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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第四章:帰還への旅
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4-18大迷宮

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


この迷宮デカッ!(ルラ談)


 迷宮はとても広い所らしい。

 全部で地下十層くらいあるらしく、記録では第六層にまでしか人類は到達していないらしい。



「もともとは古い女神、暗黒の女神ディメルモ様の居城であったと言われてるわ。もう人の世界ではそんな事も忘れ去られているけどね……」


 クロエさんについて歩いているカリナさんは私たちにそんな事を話してくれる。


 そう言えば今の人間の世界では新しい女神様、エルハイミさんを崇拝していて古い女神様の事なんて忘れ去られているらしい。

 カリナさんのそんな説明を聞きながら遺跡の入り口に有る竜の石像近くでクロエさんは呪文を唱えると一瞬で薄暗い場所へ移動していた。



「これが転移魔法ですか! 素晴らしい。今の世界では失われた魔法」



 なんかネッドさんが感動している。

 そんなネッドさんをカリナさんやトーイさん、ザラスさんは見て笑ってる。



「ネッドは魔法に関しては昔から興味津々だもんな」


「ああ、小さい頃から大魔導士になるって言ってたもんな」


 トーイさんやザラスさんはそう言いながら、私たちはすぐ近くに有る別の竜の石像の元へクロエさんが行くのでついてゆく。


「この子たちは小さな頃から冒険者になる事に憧れていたからね。ネッドは特に町には無い古文書を迷宮や遺跡で探し出す事が大好きだったからね」


 カリナさんはネッドさんたちを見ながらそう言う。

 そしてふっと笑う。


「今では私について来てこんなのだけどね」


「そう、何ですか?」


 楽しそうなカリナさんを見てからネッドさんたちを見る。

 見た感じはカリナさんや私たちより年上に感じる。

 いや、私やルラよりは確かに年上なんだろうけどこの先私たちに関わる人たちは先に老いてゆくんだなぁ……



「次の階に行くでいやがります。早くこちらに来るでいやがります」


 そんな事を思っていたらクロエさんが急かせる。

 私たちは慌ててクロエさんに付いて行ってさらに下の階に転移するのだった。



 * * *



「もう地下三階!!」



 カリナさんは大いに驚いている。

 それはトーイさんやザラスさん、ネッドさんも同じだった。


「俺たちの記録が地下四階だってのに、もう三階かよ? 真面目にここに来るまでだって一体何週間、いや魔物の出方では一月以上かかっちまうってのに……」


 ザラスさんは上に繋がる階段を見て唸る。

 それほどこの迷宮は正攻法で行くと広いと言う事らしい。



「次行くでいやがります」


 しかしそんな事は気にも留めずにクロエさんは次の石像にまで行く。

 そしてそれは次の地下四階、地下五階も同じだった。



 しかし……



「次行きやがるで……ちょっと待つでいやがります。ベルトバッツ、いるでいやがりますか?」


「クロエ殿か? お呼びでござるか??」



 クロエさんは石像の所に行く前に迷宮の奥の方に目をやる。

 するとよくよく見ればその奥に変な民族衣装と言うか、忍者っぽい人たちが沢山いた。

 そしてクロエさんが呼び付けるとそれは足元からまるで水銀の塊のようににゅろ~んと伸びあがり、髭(づら)の禿げた頭のおっさんになる。



「な、何っ!?」


「まさか敵か!?」


「こいつは一体!?」


「魔物ですか!? 見た事が無い!!」



 カリナさんやトーイさん、ザラスさんにネッドさんは緊張をする。

 そりゃぁいきなりこんなのが出てくれば誰だって驚く。

 私やルラだって髪の毛逆立てて驚いたよ。



「騒ぐでないでいやがります。こいつはベルトバッツ、ローグの民にして黒龍様の忠実な僕でいやがります」


「し、僕? 黒龍様の?」


 カリナさんは驚き水銀の表面だったのがいつの間にか普通の色に変わって人になっているそれを見る。



「お初にお目にかかるでござる。黒龍様の忠実な僕、ローグの民のベルトバッツと申す」



 ベルトバッツさんとか言う人はそう言って人懐っこい顔で挨拶をしてきてくれる。

 しかしクロエさんはそんなベルトバッツさんをむんずとつかんで迷宮の奥を指さし聞く。


「それであれは何なんでいやがりますか? まさかあれは全部ローグの民でいやがりますか?」


「これはクロ様からのご命令でござる。黒龍様がお忙しく、慈悲深きクロ様のご配慮で民を一旦ジマの国に避難させろと言うのでござる」



「そこまで主様と黒龍様が荒れているでいやがりますか!?」


「主様が転移なされるのを黒龍様が阻止しているのでござるが、その影響が迷宮に及びいろいろと何処かへ飛ばされているでござる。最下層ではクロ様がその処理に追われているようでござるな」


 クロエさんの驚きにベルトバッツさんはため息をつきながら後ろの人々を見ている。


 なんかすごい話になってきているみたい。

 ローグの民ってなんだか良く分からないけど、少なくともここから見れる人数だって数十人どころじゃない。

 かなりの数の人がいる。

 それがみんな退避って……


 一体この先で何が起こっているの?

 そんな所へ私たちが行って大丈夫なのだろうか?




 私は嫌な予感しかしないのだった。



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[一言] >待つでいやがります。ベルトバッツ、いるでいやがりますか?  おおぅ。  ベルトバッツってば、まだ生きてた……と言うより老衰で○ななくなったの?  いや、既に○んだ上であの体になったから、…
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