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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
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14-18リルの力

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


「お、脅すですってぇ!?」


「そう、精霊たちを脅せばいいんだよ、君の力でね」



 知識の女神オクマスト様の分身である「知識の塔」の番人、エリリアさんはそうあっけらかんと言う。

 いや、そんな簡単に言われたって精霊たちとしかも同時に別々の種類の精霊たちと会話だなんて……


「出来るんですかそんな事……」


「いや、君ならできると思うよ? 事実過去には女神たちは精霊と言葉を交わしていた。特に上級精霊には感情や知識が存在していた。君たち妖精のようにね」


 エリリアさんはそう言って手を掲げる。

 そこには一冊の本があった。


「僕は悠久の時を君たち人間が書き上げた本を読む事で更に知識を増やしてきた。僕の本体であるオクマスト様は既に身体を失ってその魂は天界にある。女神のサポートを失った僕にはたいしたことは出来ないけど知識だけはある」


 そしてその本を開きながら言う。


「この本はその昔エルハミたちが精霊王たちをどのように支配し、そしてあのアイミを作り上げたかが記されている。当時の学園長が残した貴重な書だよ」



「それって、まさかアンナ学園長の本なの!? アイミの事実上の製作者アンナ=ドーズの!?」



 ソルミナ教授は大層驚く。

 そして続けて言う。



「当時マシンドールの作成は国家機密レベルの物、その製法はガレント王国とその協力関係であるボヘーミャでしか保有していなかった。その後ガーディアン計画で『鋼鉄の鎧騎士』が主流となってもティアナ姫専用のマシンドール、アイミを強化発展して五体のマシンドールを一つの大型マシンドールにまとめ上げたその技術が書き記されていただなんて!!」


 何故か興奮するソルミナ教授。

 うーんその時はソルミナ教授は当時者じゃなかったんだ?



「まあこの書に記されているのは四大精霊王を従えたのが現在の女神、エルハイミだってことになっているけど当時彼女はまだ人間だったんだ。だから既に女神に匹敵する力を持っていると言われる君ならできると思うんだよ」


 エリリアさんはそう言って私を見る。


「とは言われても、自信ないですよ…… そんなに簡単に出来るものなんですか?」


「やり方としては各精霊を呼び出し、共鳴を起こして君が精霊たちを脅して従えさせれば良いわけだよ。下級精霊ならすんなり言う事を聞いてくれるんじゃないかな?」


 エリリアさんはその本をソルミナ教授に手渡しながらヤリスを見る。


「えーと、たしか君はガレント王国の姫君だったよね? 覚醒しているって事だよね? そっちのティナの国のお姫様に協力してもらえるかな? 共鳴のフルバーストをするには二人の魔力が必要だろうし」


「ずいぶんと詳しいんですね、エリリアさん」


 エリリアさんはヤリスに向かってそう言うとヤリスは少し警戒気味にそう言う。

 するとエリリアさんは肩をすくめ言う。



「僕は屋根裏部屋からこの学園で起こっている事を見ているんだよ。君たちみたいに久しぶりに破格な力を持った存在は学園自体にも影響を及ぼすからね。僕はここが好きでね、千年前からずっとここにいるけどこの学園にはそれだけの時間を費やしてもまだ読み切れてない書物が豊富にある。まさしく魔道と知識の宝庫だよ」


 そう嬉しそうに言うエリリアさん。

 やはり知識の女神様の分身と言うだけの事はあるのだろうか?



