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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十六章:破滅の妖精たち
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16-13訴え

心を捕らわれ悪の色の染められた双子のエルフ、リルとルラ。

世界を破滅に導く秘密結社ジュメルに操られ、協力する二人は世界を滅ぼす事が出来るチートスキルを持つ。

この世界の行方は?

二人はこのまま悪の色に染まってしまうのか?


そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


「あれぇ? あたし何してたんだっけ…… そうだ、赤竜と戦ってエルハイミさんとも戦って…… でもなんで戦ってたんだっけ?」



 ルラは瞳の色を私と同じく深い緑色に戻して正気に戻った。

 構えていた腕を降ろし、きょろきょろと周りを見ている。



「くっ、ルラまで! ルラ、お願い! 女神を、女神だけでも殺して!!」



 正気に戻ったルラにアリーリヤはそう叫ぶ。

 しかし正気に戻った私たちにエルハイミさんと事を構えるいわれはない。



「お姉ちゃん、あたしたち何してたんだっけ?」


「ルラ、私たちはとんでもない間違いをしてしまったの。皆さんに迷惑をかけてしまった。ヤリスの女神の力まで私は奪ってしまった…… 取り返しのつかない事をしてしまったの!!」


 今思い出しても私はなんてひどい事をしてしまったのだろう。

 謝って済むような問題じゃない。



「ふう~、とりあえずこれでお話しできる状態にはなりましたわね?」


 エルハイミさんはそう言って地面へと降り立ち、全身を覆う鎧を消し去り純白の女神様の衣装に戻る。


「とにかく色々とお話を聞かせて欲しいですわ」


 そう言って私たちを見るのだった。



 * * *



 女神神殿にみんなが集まり座らせられている。

 アリーリヤなんか帰還魔法の魔晶石を使おうとしたけど、結界を張り直したエルハイミさんにいち早く気付かれその効力を無効化された。

 結果イリカと同じく光る縄で縛られ、賢者の石も取り上げられ呪文封じまでされてしまった。

 

 完全に一般市民と同じ力しか持ち合わせない普通の女の子に成ってしまったのだ。



「さて、まずはあなた方ジュメルは何をするつもりですの?」


「……」


 アリーリヤは黙秘権を行使した。

 しかしイリカはシェルさんやコクさん、赤竜のセキさんの圧力に屈してべらべらと話始める。



「ええと、我々ジュメルの目的は世界の破壊ですぅ。勿論それは秘密結社全体としての方針で私個人はその義務さえ終われば自由に魔道の研究とエルフの研究をして永遠に若い体を手に入れたいだけなんですよぉ」



 今まで言って来た事そのままだった。

 エルハイミさんたちはそれを聞いてため息をつく。



「まあ、ジュメルって言ったら昔から世界の破滅を目論んでいたからね」


「とは言え、お母様の治めるこの世界で勝手は許されませんが」



「もぐもぐ、あたしは久しぶりに体動かせたからどうでもいいけどね~」


「もぐもぐ、これ美味しいね!」



 イリカの話にシェルさんやコクさんは鋭い目でイリカを見るけど、一緒にテーブルに座っているセキさんとルラは骨付き肉を食べている。

 ルラ、あんたって子はぁ……



「ふう、ジュメルの理念は変わらずですのね。でもまあ世界に影響がなければ放っておいても問題はないので今まで放置してきましたが、これは行けませんわねぇ~」


 そう言ってエルハイミさんはあの賢者の石を握りつぶした。



 ぱきーんっ!



 あの華奢な腕の何処にそんな力があるのか、赤い宝石は簡単にエルハイミさんの指で粉々になって光の粒子になり消えてしまった。



「これでこの石に閉じ込められていた魂たちは解放されましたわ。強い魂であれば輪廻転生するでしょうですわ。そうでない魂は残念ながら霧散してこの世界の糧になりますわ」


 エルハイミさんはそう言って目の前にあるお茶を飲む。

 それを見ながらアリーリヤはぎりっと奥歯を噛む。



「結局お前だって魂をもてあそんでいるじゃないか…… 自分の必要とする者だけ都合よく輪廻転生させるじゃないか!」


「うーん、一部否定はできませんわね。でも先ほども言った通り強すぎる魂は通常の人の生活すら出来なくなってしまいますのよ? そう言った人たちは遅かれ早かれ私に関わって来る。だから管理する為にジルの村に輪廻転生してもらっているのですわ」



「だが不要な魂はこの世界の肥やしにされるんだろう!? 結局弱いやつが虐げられているだけじゃないの!!!!」



 アリーリヤのその声は最後の方は悲鳴に近かった。



「こいつ言わせておけば……」


「お母様のその慈悲深きお考えを理解しない愚か者が!」


「まぁまぁ、シェルもコクもそう怒るものではありませんわ。分からない人にしてみればそう感じてしまうのも仕方ないですわ」


 エルハイミさんはそう言って椅子から立ち上がるシェルさんとコクさんをなだめる。


「とは言え、説明はしなければフェアではありませんわよね? ジュメルが本来の信仰するジュリ様の本当のご意思を理解すれば世界の破滅などと言う事は必要なくなりますもの」


 そう言ってエルハイミさんは話を始める。



 それは神話から始まる秘話であったのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


*すみませんが、今後当分の間は土、日曜日の更新は停止させていただきます。

うちの嫁さんの父親が病院に行く事となり、介護等で忙しくなり小説を書いている時間が取れそうにありませんので。

ご理解の程、どうぞよろしくお願い致します。

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