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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第五章:足止め
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5-24お豆腐

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


そう言えばゴマ豆腐ってのもあったっけ?

あれ、どうやって作るのだろう??(リル談)



 豆乳はそれはそれは濃厚な味わいで美味しいものだった。



「これ、私好きね。リルもう少しもらえない?」


「駄目です。これ以上豆乳で飲んじゃったらお豆腐が作れませんよ」


 物欲しそうにするカリナさんにそう言って私は鍋の豆乳を掻き回す。

 そして準備していた海水を入れ始めゆっくりと掻き回す。



「リル、何故海水など入れるのですか?」


「えーと、私も詳しくはないのですけど海水の中にあるミネラルとか言うのが豆乳を凝固させる作用があるとか。あ、だんだんと掻き回すへらが重くなってきた!」



 ネッドさんに聞かれて答えていると、ゆっくりと掻き回すそれはだんだんと固まり始めて来てドロドロになり始める。

 あれだけサラサラだった豆乳が固まるのってなんか面白い。


 ある程度掻き回したら今度はしばらく待って準備しておいた鍋に布を張っておいたものの上にそれをお玉ですくい上げて乗せて行く。

 すると余分な水分が落ちてだんだんと塊が出来始める。


 ある程度溜まったらそれを軽く絞って溜めていた水の中に入れる。


 

 ぽちゃん!


 ころん



「うわ~、まんまる! お姉ちゃんこれお豆腐?」


 水の中に浮かぶ丸いお豆腐にルラはキャッキャいいながら聞いてくる。

 私は作業する手を止めずに答える。


「そうだよ、枠が無いから丸くなっちゃうけどこれでお豆腐の完成だよ。後は適度に水を取り替えないと塩分が抜けないから何個か作ったら水を取り替えるの手伝ってね」


 どんどんと同じ方法で作り上げていく丸いお豆腐は水の中でぷかぷかと気持ちよさそうに泳いでいるのだった。



 * * *



「既にリルさんの作る物には何度も驚かされましたが、今回もやはり驚かされましたよ」



 リュックスさんはそう言いながら水の中から取り出したお豆腐を前にそれをしげしげと見ている。

 テレビか何かで見た作り方を見様見真似でやってみたけど意外とうまくいった。

 しかし問題はここからだ。



「さてと、それじゃぁ試食と行きましょうか。これ自体はあまり味がしないと思ってください。あくまでも素体ですから」



 そう言いながらスプーンをみんなに渡しそれをすくって口に運ぶ。



 ぱくっ!



「んっ、ちゃんとお豆腐になってる」


 口に入れたそれはしっかりとお豆腐になっていた。

 豊富な水の中で泳がせていたので塩分も程よく抜けてほんのりと甘みも感じられ冷たくて美味しい。


 豆腐自体は味が弱いので微細な味は特にお水によって変わって来る。

 幸いこのジマの国の湧き水はとても豊富で、日本と同じ軟水の様でさっきのてんぷらうどんのお汁の時もそうだったけど旨味が出やすい。


 お豆腐も軟質の水で泳がせることによって海水の塩分や余分なものがしっかりと出てきたようで前世のあのお豆腐とうり二つの味わいになった。



「ん~お豆腐だぁ~、でもやっぱりこれだけだと味しないね?」


「あら、そうかしら? ほんのりと甘みがあって素朴だけど美味しいわよ?」


「ん~、すげぇさっぱりはするな」


「ただ、味がほとんどしねえ。不思議な食いモンだな?」


「いえいえ、これは凄いですよ。エルフ豆の大豆から搾った汁がこんな形になるとは」



 ルラはもごもごと口を動かしてもう一を味を確かめているけど、同じ女性のカリナさんにはなかなかの好評のようだ。

 でも男性陣にはやっぱりさっぱりしすぎているのかな?



「ふむ、これはこれで面白いですね。しかし確かに微細な味だ。リルさんこれは素体と言ってましたがこれをどうするのですか?」


 リュックスさんはそう言いながらスプーンに載せたお豆腐を見ている。

 私はそこへ魚醤を数滴、そしてわずかなエシャレットの青い部分を乗せて言う。


「リュックスさん、そのまま食べてみてください」


 言われてリュックスさんはそれを口にする。



「ほうっ!」



 口にしてすぐに表情が変わる。

 私はそれを確認してにっこりと笑って言う。


「今のが『冷やっこ』という食べ方で、できたての新鮮なお豆腐にお醤油と薬味のネギなどを乗せていただく方法です。とてもさっぱりとしていて暑い日とかに良いですよ。後はハーブを乗せたりして頂いておいいですね」


 紫蘇やミョウガ、生姜なんかもいいかもしれない。



「あ、そうそう、少し変わった食べ方でこう言うのもあります」



 私は取り分けたお豆腐にピクルスを刻んだものと魚醤、ごま油を垂らして最後に見た目でパクチーみたいなパセリも載せてみる。


「どうぞ、ちょっと変わった味わいになりますよ」


 そう言ってお皿に載せたそれは前菜にちょうどいい感じの外観になっている。

 リュックスさんはそれをスプーンですくって口に運ぶ。



「おおぉっ! これはまたずいぶんと変わりますね!! いや、しかし私はこれも好きな味だ」



 男性にはさっぱり過ぎたのでごま油とかピクルスの酸味の刺激とか追加する事によってお酒のつまみにもなるようにしてみた。


 本当はザーサイなんかが有るともっと美味しんだけどね。

 昔はよくお父さんにお酒のつまみで作ってあげたもんだ。



「お、俺にも!」


「美味そうだな!」


「私にも!」


「ちょっと待ちなさい、あんたら私が先よ!!」




 リュックスさんの好評にトーイさんもザラスさんもネッドさんもそしてカリナさんも待ちきれずスプーンを伸ばすのだった。



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