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第10話【 生態系の異変(1)】



【薬剤師】としての顔を持つエデンの冒険者の中でもトップランカーの冒険者・ドラッグは悪い意味で有名人であった。


階級(ランク)以上の実力があるにも関わらず、A階級(ランク)になると王国の為に冒険者として働かなければならないのとドラッグの職業が関係していたのだ。


ドラッグは稀有な【薬剤師】の職業であり、特別なスキル持ちである為に何度も王国に呼び出され勧誘されていた。


特にドラッグは回復薬(ポーション)魔力回復薬(マナ・ポーション)などの他に万病や欠損した身体を治せる完全回復薬(フル・ポーション)を唯一造り出す事ができる薬剤師でもあるからだ。


そんなドラッグと臨時パーティーを結成して迷宮( ダンジョン)攻略に挑む事になったが、リザーナはドラッグのパーティーメンバーである上級サキュバスの『ガーベラ』は黒いハイグレ姿をしており、肌は褐色肌で金髪のポニーテールと悪魔独特の角や羽根と尻尾を持った。


一方でドライアドとアルラウネの混合種の『フェローラ』は幼い顔立ちをしており、薄い桃色の髪の毛先が植物の蔦になっていおり、蔦をさらし代わりして花弁をスカートのように着こなしている。ガーベラとは対照的に色白であるが、2人も巨乳である。


ドラッグ曰く、自身の魔力と好みの身体に変化する為に身体をドラッグの好みになっているというのだ。


そして、その2人にリザーナは遊ばれているが、姉と妹の様にすぐに仲良くなってしまっていた。


結局の所は自分とドラッグが最終的に話し合いながら目的に迷宮(ダンジョン)に向かっている最中だが一向に魔物が現れないのだ。


「少なくとも魔物もバカじゃネェからな。上級魔族のガーベラやフェローラやミックスがいるのにワザワザ殺されにくるバカな魔物は・・・いたわ」


「グルルッ!!!」


ドラッグが飄々とした態度で言っていたが、ミノタウロス、上級サキュバスに上位種であるドライアドとアルラウネの混合種がいるにも関わらず魔物が出現したのだ。


出てきた魔物は『ブラッドウルフ』というこの辺りでも強い魔物であり、基本的に十匹の群れを作って行動して狩りをする魔物であるというのだ。


しかしながら、ブラッドウルフは決して頭の悪い魔物ではない為にガーベラやフェローラやミックスがいるにも関わらず襲いに現れた事に不信感を感じていた。


だが、流石はB階級(ランク)冒険者というべきなのだろうか。


リザーナをフェローラが蔦で保護するとガーベラは爪をまるで鋭い鎌のような鉤爪でブラッドウルフの首を斬り落とし、ドラッグも短剣を巧みに使ってブラッドウルフを一瞬で倒してしまったのだ。


ブラッドウルフくらいならドラッグらだけでもどうにかなるがサイクロプスの群れとなると攻撃力がどうしても足りないというのだ。


「ダーリン。 絶対にこれ何か起こってるわよ?少なくともブラックウルフやブラックベアならわかるけど、ブラットウルフが私らに襲い掛かってくるなんて変ね?」


「そうだよ? 魔物避けの香りも放ってたのに襲い掛かってくるって事は・・・・」


「あぁ、少なくともここら辺一帯の魔素が高くなって魔物が強化されている可能性が高いか・・・」


「この場合ってB階級(ランク)だけでどうにかできるものなのか・・・?」


ミックスの質問にドラッグは原因が特定できない以上は高階級(ランク)の冒険者が派遣されて調査に向かわされる為にエデンの街で唯一のB階級(ランク)である自分等に依頼が割り振られる事になるのは決まっているというのだ。


少なくとも、エデンの街のC階級(ランク)の冒険者ではブラッドウルフの群れを討伐するので精一杯であり、原因を突き止める前に殺られてしまうのが関の山だろうというのだ。


ドラック自身もまだ20代前半の若さではあるが、冒険者としての腕や判断能力は見ていて手本になる。


問題はリザーナがこの状況に着いてこれるかが心配の種であるからだ。


エデンの街から北西に少し進んだ先に小高い丘の上に巨大な大岩があり、この大岩から先が魔物達が棲み暮らす森や沼地が拡がっているというのだ。


そして、目的の場所は大岩の小高い丘を上がった直ぐ真下にあり、巨大な洞窟が姿を表したのであった。


ドラックの特殊な身体は空気中の微量な魔素を体内に溜め込んで魔力にする事が出来るが、洞窟からは禍々しい魔力が漂っているのが肌で感じ取る事が出来たのだ。

少なくともリザーナも嫌な雰囲気を感じ取ったのかフェローラにしがみついていた。


「ドラック、どうするんだ?俺は前衛でも良いがリザーナが・・・」


「わかってるよ。前衛は俺とミックスで中衛にフェローラとリザーナ、殿はガーベラの順で行こう」


「そうね。洞窟でサイクロプスと鉢合わせになって攻撃を受け止められるのはミックスだけだしね」


「・・・ミックス。大丈夫だよね? 皆無事に帰れるよね?」


こんなにも弱気なリザーナを見るのは始めてであった。 少なくとも初めてあった時にミノタウロス相手に売春行為をして金貨を借りようとしたエルフの少女には見えないからだ。


少なくともとサイクロプスは魔物の中でもミノタウロスに並ぶ怪力の一つ目の巨人であり、特に人喰いのサイクロプスは魔力の高い女性を好んで食べる傾向があると教えて貰った事がある。


リザーナはエルフ族で身体には高濃度な魔力が流れている為に仮に人喰いサイクロプスがいれば狙われる可能性は高いだろう。


いや、ここにいる全員がサイクロプスからしたらご馳走に見てるかもしれないのだ。


不安がるリザーナを安心させる為にも自分がサイクロプスを倒すしかないだろう。


戦斧(バトル・アックス)を肩に置き、任せろと胸をドンッと叩いて見せるとリザーナは安心したように笑みをみせたのであった。


そして覚悟を決めると、ドラッグと顔を会わせて頷き、サイクロプスがいるであろう洞窟の探索に乗り出したのであった。

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