1-4災いは勝手にやって来るもの
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
私ちゃんと女ですわよ?(エルハイミ談)
私は震える指であの駄女神を指さす。
「なんであんたがここにいるのよ!?」
「はい、ですわ??」
彼女はかわいらしく小首をかしげるけど、私たちをこの世界に転生させた張本人が目の前にいる。
あの時は勝手に話を進められて、面白そうだから時たま覗くとか言われたままだった。
ここで会ったが百年目、文句の一つも言ってやらないと気が済まない。
「あら? この子たちが例の双子? ずいぶんと元気ね??」
「ね、姉さん…… 一体何をしに帰って来たのよ!?」
シャルさんはシャルさんのお姉さんと思しき人にやっぱり驚きと警戒心を持ったまま聞く。
「何しに来たって、エルハイミ連れて村の様子を見に来ただけよ?」
「本当にそうなの? 姉さん帰ってくるたびに毎回厄介ごと引き連れて来るから……」
なにそれ?
シャルさんのお姉さんって疫病神か何かなの?
「相変わらず元気そうで何よりですわ、シャル」
「って! そうだった、なんであんたがこんな所にいるのよ!?」
シャルさんとお姉さんの話で一瞬その存在を忘れかけたけど、この駄女神なんでここにいるのよ?
「あら、こちらは初顔ですわね? もしかしてシャルの話していた双子ですの?」
「いやいやいや、あんたが全部やったのでしょうに!?」
指を突き付けそう言う私にこの駄女神はやっぱり首をかしげる。
「はて、何処かでお会いしましたっけ? 長く生きているとエルフ族の人とはどこかで顔合わせくらいはしているのですが、流石に全部は覚えていないのですわ」
「いやいや、この子たちは初顔よ、エルハイミ?」
「あらそうですの? 私はエルハイミと申しますわ」
プルプルと指を震わせた私だったけど流石に此処でこの目の前の人が駄女神じゃないと気付く。
でもあまりにも似ているその容姿はどう考えても駄女神そのものだった。
「あたしルラ! こっちはお姉ちゃんのリルだよ~」
私がそんな事を考えているとルラが先に自己紹介をした。
私は慌てて挨拶をする。
「す、すみません。リルです。人違いしたみたいです……」
「はい、かまいませんわ。私に似ている人は他にも何人かいますしね~。多分他の誰かと間違えたのでしょうですわ」
にこにことそう笑う彼女はかわいらしい。
エルフ族では無いのだろうけど、なんかこの可愛らしさってずるくない?
胸だってなんか大きいし……
私がそんな事を思っているとシャルさんがため息交じりで私たちにこの二人を紹介してくる。
「リルとルラは姉さんは初めてだっけ? エルハイミさんとシェル姉さんよ。もうずっと外の世界で生活してるけどたまに村に戻ってくるのよね…… 姉さん、今回は本当に何も無いのでしょうね?」
「シャル、人を問題児のような目で見ないでよ。えーとリルとルラだっけ? 確かレミンの所の子供だっけ?」
「はい、そうです。えーとシェルさん」
シャルさんによく似ているけどやっぱりもっとお姉さんぽくてなんか胸もエルフにしてはやや大きい。
やっぱり大人になれば私もあのくらいにはなれるよね?
せめて生前の大きさくらいにはなって欲しいよね!?
そんな事を考えているとシャルさんの家の扉が開いておじさんが出てくる。
ばんっ!
「シェルぅ~! お帰りぃ~! ちっ、なんだお前も一緒か…… ぐぼぉっ!?」
ばきっ!
おじさんはいきなり後ろから現れたおばさんに殴られ天高く吹き飛ばされる。
思わず私はそれに唖然となる。
「あらあなたぁ、せっかくエルハイミちゃんとシェルが帰って来たのだから立ち話なんてしてないでさっさと家に入れてあげなさいよ。それでシェル、子供は出来たの!?」
「か、母さん。相変わらず父さんには容赦ないわね? まあその、まだ傷モノにさえしてもらって無いわよ……」
シェルさんはそう言いながら少し赤くなってエルハイミさんをちらちらと見る。
「姉さん、まだだったんだ……」
え?
え、どう言う事?
こ、子供って、その、そう言う事の話ぃ!?
でもシェルさんはエルハイミさんをもじもじしながら見てるって事は……
「エ、エルハイミさんって男なんですか!? そんな可愛らしい姿で!!!?」
「あー、リル。その辺のお話はまだあなたには早かったわね…… もう少し大きく成ったら話してあげるから、今日はもう帰りなさい」
シャルさんはため息をつきながらそう言うけど一体どう言う事なのよぉ!?
「えっと、一応私は女ですわよ?」
「エルハイミ、今はやめておきましょう。この若木が混乱するわ……」
エルハイミさんは胸の前でぐっとこぶしを握り鼻息荒くそう力説するけど、私は余計に混乱する。
しかしそんな私の手をルラが握って引っ張って行く。
「話はまた明日で良いよ~。あたしお腹すいて来た。シャルさん、シェルさん、エルハイミさん、おじさんおばさんまた明日ね~」
そう言って手を振って歩き出すルラに引きずられながら私たちは家に帰るのだった。
……やっぱり気になって夜も眠れないよぉっ!!
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