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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第五章:足止め
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5-8古代遺跡

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


あたしの出番~(ルラ談)


「こんな所に遺跡だなんてね~」



 カリナさんはそう言って生い茂る蔓を退けて遺跡の入り口に立つ。

 そして何かに気付く。


「ん? この遺跡、人の出入りが有ったみたいね……」


 そう言って蔓の様子を見ながらしゃがんで地面を見る。

 そして私たちに言う。


「葉っぱが誰かに踏まれた跡があるわ。それもまだ新しい。しかし、こんな分かりにくい動きをするってなんかおかしいわね?」


 そう言うカリナさんが見ている地面を見ても何が違うかわからない。

 私は首をかしげてカリナさんに聞く。


「何が違うのか全く分かりませんけど……」


 するとカリナさんは呆れた顔で私を見る。


「エルフなのにこれくらいの事分からないの? もしかしてリルたちってまだ弓矢や狩りの仕方教えてもらってないの?」


「うっ、まだ教えてもらってません。精霊魔法だってまだ早いってお母さんも教えてくれないし……」


「え? じゃあ、あの精霊魔法て誰に教わったの??」


「それはトランさんに……」


 私がそう言うとカリナさんはもう一度まじまじと私を見る。

 そして納得したように言う。


「若木にしてはあまりにもしっかりしているけどやっぱりまだまだ子供って事かぁ。そりゃそうか、十五歳じゃ普通は母親にべったりくっついている時期だもんね」


 そう言って軽くため息を吐く。



 うーん、確かにエルフの村ではもの凄い子ども扱いだったけど。



 するとカリナさんはもう一度地面を見ながら指さし教えてくれる。


「いい事、森の中とかはその周辺の変化をしっかりと読み取る事。例えばど獲物の足跡なんかでもそうだけど草や葉っぱを踏んだ場合それらは折られてちぎれない限り元に戻ろうとするわ」


 そう言って葉っぱを持ち上げる。

 そして葉の裏を見せてくれる。


「でもダメージは残っているの。ほら、葉っぱの付け根が折れかかっているでしょう?」


「あっ」


「本当だぁ~」


 葉の上からでは分かりづらいけど、裏から見るとその異変に気付く。

 確かに葉っぱの根元が切れては無いけど折れている様だった。


「これが自己修復するのだけど、まだ新しい場合は完全に折れきれてない限り元に戻ろうとするの。ただ、この足跡の主は人ね。ほら……」


 カリナさんはそう言って近くの枝で地面を軽くたたく。

 するとふまれた葉っぱや草が人の足跡の形になる。


「これって人の足跡……」


「そう、踏まれた場所だけもう一度叩いてみるとその形が分かるでしょ? だけどこの足跡、普通の歩き方じゃないの。こう、つま先に重心がかかっているのよね……」


 カリナさん言いながらいくつかの足跡を木の棒ではっきりと見えるようにすると、確かにどれもこれもつま先に重心が行っているようでそこだけ踏み込みが強い。



「単に蔓をよけようとしたからじゃないのですか?」


 リュックスさんはそう言いながら遺跡の中を覗き込む。


「だとすれば普通は踵に重心がもっと行って邪魔な蔓を退けるでしょう? それにこの蔓も可能な限り傷つけないようにしている。まるでここに誰も入って来ていないかのように」


 言いながらカリナさんはトーイさんやザラスさんに目配せをする。

 するとトーイさんもザラスさんも短めのナイフを引っ張り出し蔓を切って入り口を広げる。


「とにかく中に入ってみましょう。この足跡、中に続いているわ」


 そう言いながらカリナさんは光の精霊を呼び出す。

 そしてその明かりを元に私たちは遺跡に入ってみるのだった。



 * * * * *



「やっぱりね……」



 カリナさんは遺跡に入ってしばらくすると壁や床、天井まで確認しながら歩いて行く。

 そしてぽつりと言う。

 

「何か分かったのですか?」


 私がそう聞くとカリナさんは手で何か合図をする。

 それを見たトーイさんやザラスさんは静かに剣を引き抜き、ネッドさんも小声で何か呪文を唱え始める。


 そしてカリナさんは無言で指だけこちらに向けて私やルラ、リュックスさんに近づくよう合図する。


 何だろうと思ってカリナさんに私たちが近づいた時だった。



 ガキーンっ!


 きんっ、きんッ!!



「おっと!」


「ちっ!」


「【防壁魔法】!」



 がきーんっ!



「何者よ!? いきなり襲ってくるとは!?」



 カリナさんの前にいつの間にか現れたのはあの黒づくめだった。

 カリナさんたちは襲われる事を予想していたかのような動きで飛んでくる短剣や襲い来るあの黒く塗りつぶされた剣を受け止める

 しかしそれには毒が塗られているようで刃先がぬめぬめとしていた。


 まずい! 

 

 私はすぐにこの周辺を範囲に設定して「毒」と「火薬」に関するモノを「消し去る」標準に設定する。

 そしてチートスキル「消し去る」を発動させる。


「消し去る!!」


 途端に私のチートスキルが発動してカリナさんと剣を交えていた黒ずくめの黒塗りの剣に付いた毒が消えさる。


「カリナさん、こいつらの毒を消し去りました!!」


「よしっ!」


 カリナさんはそれを聞きつばぜり合いになっていた黒ずくめの剣を払い間合いを取る。



「よしっ! ルラ!!」


「うん、あたしは『最きょぅ……」



「我らにお任せをでござる!」


 

 ばっ!!




 カリナさんたちに加勢しようとしたら何処からともなく忍者装束のスキンヘッドのおっさん三人が飛び出て襲い来た黒づくめたちと剣を交えるのだった。



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