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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第五章:足止め
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5-5わさび捜索

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


わさびですか、興味がありますね?(リュックス談)


「ジマの国で清流が流れる山間の場所ですか?」



 品揃えが抜群に良いシーナ商会でもわさびが無かった。

 時期的に在庫がないとの事。


 だとすると後は自分で探すわけだけど……


「そうです、ジマの国って山の幸がとても新鮮なものが採れるじゃないですか。だったらもしかしてわさびも自生しているかもしれません」


「ちょっとリル、勝手にそんな所に行って怒られない?」


 私の提案にカリナさんは異を唱える。


「大丈夫ですよ、これもわさびの為です!」


 まあ、ジーグの民に狙われているかもしれないと言っても確実ではないし、ベルトバッツさんがよこしたローグの民の人たちもいる。

 私やルラだってチートスキルあるから何とかなるだろう。


 むしろわさびを見つけだして代わりにあの魚醤を分けてもらいたい。



 だって醤油は日本人にとってなくてはならない万能調味料なのだから!!



 ぐっとこぶしを握って私は気合を入れる。


「わさびとお醤油あったらお刺身とかもいけるね~」


「そう、それなのよ!! 市場にマグロが有ったのだから是非ともお刺身で食べたいわよね!? このあいだ買った部分は大トロよ! 大トロ!! ルラだってマグロ好きでしょう?」


 前回市場で買ったマグロは新鮮でどの部位を買っても同じ値段だった。

 私は赤身は勿論、中トロ、大トロの部位を好んで買ったら市場の人に変な顔された。

 肉質としては赤身の方が好まれている様だけど、トロの美味しさを知らなければそうにもなるだろう。

 しかし、そこにお醤油とわさびが手に入ればどれだけマグロがおいしく頂けることか!!


 エルフだから脂っこいもの沢山は食べられないのだけどね……



「とにかくお醤油とわさびが有れば更に美味しくマグロがいただける、これは逃がす手はないのよ!!」



 おおぉ~


 パチパチ



 横でルラが拍手している。

 然しお刺身を知らないカリナさんは首をかしげる。

 

「そんなにおいしいの? そのマグロって魚??」


「至高です!」



 親指立ててニカっと笑う私にカリナさんはため息をつくのだった。



 * * * * *



「ふむ、山に行って来ると言うのですね?」


「はい、まあ実際には山間の沢を探して自生しているわさびを探そうと思っているのですけどね」



 とりあえずお城に戻ってコクさんたちにその旨を伝える。

 黙って行くのは流石にまずいだろうと言う事で目的とかもしっかりと伝える。


 コクさんはしばし考えてから首を縦に振る。



「ソルスタ、アビシュ、ボッシュよ」



 コクさんがあの三人を呼ぶとすぐに近くの柱の陰や観葉植物の影、カーテンの後ろから現れる。


「お呼びで、黒龍様」


「リルたちが山へ行く、分かっておるな?」



「「「はっ、この命に代えましてもお守りいたしますでござる!」」」



 見事に返事がハモってローグの民たちはコクさんに頭を下げる。

 それを見てコクさんは満足そうに頷く。


 こうして私たちは山間の沢を目指してわさび捜索に出かけるのだった。



 * * * * *



「私が知っているのはこんな所ですよ?」


 何故か案内役として料理長のリュックスさんが同行している。

 まあ、地元の人だし自分もそのわさびと言うのを見てみたいと言い出して志願してくれたのだけど。


「リル、そのわさびって植物本当にこんな所に有るの?」


「多分きれいな水が流れている沢の砂利なんかがある所に有ると思うんですよね」


 生前に長野のわさび園と言う所へ家族旅行へ行った時に沢一面がわさび畑だったのを見て感動したもんだ。

 あの時わさびについて解説があったからこっちの世界でももしかしたら同じような条件なら自生しているかもしれないと可能性のありそうな場所へ連れてきてもらった。


 わさびはあの葉っぱの茎を塩で浅漬けにしても美味しいんだよね~。

 ああ、もう一度わさびアイス食べたかったなぁ~。


 そんな事を考えながら沢の方へ歩いて行く。

 そして川の流れを見ると水は清く手を入れてみると冷たい。


「ん、条件は良いみたい。さてと」


 私は立ち上がり目をつぶり意識を集中する。

 そしてエルフ語で言葉に魔力を乗せながら水の精霊、ウンディーネに語り掛ける。



「清らかな水の乙女ウンディーネよ、お願い探し物を手伝って」



 私がそう言って意識を集中するとウンディーネが反応して私の前に姿を現す。


「へぇ、なかなかね。ウンディーネが水を媒介に姿を成型できるほど魔力を与え制御できるなんて」


「それってすごい事なのか、カリナ?」


 私が精霊を呼び出した様子を見てカリナさんがそう言う。

 トーイさんたちにもウィンディーネの姿が見えるように水で姿を作ってもらっている。

 全身透明の水で裸の女性だけど、透き通って見えるからいやらしくは感じない。


「私たちは何時もカリナの精霊魔法を見てますがこうやって精霊に実体化させるのを見るのは初めてですね。カリナ、リルは精霊魔法の使い手として優秀なのですか?」


 ネッドさんもウィンディーネをしげしげと見ながらカリナさんに聞く。


「流石はレミンさんの娘ね。ちょっと魔力の無駄遣いだけどここまで精霊を実体化させるにはかなりの魔力と集中力が必要だわ。普通は実体化させないで目的をこなしてもらうのだけどね」


 カリナさんはっそう言って私を見る。

 うーん、実体化させるのって魔力の無駄遣いだったんだ。

 まあ、いいか。


 私は水の精霊ウンディーネに向かってお願いをする。


「わさびを探しているの。この沢にわさびは自生していない?」


 言いながらイメージを水の精霊に伝える。

 するとウンディーネはすっと川の水に戻っていなくなる。


「あれ? お姉ちゃん失敗したの?」


「ううぅん、わさびのイメージをウンディーネに渡して探してもらってるの。イメージ通りのものが有るかどうか分からないけどね」


 ルラがいなくなった水の精霊を見て心配するけど、探しに行ってもらっている事を教えると沢を見てから私に振り返り首をかしげる。


「そう言えばわさびってどんな格好しているの? あたしチューブ入りとかお寿司のおまけで着いてくるやつしか見た事が無い」


「あ、そうかルラくらいだと知らない子もいるんだよね? うーん、なんて言ったらいいのかな……」


 小学生一年生じゃわさびって言ってもお寿司屋さんとかでしか見た事無いだろう。

 緑色の粘土みたいにうにゅ~って出てくるやつとか。

 でも、そう言われるとわさびって説明するには何とも言い難い形状だよね?


「えーと、人参より小さい感じで深い緑色でごつごつしているのよ」


「ごつごつ?」


 指先で虚空にわさびっぽい形をえがいてみるけど私だってうろ覚えだった。

 わさび園のわさびって言ったって見たのは一度きり。

 言われて見れば何となく記憶の形状もはっきりとしない。


 と、ウンディーネが何かに反応して私に知らせてくれる。


「あ、何か見つけたみたいです。こっちです!」




 ウンディーネが何かを見つけた方へ私は皆を呼び行ってみるのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言]  ちなみに西洋わさび……ホースラディッシュならその辺に植わってたり。  生命力が凄くて、根っこの一部でも土の中に有れば、そこから育ってまたわさびになるとか。  まあ辛さの質が違うんで、好み…
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