エピローグ:腹ぺこエルフは今日も美味しい物を探します
美味しい物は何処だ?
何時も腹ぺこなエルフの姉妹。
そんなお話もこれにておしまいです!
「リル~、ルラ起こして来て~」
「は~いぃ」
マーヤ母さんに言われてまだ寝ていルラを起こしに行く。
私たちはボヘーミャでまた魔術を学ぶために学校へと通う事となった。
「ほらルラっ! 起きろぉーっ!!」
かけ布団の端を持って一気に引っ張り上げる。
すると布団にくるまっていたルラはころころと畳の上に転げだす。
ばふっ!
ごろん
「う~ん、もうちょっとぉ~」
「何言ってるのよ、マーヤ母さんの朝ごはん出来たわよ?」
「ん~、じゃあ起きるぅ~」
ルラはそう言ってのそのそと起き上がり、寝間着である浴衣を脱ぎ始める。
まったく、こんなだらしない格好を他の人に見られたらどうするのだろう?
脱ぎ散らかす浴衣を拾い上げて私はそれをたたんでおく。
と、何となく裸のルラを見てぎょっとする。
「ル、ルラ…… あんたもしかして胸大きく成った?」
「ん~? そうかもしんない。最近胸が張って来て邪魔だよぉ、ふわぁ~」
こ、こいつ!
同じ双子のくせしてなんでルラだけ胸が大きく成るのよ!?
なんかあからさまに胸が大きく成って来ている!!
「くっ! なんでよ!!」
がしっ!
「あひゃっ♡」
思わすルラの胸を掴む。
確実に大きく成っていた。
少なくとも、温泉饅頭から酒まんじゅうくらいには大きく!
わ、私なんか毎晩内緒で胸のマッサージとかして、ちょっと気持ち良くなるくらいまで頑張っているのに、いまだに温泉饅頭にも達していないというのに!!
それなのにルラだけぇ~っ!!
ふみょふみょ~
「んぁっ♡ 駄目だよお姉ちゃん、そんなに揉んだら変な気持ちになっちゃうよぉ~♡」
「くぅ~っ、うらやましいっ!!」
思わず妹の胸を揉んでしまうが、本当になんで同じもの食べて同じ環境のはずなのにルラだけ大きく成る?
「リルにルラ、マーヤが朝食の準備が出来たと言ってますよ?」
私がルラの胸を揉んでいると、ユカ父さんがやって来た。
そして私たちを見てぎょっとする。
「リ、リル、それは禁断の姉妹愛ですよ!? その、気持ちは分からなくは有りませんが流石に姉妹でそう言う関係は……」
「ち、違います! ルラの胸が大きく成ってたんで確認しただけです!!」
「そ、そうなのですか? しかしルラの表情が……」
ユカ父さんにそう言われ、ルラの顔を見ると頬を赤く染め、なんかうっとりとした感じになり始めていた。
ふみょふみょふみょ~
ばっ!
揉んでいた手を慌てて放す。
ルラはなんかはぁはぁと息が荒い。
「はぁはぁ、ん~、なんでやめちゃうのお姉ちゃん~♡ なんかすごく気持ち良かったのにぃ~♡」
「な、違う、そうじゃないってば!!」
「ふう、リルもこちらの世界に目覚めてしまいましたか…… 確かに同性どうしでと言うのは最初、私も抵抗がありましたが慣れるとそれはそれでまた///////」
「ユカ父さん、それ以上は言わないでぇっ!!」
私は慌ててそれ以上言わせないようにする。
と、マーヤ母さんも来た。
「どうしたのみんな? ご飯冷めちゃうわよ…… あらぁ~♡」
マーヤ母さんはルラが裸で赤い顔してはぁはぁ言って、それを見ているユカ父さんも顔を赤くして、そして今しがたルラの胸から手を放したばかりの私の姿を見てにんまりとする。
「まだ早いけど、こっちの世界だとそう言う事覚えちゃうのよねぇ~」
「覚えてませんから、そう言うの!!」
朝から騒がしい我が家であった。
* * * * *
「何朝から疲れた顔してるのよ?」
「ああ、ヤリスおはようございます。いや、ちょっと朝からごたごたしたもので……」
「おはよ~ヤリス~」
講堂で机に座っているとヤリスがやって来た。
そしてぐったりしている私やルラにに挨拶をしてくる。
ヤリスは私の隣に座りながら聞いてくる。
「そう言えばソルミナ教授がまた新しい研究を始めるから、受講が終わったら研究室に来いですって。大丈夫よね?」
「はぁ? またなんかやらかすんですか?」
ソルミナ教授の研究は十回に一回くらいの割合で役に立ちそうなものもある。
しかし言い換えれば残り九割は残念なものばかりだ。
以前だって植物の中に複数の種類を封じ込めてパンの生る木とか作ろうとして、食人植物になっちゃったりとかして危うく食べられるところだった。
そりゃぁ、パンなんて複雑な多くの栄養が必要な物だから、植物だって肥やしが必要になる。
問題はその効率化がたんぱく質を根源とする動物を捕食して栄養源にするという風になってしまった事だ。
あの時はルラがいなかったらヤバかった。
「分かりました、今度は安全なものがいいですね……」
「大丈夫よ、今度は私も助けるわよ」
そう言ってぴょこんとこめかみの上に三つずつトゲのような癖っ毛を出して体をうっすらと輝かせる。
ちゃんと女神様の力が使えるようになっているのをアピールするのは良いけど、これって目立つんだよなぁ~。
「はいはい、分かりました。その時はお願いしますね」
「うん♡」
ヤリスは笑顔でそう答えてくれるのだった。
* * * * *
「ソルミナ教授、来ましたよ~」
「こんにちわぁ~!」
講義が終わって、昼食も取らずにヤリスに言われるままソルミナ教授の研究室へ来る。
と、なんか良い匂いがふわっとしてくる?
