つは勝手に【聖女】であったマリアンヌを従者の神にしてしまった事についてだ。
等の本人である薬神ディオスは他の最高神からの視線を鼻で嗤っているが、マリアンヌは神を信仰していた者としてオロオロとしていた。
「やっちまったもんもんはしゃーねぇだろ?許せ。俺も一応神様だから良いだろ?権利はあるだろ?」
「でぃ、ディオス様?まさかだとは思います・・・が。私を従者の神にした事を創造神ガウディーン様にお伝えしてないのですか?」
ディオスはマリアンヌに面倒くせぇし、丁度自分付きの従者が欲しかったからいいやと思って勝手にやってしまっていた事を暴露された。
マリアンヌは娘のフラムが魔族を使い魔にしてフェンナト王国を滅ぼす手伝いをしてしまった為に天界に来る事は出来ない。
だが、薬神ディオスの従者として神託を卸せばフラムと話すとはできると言われ承諾したからだ。
まさか、創造神に赦しを得ずに行っているとは普通の神であればしないかも知れないが、ディオスはガウディーンを近所の爺ちゃん程度にしか思ってない節があるのは他の最高神の別の意味での悩みの種であった。
すると、一番ディオスと会話する鍛冶神・ガルスと豊穣神・デメテルが訊ねてきた。
「ディオスお主なぁ~もうちょっと最高神としての自覚を持って行動できんのか?」
「そういうけどよぉ。アレが最善の手だと思って行動したんだぜ? 流石に不死の巨人や飛竜とレッドクリムゾン相手じゃガウディーン様でも無理な話だろ?」
「まぁ、貴方の性格を考えたらわかります。ですが、せめて創造神様にご相談があっても・・・」
「・・・そうはいうけど、ガウディーン様って結構優柔不断な所あるんだぜ? いつもアンタら愚痴を俺の事に良いに来るし、胃痛の種でもあるだぞ?」
全員がガウディーンの方を一斉に見ると、ディオスはディオスに人差し指を立てて黙ってろと指示を出したが創造神が自分らの愚痴をディオスに相談している事を考えると優柔不断であるから自分で行動した方がいいと考えるのは分かる気がするとガルスとデメテルはため息をついた。
勿論、ディオスは何も気まぐれでこんな事をしたわけではない。神に敵意を持つミノタウロスと友好関係を気付いておけば後々厄介な不死の力を持つ巨人族と飛竜そして、レッドクリムゾンを封じ込めたラビュリンティスに挑戦し倒してくれる可能性が一番高いからだ。
リザーナとミックスにそれぞれ試練を与えた事やマリアンヌを自分の従者にした理由もちゃんとあると答えた。
女魔王リリスがまた復活しないようにリザーナが力を使いこなす事でミノタウロスという強大な力を持った武器を使いこなせば、巨人族とレッドクリムゾンを永遠にラビュリンティスに封じ込める事ができる点と危機的状況にも関わらず姿を表さなかった幻獣神達の現状を調査する必要と思ったからだ。
ポートフォリオンは幻獣神の一人・【海竜神レヴィアタン】が加護を与えている街であったレッドクリムゾンという強大な敵が近づいてきたにも関わらず姿を表さなかった事に疑問を感じたからだ。
「それにフラムの使い魔になった魔族・ケミカルの存在だ。アイツは【魔界皇帝】ベリアルの側近だったヤツだろ?なのに何でレッドクリムゾンの復活の為に巨人族を地上に転移させたりしたんだ?」
「確かに言われてみれば、変ですよね?ベリアルの側近だった魔族が何故、レッドクリムゾンの復活させようとしたのか些か違和感はあります 」
「それにフラムを気に入って使い魔になって大人しくしているのも不自然な事だろ?だから、マリアンヌとフラムの繋がりを作ってケミカルの動向を知りたかった。これが俺の考えだぜ?」
「なるほどのぉ。確かにガウディーン様の驚異なる怪物らのうち二人をこちら側の戦力にできる上に魔界皇帝ベリアルの動向も探るちゅー魂胆だったか。
それに幻獣神があの状況に気付かんで放置してたのも言われてみりゃ変な話だよな?」
ガルスとデメテルはディオスがちゃんと考えて神託という助言し、幻獣神の動向や魔界皇帝ベリアルの側近が単独で行動を行った理由を探る為にフラムの母であるマリアンヌを自分の従者にする事で定期的に様子をみる事ができるという利点なると、踏んでの行動であったと納得した様子を見せていた。
だが、他の女神達は不服そうにしていたがディオスは気にする様子がなかった。
「まぁ、アルテミスやアテナを信仰しているエルフやアマゾネスはどうするのか、俺は知らねぇぞ?
けど、この世界の危機を一時的に延命してレッドクリムゾンらを封じ込めるのが先決だろ?そもそも、そっちは部族間同士仲が悪い地域もあるし・・・」
「そうはそうだが、何故ミノタウロスとリザーナなのだ?」
「少なくとも、一つは異世界人を呼び出す禁忌を人間らにさせなくて済むようにだ。ミックスもリザーナらに危害を与えなきゃ人を殺そうとは今の所は無いだろう?」
「それでもマリアンヌを従者にする際には私に一言、言って下されば・・・」
「一応、従者になってるけど別にティアは教会関連で忙しいし、マリアンヌ一人に時間掛けられねぇだろ?俺は教会とかそういう崇められるようなタイプの神様じゃないからわりと暇だし・・・それに薬作りとか教えられる女神いても良いだろ?」
他の神とは違ってディオスは自分の宮廷に籠って薬作りをしたり、創造神ガウディーンの処方薬を作ったり愚痴を聴いたりするだけで薬神としての役割はないに等しい。
他の神はそれぞれ信仰があり、それなりに忙しい為に暇なディオスがリザーナら一行を見守ると同時にフラムの使い魔になった元・魔界皇帝ベリアルの側近だったケミカルの動向を探るのが一番だろう。
少なくともここ数日間にレッドクリムゾンが復活した事で祈りを捧げる信者が増えている為に他の神らは忙しいのだ。
怪物・ミノタウロスとリザーナを見守り、魔界皇帝ベリアルの動向を探る為にマリアンヌに役目を与えるのが今のところ最善の策だろうとガウディーンが締め括った。
ディオスらが宮廷に戻ると、ガウディーンは他の神らから愚痴の件で問いただされる事になった。




