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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第四章:帰還への旅
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4-10お礼のご飯

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


なにこれ美味しいっ!?(カリナ談)


 私は食材を取り出し、お鍋に【水生成魔法】で水を張り火にかける。

 それを見ながらカリナさんは疑心暗鬼に聞いてくる。



「リル、気持ちはうれしいのだけど、まさかエルフ豆って事は無いわよね?」


「違いますってば! ちゃんと人間の世界でもお料理覚えました、任せてください!」



 気持ちはわかる。


 エルフの村から出れば外の世界には美味しいものがあると言う事に気付く。

 となれば渡りのエルフがなかなか村に戻ろうとしないのも理解できる。



 だって毎日エルフ豆とかキノコとか、さなぎの油揚げなんて冗談じゃない!



 これから帰らなければならないエルフの村だけど、それまでに何としてでも美味しい物を掻き集めシャルさんにもお願いしてこのポーチにしまっておかなければ村に帰ってからまたあの悲惨な食事に戻ってしまう。



 それだけは、それだけはぁっ!



 ぐっと包丁を握って私は力む。



「お姉ちゃんが本気だ! 今日の晩御飯はきっとおいしいよ!!」


 横で見ていたルラが嬉々としている。

 みなさんへのお礼もある。

 ここはひとつ本気で頑張っておいしい物を作ろう!


 私はそう心に誓い、まずはシチューを作る。



 人参、ジャガイモ、玉ねぎに鶏肉、牛乳に小麦粉、パルメザンチーズに塩、そして隠し味の乾燥バジル。

 

 食材を並べて処理を始める。

 野菜はやや小さ目にして早めに煮えるようにしておく。

 

 刻んだニンニクをフライパンに入れて軽くオリーブオイルで香りを出す。

 するといい香りが漂いカリナさんたちが驚く。



「なにこれ? ガーリックのいい香りがこんなに!?」


「何を作る気なんだ?」


「美味そうな香りだな」


「なるほど、香りを引き立てる為に先にガーリックを油で炒めるのですね?」



 既に皆さん私が作る料理に注目をしている。


 私はそこへやはり小さめに刻んだ鶏肉を入れてこんがりと表面がきつね色になるまで炒める。

 炒め終わったら鍋に入れて今度は残りの油と肉汁で野菜を炒めてから鍋に入れる。

 お玉で鍋のお湯をすくってフライパンの残り汁も奇麗に洗い流し鍋に戻す。


 そこへ乾燥バジル、塩を少々入れて煮込み始める。



 その間にフライパンを奇麗にして小麦粉を炒め始める。


 焦げ付かない様に炒って、そこへ牛乳を少しづつ流し込み、とろみが出始めたらバターを少々、パルメザンチーズも少々入れて煮込む。

 くつくつと煮え始めたお鍋の具材の様子を見ながらフライパンのソースを少しづつ流し入れる。

 全部入れ終わったら火から少し遠くに鍋をずらし、弱火でコトコトと煮る。

 

 ルラを呼んでへらで焦げ付かない様にゆっくりと掻き回してもらう。



 そして次にベーコンを取り出し軽く切れ目を入れてから火にかけておいたフライパンに乗せる。



 じゅぅううううぅ~っ!



 厚切りベーコンは音を立ててフライパンで焼かれる。

 すると途端にいい香りが漂い始める。



「ベーコンか! こりゃまた贅沢な!!」


「ベーコン何て久しく食ってないな」



 トーイさんやザラスさんは私がベーコンを焼き始めるといち早く気付く。

 私は焚火の周りに囲まれて熱くなっている石を見る。



「炎の精霊よ、その石の汚れを燃やし尽くして!」



 エルフ語でそう言いながら炎の精霊にお願いすると炎の中から炎のトカゲが出て来て石の上を奇麗に燃やし尽くす。


「ありがとうね」


 そう言いながらポーチからあのパン屋さんの生の生地を取り出し薄く延ばして石の上に置くとナンのように薄い直焼きパンが出来あがる。



 私は焼きあがったベーコンを人数分に切り分け、そしてシーナ商会で手に入れていたマスタードを添えて焼き上がったナンと一緒にお皿に入れて皆さんに手渡す。


 ルラにかき混ぜてもらっていたシチューも良い感じに上がっていたのでお椀によそって皆さんへ。



「さあ出来ました! 助けてもらったお礼も兼ねてどうぞ召し上がれ!!」



 おおぉ~!



 流石に目の前にちゃんとしたものが出されてカリナさんも驚いている。


「へぇ~、リルって若木なのに凄いわね! どれもこれも美味しそうじゃない?」


「どうぞ召し上がってください。レッドゲイルの赤竜亭仕込みのお料理ですよ!」


 私はそう言うとカリナさんたちは早速食事を始める。

 そして皆さん同時に驚く。



「なんだこれ、すげーうまい!!」


「ほんとだ、このベーコンに付けるソース、すっぱからくて美味い!!」


「凄いですね、このシチューユエバの町でも無いほどおいしいですよ」


「リル、あなた本当にすごいわね! これ本当に美味しいわよ!?」



 反応は上々。

 結構今回は本気で頑張った。

 ちょっと時間がかかったけど皆さん美味しいって言ってくれた。



「んはぁ~♡ お姉ちゃん、ベーコンもシチューもナンも美味しぃ♡」


 勿論ルラもにこにこ顔で食事をしている。

 そんな様子を見ながら私もシチューを口に運ぶ。


「ん、上出来」


 鶏肉をガーリックで炒めてその残り汁もちゃんと使っているからコクもあり小さく切った野菜が短時間でもちゃんと煮えて旨味を出している。

 隠し味に使ったチーズもいい味出しているし、何よりナンにも合う。

 

 そしてメインのベーコン。


 厚切りベーコンをこんがりと焼いたので脂身も柔らかくなっている。

 豚の脂身がしつこくならないようにマスタードを添えているのでその酸味とわずかな辛味がベーコンの味を引き立てる。



 私はもしゃもしゃと食事をしているとトーイさんやザラスさんが物欲しそうにこちらを見ている。



「まだシチューとナンはありますよ? おかわりいりますか?」


「「勿論!!」」



 即答。

 まあ作った側にしてみればうれしいので空いたお椀を受け取る。

 




 私は笑いながらおかわりを入れたお椀を皆さんに渡すのだった。 

 


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― 新着の感想 ―
[一言]  …………あかん(肩ぷるぷる)  トイザ○スの熱い宣伝が続いてて、腹筋に負荷ががががががががが。
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