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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第四章:帰還への旅
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4-17クロエ

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


この世界の女神様があのエルハイミさんだなんて……(リル談)


 ドラゴンニュートでメイドさんで美少女、そして女神殺しの太古の竜の従者。

 それが今目の前で苛立っているクロエさんと言う存在だ。



「とにかく今は主様が錯乱していやがるです。いくら黒龍様がそれを落ち着かせようとしても理由も分からず暴れまくっているでいやがります。このままでは大迷宮が崩壊してしまうでいやがります」



 クロエさんは腕組みをしながらそう言う。


 いや、そんな説明じゃ何が何だか……



「あのぉ~、クロエ様、もしかしてエルハイミさんに何か有ったのでしょうか?」


「大ありでいやがります! 主様がいきなりわめき出して錯乱するから黒龍様がそれを落ち着かせようとするも、『行くのですわぁっ!!』とかわめき散らかして転移をしようとするモノだからそれを止めようと黒龍様が無理をなさって……」


 ぐっとこぶしを握りわなわなと震える。

 そんなクロエさんの説明にこちらは更に意味が分からなくなり、困惑する。



「カリナ、俺たちにも分かるように説明してもらえないか?」


 トーイさんのその言葉にみんながカリナさんを見る。

 

「えっ? 私!? あ、えーと、クロエ様良いでしょうか?」


「ふん、まあいいでいやがります。そこのエルフにも少し聞きたい事が有るでいやがります」


 カリナさんはクロエさんに確認をしてから私たちに話始めるのだった。



 * * * * *



 話を聞いて驚かされた。



 まずはエルハイミさん。


 あの魔法使いだと思っていた人が実は今の女神様で、更に三人に分かれる事が出来て一人がシェルさん、一人が黒龍様、そして最後の一人が天界にいるそうだ。


 この世界の女神様を今はしているので天界にいるエルハイミさんがもっと大人の姿で人々の前に現れるとか。

 で、シェルさんと一緒に居るエルハイミさんが実質世の中の細やかな事を見ていて、そして今大迷宮の底にいるエルハイミさんが黒龍様と一緒に今の所は何も無いので静かに暮らしているとか。

 このエルハイミさんは世界に問題があった時に黒龍様と一緒に処理に出かけるとか。


 で、エルハイミさんは愛する人の為にこの世界を安定させて維持するのが目的らしく、三人のエルハイミさんは全てその人の為に行動をしているとか。



「エルハイミさんって三人もいたんだ…… 道理であの時 『私に似ている人は他にも何人かいますしね~。多分他の誰かと間違えたのでしょうですわ』なんて言っていたわけだ……」



 なんか妙に納得。


 


 で、次にシェルさんなんだけど……



「シェルさんがエルハイミさんと魂の隷属をしている!?」



 聞かされて驚いたのがシェルさんが「女神様の伴侶」とか言われている本当の理由が魂の隷属をしていると言う事らしい。

 「時の指輪」なんてものも勿論エルハイミさんに渡してはいるらしいけど、それよりもっと根の深い所でエルハイミさんとシェルさんは繋がっているらしい。


 なのでメル長老並みかそれ以上に精霊魔法に長けていて普通のエルフにはできない事も出来てしまうらしい。

 例えば魂の色とか見たりとか。



「そう言えばシェルさんってエルハイミさんと同じく瞳の色を薄い金色に変えていたっけ……」


「そうね、シェルはそう言った特殊な能力も持っているの。だから何か有った時は頼りにはなるんだけどね。問題はあの子のその、何と言うか、問題をいつも引き連れて来ると言うか……」



 カリナさんのその言いにくそうな様子に思い当たる節が沢山有る。

 妹のシャルさんでさえ警戒するほどだし。


「それで、あのバカエルフのシェルについていた主様が何故いきなり大騒ぎを始めたでいやがりますか?」


 ずっと腕を組んで黙っていたクロエさんはこちらを見下ろし聞いてくる。


「えーと、シャルさんがジルの村ってところから連絡をもらって、たしか『彼女が覚醒した。そちらに行っているだろうからこの事を伝えて欲しい』って伝えたとたんエルハイミさんが大騒ぎを始めて『行くのですのぉー!!』とか言い出してそれを止めようとしたシェルさんを引っ張るのを手伝っていた私とルラは今ここにいるって事です」


 ため息を吐きながらそう言うとクロエさんはもの凄く嫌そうな顔をする。



「覚醒でいやがりますか…… これで状況が理解できたでいやがります」



 そう言ってその場で目をつぶりしばし静かにしている。

 何をやっているのだろうと覗き込むと奇麗な顔がだんだんと険しくなって行き眉間にしわが出来る。


「分かりました。ではこの者たちを連れて行きますでいやがります」


 クロエさんはそう言って目を開きため息をついてから私たちを見る。

 なんか誰かと連絡でもしていたみたい?



「ここにいる主様を落ち着かせるために黒龍様は忙しいでいやがります。黒龍様はもっと詳しいお話が聞きたいらしいのでお前たちを連れてくるよう言っているでいやがります。私と一緒に来るでいやがります!」


 そう言って私たちを一瞥して踵を返す。



「あの、クロエ様? 私たちも行くんですか??」


「勿論でいやがります。黒龍様はここにいる全員を呼べとのご命令でいやがります。ついてくるでいやがります!」



 有無を言わさないその口調にカリナさんはびくびくしながら仕方なくついてゆく。

 勿論トーイさんやザラスさん、ネッドさんも同じだ。


 私とルラは顔を見合わせ皆さんについてゆくのだった。



 * * *



 その迷宮の入り口はぎりぎりイザンカ王国の領土に有った。

 実際はほとんど国境なんだけど、ぽっかりと開いたその入り口は人の手が加えられた石造りの遺跡のようだった。



「ここから各階のゲートを通って最下層まで行くでいやがります。途中長い階段なども有るからはぐれないようにするでいやがります」



「各階にゲートが有るんですか…… 知らなかった……」


 カリナさんはクロエさんのその説明に興味津々で着いてゆく。

 それを見てトーイさんたちは苦笑を浮かべる。


「カリナにとって深い層へ行くのは憧れでしたからね。下に行けば行くほど強い魔物がいるし、珍しい鉱石なども手に入る。しかしこの大迷宮は各層が広すぎる。下の階に降りる場所を探すだけでも至難の業でしたよ」


 ネッドさんはつぶやくように私たちにそう説明してくれる。


「この迷宮てそんなに広いのですか?」


「噂では最下層へ行くのに一年以上かかるらしいですね」



「一年っ!?」



 何なんだその迷宮は!?

 そんなにデカい所へこれから入らなければならないの?



「ちゃんとついてくるでいやがります。はぐれたら見つけ出すのも困難でいやがりますからね」





 そう言うクロエさんに私とルラは思わずぴったりと付いてゆくのだった。

  


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[一言] >ここにいる主様を落ち着かせるために黒龍様は忙しいでいやがります。黒龍様はもっと詳しいお話が聞きたいらしいのでお前たちを連れてくるよう言っているでいやがります。  船とか使うより、こっちの…
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