「お、きたきた」
「いらっしゃいですわ、リルさんルラさん」
見れば研究室の中にはソルミナ教授のほかにアニシス様やサ・コーンさん、ウ・コーンさん、スィーフの皆さんにエリリアさんたちがいた。
更にユカ父さんやマーヤ母さんまで!?
そして机の上には沢山のお料理。
「こ、これは……」
「うわぁ~、美味しそうなものいっぱい! あ、たこ焼きもある!!」
驚き皆さんを見渡すとソルミナ教授が杯を持ち上げて言う。
「やっと帰って来たのにまだ帰還祝いしてなかったじゃない? このあいだの研究で臨時収入があったからね、今日は私のおごりよ! さぁジャンジャン飲んで食べて次の研究にもしっかりと協力してもらうわよ!! 今度は兄さんを落す為の媚薬よ媚薬! 今度こそはぁ~っ!!」
「はいはいソルミナ教授、それはまた後でですわ。はい、二人もどうぞ」
そう言ってアニシス様は私とルラに杯を手渡して来る。
私とルラはそれを受け取りきょとんとする。
でも。
「みんなありがとうございます!」
素直にお礼を言う。
「それじゃぁ、リルとルラの帰還を祝ってかんぱーいっ!!」
『かんぱーいっ!!!!』
ヤリスの音頭で一斉に杯をかかげ乾杯をする。
そして美味しいものに舌鼓しながらあの後私たちがどうなったかを話しながらみんなと楽しく帰還祝賀会を楽しむのだった。
「腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~」
―― fin ――
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あとがき:
まずは、ここまでお付き合いくださった読者様に御礼申し上げます。
ありがとうね!
「腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~」これにて終了です。
いやはや、長くなっちゃた。
もともと「エルハイミシリーズ」と題するように、「エルハイミ‐おっさんが異世界転生して美少女に!?‐」の後日談でした。
もっとも、主人公はリルとルラの双子のエルフの姉妹ですが。
時系列的にはエルハミのお話から1000年後、「ぼくの姉は世界最強の師匠!-お姉ちゃんが立派な男にしてあげる異世界姉弟冒険譚-」のお話の300年前と言う、「世界の壁」が崩壊する原因のお話でした。
本当はもっとサクッと終わるはずだったのですが、イージム大陸に飛ばされてから長かったり、エルフの村に戻ってから学園に留学したりと、詳細を書いていたらここまで長くなりました。
私も料理好きなので、料理話とか書いてると楽しくてついつい長くなっちゃうんですよねぇ~。
で、一応空白部分だった「世界の壁」崩壊原因も書けたので「エルハイミシリーズ」もひと段落ですね。
ただ、この後「悪の女幹部(仮)」なんて更にもっと後の時代でのお話のネタもあるのですが、今は小休憩と言う事で(笑)。
しばらくはコンテスト用の10万文字クラスの読み切りを書いて行こうかと思ってます。
長いのって、今まではだらだらと大元の大プロットにその時期に修正で入れられた小プロット書いたりでやって来たんですが、もう少し物語の流れのメリハリとか仕掛けなんかを充実したいので、ちょっとお休みですね。
大体にして100万文字クラスになるから、書くとなれば一日2500文字でも一年くらいはかかりますもんね~。
現状活動は毎日更新が難しくなっているので、100万文字でも一年半はかかるかな?
ブーストかかっていても、10万文字も大体ひと月くらいかかりますもんね~。
2019年からそれまで書いた事の無い小説書き始めましたが、今年で6年目です。
そろそろ勢いだけで書けるようにはなりません。
いや、書くこと自体は楽しいのでやめませんが、もう少し万人向けになる様なものも書いて行かなきゃですね。
プロ作家になりたいという訳ではないのですが、何処かで一回くらいは入賞してみたいという欲はあります。
なので、今までは「楽しいから」書いていた小説を「一度は入賞」を狙った小説にして行こうかなと。
ああ、勿論「楽しい」はやめるつもりはありません。
基本、私は自分が楽しく無ければやりたがらない性分なので。
ですのでこれからも思い付きや楽しそうなら短編や中編も書いていきます。
そして「エルハイミシリーズ」も。
少々お話が脱線しましたが、この後二人エルフの姉妹がどうなったか?
いやいや、聞く必要ないですよね?
きっと毎日美味しい物を探したり作ったりしてハチャメチャな学園生活を満喫する事でしょう。
それではみなさん、長々とお付き合い頂きありがとうございました!
またどこか他の物語でお会いできることを願って。
さいとう みさき
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