17-4チートスキル
とうとう始まってしまった世界の崩壊。
女神エルハイミが崩壊の原因である「世界の壁」の修復へと向かう中、リルとルラは次元のひびから現れた異界の者、こちらの世界では悪魔であり魔人である者たちを迎撃する為に奮闘する。
果たして世界の崩壊は食い止められるのか?
そしてリルとルラの運命は!?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
「あたしは『最強』!!」
ルラはチートスキル「最強」を発動させて悪魔将軍に飛び掛かる。
すると、ルラを脅威と感じたのか、悪魔将軍は体の周りに電気がバチバチと光る球をいくつも作り出しそれをルラめがけて撃ち出す。
「光の弾を『消し去る』!!」
しかしその弾はルラにぶつかるよりも早く私のチートスキル「消し去る」によって消え去ってしまう。
『ゴガァアアアァァッ!』
悪魔将軍はそう叫び、ルラに剣を振り下ろす。
しかし、ルラは飛び上がって空中だというのに体をひねりその一撃をかわしながら拳を腰に溜め、一気にそれを打ち出す。
「必殺、ぱーんち!」
その一撃は悪魔将軍の持つ盾により防がれてしまった。
しかし、ルラの拳がその盾にぶつかった瞬間、その盾はひびを走らせ一気にバラバラに崩れ落ちる。
ばきっ!
びきびきびき
ばっぎゃーんっ!!
「よしっ! 奴の盾を破壊したぞ!!」
「これで守りは弱まった、一気に仕留める!!」
「いくぞ、ガレント流剣技九の型、九頭閃光ッ!!」
盾を壊された悪魔将軍は一歩下がって持っていた盾の破片を投げ捨て、両の手であの大剣を握る。
そしてその大剣の刃に炎を燃え上がらせ、やって来る皆さんを迎え討ち薙ぎ払う。
ぶんっ!
「ぐおっ!」
「くっ!」
「何とッ!!」
殺傷力の上がったその一撃に皆さんは手に持つ武器で身を守るも、かなり後ろに弾き飛ばされる。
そして悪魔将軍はそのままルラに斬りかかる。
「炎を『消し去る』!」
「はっ! 必殺ぱーんち!!」
燃え盛る炎を私のスキルで消し去り、ルラは振り下ろされる大剣を裏拳で剣の腹を弾いて必殺の拳を叩き込む。
がんっ!
どガンっ!!
『ぐぼぉっ!?』
どッガーンっ!!
その一撃は今度こそ悪魔将軍のお腹に吸い込まれ、悪魔将軍は変な声を上げながら吹き飛ばされる。
向こうの家を押しつぶし、悪魔将軍は土煙が上がる瓦礫に埋もれた。
「まだまだっ!」
ルラはそう叫びすぐさま悪魔将軍の足元にまで走って行って、その足を掴む。
「ぐぬぬぬぬぬぅっ!」
そしてルラは自分の何倍もあるその巨体を引っ張り上げ宙へと投げ上げる。
その様子はまるで十万馬力のようだ。
「よっし、必殺きーっくっ!!」
そしてルラは飛び上がり数メートルのコンクリートを蹴破るような強力な蹴りを入れる。
ばっ!
どごぉおおおおぉぉぉんッ!!
『ごうおっ!』
悪魔将軍はその蹴りをもろに喰らい、その体をくの字に曲げる。
「うぅおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
しかしルラの孟攻は止まらない。
そのまま蹴りを悪魔将軍に入れとうとうその腹を突き破ってしまった。
ぼすんっ!
『ぐぼぉっ!』
悪魔将軍のを突き抜けルラは空中でくるくると回転をしながら地上に降りて来る。
どっが~んっ!
とんっ
そして悪魔将軍は再びこの広場に落ちて来る。
その横にルラも軽い足取りで。
「どうだっ!?」
スチャっと振り向きながら構えをするルラ。
しかし悪魔将軍はその体を起き上がらせる。
お腹にルラが貫通した穴をあけたまま。
「ダメよ、こちらの世界に実体化したあのジェネラルクラスはコアとなる場所を破壊しない限り倒せないわ! まだ奴の攻撃が来るわ!!」
ラーシアさんがそう叫ぶ。
どうやらコアを破壊しない限りこの悪魔将軍は倒せない様だ。
「コアって何処!?」
『俺が押さえる! ラーシア、コアを探せ!!』
「はいっ、先生!!」
ルラはコアの場所を聞くも、それが何処だかすぐわかる者はいな。
瓦礫から起き上がったアインさんは「鋼鉄の鎧騎士」を使って後ろから悪魔将軍の足に抱き着きその動きを封じる。
その隙にラーシアさんは呪文を唱える。
「【鑑定魔法】! コアは何処!?」
ラーシアさんの呪文が完成してラーシアさんは悪魔将軍を頭のてっぺんからつま先まで見る。
そして額にまた目を向けそこを指さす。
「あそこ! 額の所にコアがある!!」
「分かった、あたしは『最強』!!」
ルラはすぐさまチートスキルを発動させて飛び上がる。
が、悪魔将軍は体中に電撃を走らせアインさんを振り切ろうとする。
「させるかぁっ! 電撃を『消し去る』!!」
ばっ!
しゅんっ
しかしその電撃は私のチートスキル「消し去る」であっさりと消える。
そして私はルラに叫ぶ。
「いけぇっ! ルラっ!!」
「うおおぉぉぉぉっ、必殺ぱーんちっ!!」
ルラが弾丸のような跳躍で一直線に悪魔将軍の額へ吸い込まれてゆく。
そして渾身の力を込めたルラの拳が悪魔将軍の額を捕らえた!
どっごぉおぉぉぉんっ!
『ぐごがあぁぁぁぁぁぁっ!』
その一撃は額から蜘蛛の巣のようにひび割れを全体に伸ばして行き、とうとう悪魔将軍はその場で割れて崩れ去って行った。
びきっ!
びきびきびき
がらがらがら……
とんっ!
「よっしっ! 正義は勝つ!!」
ルラは地面に着地して決めポーズをとる。
どんどん崩れる悪魔将軍を背景に。
『やったか?』
「やりましたよ先生!」
「おおぉ、悪魔将軍が崩れて行く……」
「倒したのか?」
吹き飛ばされたりケガをしたりした皆さんが崩れて行く悪魔将軍を見上げる。
わあぁーっ!!
そして湧き上がる歓声。
その歓声にルラはブイサインをつきだしながら笑うのだった。
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