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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第四章:帰還への旅
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4-31秘密の力

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


ああぁっ!

もうっ!!(リル談)


「確かリルと言いましたね? あなたは一体何者です?」



 コクさんはずいっと私の前に出てそう言う。

 私にチートスキルが有る事に気付いたようだ。

 緊急だったので私も後先考えずにチートスキル「消し去る」を使ってしまった。

 なんて言い訳しようか悩む私。


 が、その瞬間に窓を突き破り、そして物陰から一斉に数人の黒ずくめが出て来てあの黒塗りの短剣に何かうっすらと輝く布だか紙だかを刺したものをコクさんに向かって突きたてる。



「やらせんでござる!!」


「不埒者どもめ!」


「黒龍様に何しやがるでいやがります!!」



 でも今度はベルトバッツさんもクロさんもクロエさんも素早く対処し黒ずくめの連中を次々に叩きのめす。



 どがっ!


 ばきっ!


 ざしゅっ!!



「舐められたものです。この黒龍、その程度の攻撃でどうこうなると……」


 コクさんがそう言って漏れ出る黒ずくめが立ち向かってくるのを手を振り長く伸ばした爪で八つ裂きにする。

 が、黒ずくめはその瞬間にコクさんに向かってあの短剣を投げつける。


「くどい!」


 そう言いながらコクさんは爪でその短剣を弾き飛ばそうとした時だった。



 ばちっ!



「何っ!?」


 弾き飛ばそうとした短剣にコクさんが触れた瞬間、まるで放電でもしたかのようにその短剣が、いや、短剣に突かれていたあの布だか紙だかがバチバチと放電をしてコクさんの腕に絡まる。



「ふははははははっ! やったぞ! 我がジーグの民の積年の恨み、とうとう黒龍を捕らえたぞ!!」



 残った黒ずくめはそれを見て大笑いを始める。

 そしてコクさんを指さし高々に言い放つ。


「その呪い、貴様も知っているだろう。魂の浸食の呪いだ! 我ら同志ジュメルの手助けでその呪い、今こそ憎っくき黒龍を捕らえた! 我ら一族の無念今ここに晴らされるのだ!!」


 そして手に持つ短剣を自分の胸に向けて突き刺す。



 どすっ!


 どすっ、どすっ!!



「なに!? 自決したのか!!!?」


 クロさんはそれを見て驚くが最後に胸に短剣を突きたてた黒ずくめが笑いながら言う。


「黒龍は呪いにかかった! 女神がいない今ならばその呪いは早急に黒龍の魂を蝕みその命を奪う! 我がジーグの民の積年の恨み、受けるがいい!!」


 そう言って自分の胸に短剣を突き刺しその場に倒れる。



「くっ! これは…… くはっ!」



 ばちばちばちっ!


 ばちっ!!!!



 コクさんの腕を捕らえていたそれは一気にコクさんの身体に広がり、ばちっ! と言う大きな音を立ててて消えた。

 それと同時にコクさんはその場に倒れる。




「黒龍様!」


「こ、黒龍様!!」


「何と言う事でござるか! 黒龍様!!」



 クロさんもクロエさんもベルトバッツさんも慌ててコクさんに駆け寄る。

 


「コクさん! カリナさん、もう大丈夫だから通して!」



 黒ずくめが私の影から出てきてすぐにカリナさんたちは私やルラを守るかのように剣を抜き後ろにかくまっていたけど、コクさんが倒れたのを見た私は慌ててカリナさんたちの守りを退けてコクさんの元へ駆け寄る。


「リル! ああ、もうっ!!」


 何か言いたそうなカリナさんを無視して私はコクさんの方へと駆け寄る。

 そしてクロさんが抱きかかえるコクさんを見ると苦しそうな表情でこちらを見ている。


「油断……しました…… この呪いは…… あのリッチと同じ…… 魂の浸食の呪い…… くっ、お母様のいない時に…… これでは魂の連結がお母様にまで影響を……」


「コクさん! クロさん、クロエさん、ベルトバッツさん何とかならないのですか!?」


 私はクロさんたちなら何か方法があるのではないかと思い聞いてみるけど、クロさんは首を横に振る。



「この呪いは黒龍様の魂、精神世界に影響をする呪い。我々では手の出せない場所なのです。くっ、主様がいてくださればこの程度の呪い一瞬で消し去ってっていただけるのに!!」


「黒龍様! こんな時に何処行っていやがるのですか、主様は!!」



 そう言ってクロさんもクロエさんも悔しがる。

 主様ってエルハイミさんの事?

 だったらすぐに呼び戻せば……


「かはっ!」


 私がそう思った時だった。

 コクさんが更に苦しみ始めた。



「こ、この呪いは…… 進行が……早ぃ…… いけない、このままでは……お母様にまでこの呪いの…… 影響が!!」



 こんな時だと言うのにコクさんは自分の事よりエルハイミさんの事を心配するなんて……

 エルハイミさんがいればこんな呪いは消し去れるとクロさんは言っていた。

 だから早くエルハイミさんを呼び戻して……



 ん?

 消し去る……


 もしかして私のチートスキル、「消し去る」でこの呪いを消し去れるのでは??



「かはっ! だ、だめ…… です…… 呪いの進行…… は、早い……」


 コクさんはがくがくと体を震わせる。

 いけない、このままではコクさんが!

 私は心配しているクロエさんやベルトバッツさんを押し退け言う。


「すみません、退いてください。一か八かコクさんの呪いを『消し去り』ます!!」


「なっ!? お前にそんな事が出来るでいやがりますか!?」


「先ほどの黒龍様への攻撃を消し去った力か…… 主様不在のこの緊急時、試してみるしかない。頼みますぞリル殿!!」


 驚くクロエさんや心配をしているベルトバッツさんはクロさんに抱きかかえられているコクさんへ私が手を差し伸べられるようにその場を開けてくれる。

 そして頷いてから私は手を伸ばす。



 私はチートスキル「消し去る」をコクさんにかかった呪いに使うのだった。

 

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