「大丈夫よ、こう見えてもエリリアは頼りになるわよ。おお、こう言う事か! 共鳴フルバースト下ではその空間では意識が繋がるから精霊の言葉も分かると言うのね! そして相手への理解が誤解なくできる、なるほど」


 すでにエリリアさんから受け取ったその書をソルミナ教授は爆速で読み始めている。

 そしてとてもいい笑顔。

 やっぱり魔道に関してはエルフの中でも随一なんだろうなぁ。



「そう言う事か。ソルミナ教授もそう言うならいいわ。協力する」


「そうすると、連結型魔晶石核の欠点が克服できるというのですの!?」


「そうね…… うーん、制御にブレインが必要? アイミって…… ああ、そうか、元は炎の上級精霊イフリートとミスリル合金ゴーレムの融合体!? イフリートの使役者はあのティアナ姫!? それがブレイン、アイミを成型する基本になっている? うーん、そうすると四大精霊を操るにはブレインが必要って事かしら?」


 ヤリスもアニシス様も新型連結型魔晶石核への新たな道筋が見えて来た事によって明るい顔をする。

 そしてソルミナ教授に聞いてみるも高速でその書を読み解いているソルミナ教授は既に四大精霊の制御について語り始める。


「どうやら四大精霊を制御する為にブレインが必要のようね…… あ、でも推測だけどこれは精霊王たちだから? 下級精霊の場合は術者によるスパイラル効果まで達成した実績がある? うーん、この辺はどうなのよエリリア?」


「そうだね、下級精霊は上級精霊程強い意識を持たない。だからこそ、そこのエルフが脅せば言う事を聞くんじゃないかな?」



「えっと、リルと言います。あ、こっちの同じ顔しているの双子の妹のルラです」


「ん、よろしくリルにルラ」


 今更だけど自己紹介をするとエリリアさんは手を差し伸べて握手する。


「私はヤリス、ヤリス=ルド・シーナ・ガレントよ」


「自己紹介が遅れましたわね、アニシス=ルド・シーナ・ティナですわ」


 するとヤリスもアニシス様も近くまで来て同じくエリリアさんに手を差し伸べ握手をする。

 エリリアさんは素直に握手をして、他のみんなも改めて自己紹介をして握手をするのだった。



 * * *



「つまり、私と覚醒したヤリスが連結型魔晶石核を起動して共鳴フルバーストをさせてあのスパイラル効果一歩手前の状態を作り出すのですわね?」


「ううぅ、あれかなり魔力持っていかれるのよねぇ~」


 

 今回新型連結型魔晶石核を安定させるためには一旦あの緑のキラキラした空間を作り出し、共鳴をした中で精霊たちに脅しをかけると言うモノだった。

 前にもバーサークしたホリゾンチームのハイリスさんが操るゴーレムを異空間に飛ばした事があるあれの一歩手前かぁ。



「って、あの状態って精霊どうしの精霊力が干渉し始めちゃうんじゃないですか?」


「そこで君が魔力を載せた言霊で語りかけるんだ。こう言う感じにね、『大人しくしろ、言う事を聞かないと女神をも超えるこの力でお前たちの存在自体を【消し去る】ぞ』ってね」


 エリリアさんはそう言ってあの書の一ページを指す。



「ほらここ、ここの記述でブレインが他の精霊王たちに言うこと聞かないとエルハイミが左遷させるって脅しかけてるでしょ? だからそれ以上に精霊たちにきつい言葉をかければ下級精霊なら一発で言うこと聞くと思うけどね」


 いや、精霊王に脅しかけてるってエルハイミさんって人間の時代から何やってるの……

 シェルさんもやらかすけど、シェルさん以上にエルハイミさんはやらかしまくってる。


 まあそれ程でなければ人の身で女神にはなれないだろう。


 私は大きくため息をついてから言う。



「分かりました。でも最悪の事態の時は全部『消し去る』しちゃいますけど、それで良いですよねアニシス様?」


「そう、ですわね。残念ながら危なく成ったらそれしあありませんわ。お願いしますわ、リルさん」



 一応安全の為アニシス様に了解を取っておく。

 流石にこの辺一帯をクレーターにする訳にはいかないもんね。




 アニシス様の承諾を得ると、早速私たちはもう一度新型の連結型魔晶石核を作成し始めるのだった。

  


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― 新着の感想 ―
[一言] >だからそれ以上に精霊たちにきつい言葉をかければ下級精霊なら一発で言うこと聞くと思うけどね  よーし、だったら  女神達とその伴侶が繰り広げている修羅場に、仲裁役としてつかってやるぞ。…
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