表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十六章:破滅の妖精たち
418/438

16-23ジルの村の授業その3 *

女神エルハイミにより正気を取り戻したエルフの双子姉妹リルとルラ。

秘密結社ジュメルの野望に操られ加担していたが、女神によりその正気を取り戻す。

そして自分の犯した罪に後悔しながらも前に進もうとするリルとルラ。

果たして彼女らはどうなるのか?


そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。

遅らばせながら、皆様2024年あけましておめでとうございます。

年末年始バタバタしてなかなか更新できませんでしたが、何とか続きを始められそうです。

どうぞ本年もよろしくお願いします。

と、落書きですが新年のご挨拶もちょっと入れてみます。

今年の干支は竜なので黒龍のコクとリル、ルラです。


挿絵(By みてみん)


では、本編をお楽しみください!


*********************************************



 ルラとアインさんが手合わせをする事となった。



「アインさん、本当に良いの、『鋼鉄の鎧騎士』に乗らなくて? あたし強いよ?」


「ああ、大丈夫だ」


 ルラとアインさんは素手で組手をする事となった。

 まあ、ルラは今までも素手でしか戦った事が無かったし、そうでないと手加減が分からないだろうから。



「いつでもいいぞ」


「それじゃぁ、いくよ、あたしは『最強』!」


 ルラはそう言ってアインさん相手にチートスキル「最強」を使う。

 この場合アインさんよりちょっと強いからエルハイミさんを対象するのに比べてかなり力が押さえられるられるだろう。


 ルラはアインさんに向かって飛び込みながら拳を突き出す。

 が、そのスピードがかなり速い!?



「いい拳だ。だが素直すぎる」



 アインさんはそう言って下からルラの腕を軽くトンっと触れるとルラは勢いそのままにアインさんのはるか後方へ吹っ飛ぶ。



「あれっ?」


「スピード、パワー共に十分にあるがそれだけでは俺には届かんぞ?」



 ずざざざざぁ 



「うーん、なんかセキさん相手にしてるみたいな…… よっし、ならこれでどうだ!!」


 ルラは体勢を戻して地面を擦って向きを変えて飛び上がりながら拳を繰り出す。



「はぁっ! ドラゴン百裂掌!!」



「ちょ、ルラそれは!」


 あの技は黒龍のコクさんに使えるメイドのドラゴンニュート、クロエさんの技。

 繰り出す拳が一瞬で百近くに分かれてその爪により相手はボコボコに八つ裂きにされる。

 こんなの生身の人間に使ったらとんでもない事になる。


「ほう、これはクロエ殿の技か。だが!」


 アインさんは怒涛の拳を何とステップを駆使して全て避けた!?



「えっ?」


「脇が甘いぞ!」



 ぺしっ!


 

 そして交差する時にルラの後ろ頭を軽くチョップする。

 それにつんのめりルラはその場で倒れる。



「な、なんで?」


「クロエ殿の技を真似てるようだが、クロエ殿は全て相手の動きの先を予測してその場所へ掌を打ち込む。ルラはあまりにも素直に相手のいる場所へ打ち込むからその軌道は予測しやすいんだ」



 そう言ってアインさんは半身で構える。

 片手をあげてひょいひょいとルラを誘う。


「くぅ~、だったら!」


 立ち上がりルラはアインさんに構えると、アインさんが動き出す。

 しかしその動きはルラには及ばず、ブロックした両腕にその拳は受け止められるが……



 ぱしっ!



 「うわぁっ!」


 拳を受け止められると同時にしゃがんで廻し蹴りで足元をすくう。

 そしてそのままルラは尻もちを付く。



「スピードも力も自分が上だと油断すると足元をすくわれるものだ。常に相手の動きを予測する事だな」


 驚いた。

 ルラのスピードもパワーもアインさんを完全に凌駕しているはずなのに、まるでルラは歯が立たない。

 その後もルラはかなり危ない技まで繰り出しているのにすべてアインさんにいなされ、そしてアインさんの攻撃で何度も転ばされる。


「くぅ~っ、なんでぇっ!?」


「ルラは確かに俺より強い。しかし戦いはそれだけでは勝てない。相手の動きやその行動の予測、スピードや力が及ばないなら技を使い対処する。それが出来て初めて歴戦の戦士になれるんだ」


 アインさんはそう言ってルラに手を伸ばす。

 ルラはその手を取って起き上がる。


「セキさんもアインさんも同じだぁ~。あたし最強なはずなのにぃ~」


「確かにルラは強い。だがそれはまるで借り物のようにその力を使い切れていない。どうだ、ここでしばらく学んでみないか? ルラはきっともっともっと強くなるぞ?」


「そしたら正義の味方になれるかな?」


 ルラは目を輝かせながらアインさんにそう聞く。

 確かに私たちのこの力は借り物、と言うか与えられたスキルに今まで依存し過ぎた。

 

 エルハイミさんに私は全くかなわなかった。


 あの駄女神の支援はあったけど、エルハイミさんは女神の力を失っても慌てる事無く対処して結果私のスキルさえ凌駕する事に成功してしまった。

 正直驚かされた。

 私のスキルが通じなくなる相手が出るなんて。



「やっぱりエルハイミさんには敵わないなぁ……」


「ん? リルは女神様と戦ったのか?」



 私がそうぽつりと言うとアインさんはそれに気付いたようだ。

 私は思わず頭の後ろを掻きながらアインさんに答える。



「いやぁ、私のスキルを使ってエルハイミさんの女神の力を『消し去る』したんですけど、すぐにあの駄女がぁ…… いや、『あのお方』が出てきて私の力が通じなくなっちゃったんですよね。いやはや参った参った」



 そう言うとアインさんが固まった。

 いや、私の話を聞いていたルラ以外のみんなが固まった。



「あ、あれ?」


「リ、リル。その話本当か?」


「え、あ、まぁ、その、本当です……」



 私がそう言うと私の周りに一気に人だかりができる。



「それ本当なの!?」


「凄いぞ! あの女神様の力を消し去るなんて!!」


「うらやましい!! あの女神様に一矢報いれるとは!!」


  

「え、えーとぉ……」



 周りに人だかりが出来てみんなわいのわいのと聞いてくる。


「あの女神様に一矢報いるとはな…… リル、是非その話を聞かせてくれないか?」


「え、えーとぉ……」




 私はみんなに促されてあの時の話をする羽目になるのだった。      



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


*すみませんが、今後当分の間は土、日曜日の更新は停止させていただきます。

うちの嫁さんの父親が病院に行く事となり、介護等で忙しくなり小説を書いている時間が取れそうにありませんので。

ご理解の程、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >「うらやましい!! あの女神様に一矢報いれるとは!!」  まあね。  ひとまとめに転生者って言ってるけど、村の中で手合わせしてみたっての以外にも、中には何度かの人生の中でエルハイミと敵対…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