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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
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14-10疲れた体には甘いものが

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


「あ~疲れたぁ~!!」



 ソルミナ教授は机に突っ伏してそう言う。

 今日も魔晶石核の作成をしているけど、魔晶石に精霊を封じ込められるのソルミナ教授だけだ。


 確かに時間と人材と道具を使えば他の人でも出来るけど、効率が悪すぎるのでここは魔力量の多い複雑な魔術が使えるソルミナ教授がやる方が効率がいい。


 とは言え、一日に作れるのは二個まで。

 それ以上魔力を使うと気絶してしまうから。



「お疲れ様です。はいお茶入れましたよ~」


 私はそう言いながらソルミナ教授にお茶を手渡す。


「ありがとう、リル。はぁ~、分かっちゃいるけど魔力ほとんど使うとホント疲れるわぁ~」


「ソルミナ教授、魔力大変なら私がソルミナ教授に魔力分けようか?」


 ヤリスはお茶を飲みながらそう言ってくるもソルミナ教授は首を振る。


「前に調べたけど、あなたの魔力と私とじゃ相性が悪いの。そうするとあなたの魔力を私に分けようとしても拒絶反応が出てしまい、魔力を引き渡せないわ。下手をすると入って来る魔力に対して拒否反応で入らない様にガードするのに魔力を使うから余計に魔力不足になるわ」


 ソルミナ教授はそう言いながらお茶を飲む。

 と、部屋の扉が叩かれてアニシス様が入って来た。 



「こんにちわですわ~。魔晶石核の作成お疲れ様ですわぁ~」


 言いながら、サ・コーンさんやウ・コーンさんも入ってる。

 そして更にスィーフのミリンディアさんたちまで。



「あらアニシス、いらっしゃい。一応予定通り魔晶石核は毎日二個は出来てるわよ」


「それは素晴らしいですわ。私のお部屋の子たちでは数人がかりで一日一個も作れませんもの。流石ソルミナ教授ですわ~」


 ポンと両手を合わせて嬉しそうにそう言うアニシス様。

 と、ここでサ・コーンさんが籠を差し出す。



「アニシス様からの差し入れです。どうぞ」



 そう言ってソルミナ教授の目の前に差し出す。

 ソルミナ教授はそれを受け取ってかかっているナプキンを取ると、たくさんの果物が詰まっていた。



「あら~、気が利くじゃない? どれもこれも新鮮でお高いやつばかり。ありがとうね~」


「ボヘーミャのシーナ商会で特別に取り寄せましたの。エルフの方は果物が好きと聞きましてですわ。リルさんやルラさんたちの分もありますわよ」


 そう言って今度はウ・コーンさんとスィーフの皆さんが籠を差し出す。



「うわぁ~、お姉ちゃん果物沢山だよぉ~!!」


「凄いですね、しかもみんなおいしそうなモノばかり」


「アニシス様、私も食べていいの?」



 沢山の果物が入った籠を渡されて喜ぶ私たち。

 やはり女の子はこう言った甘い果物には目が無いものだ。


「勿論ですわ。沢山有りますからどうぞ遠慮なくお召し上がりくださいですわ」


 アニシス様はそう言ってにっこりと笑う。

 それを見てソルミナ教授は私に言う。



「リル、みんなにお茶入れてあげて!」


「はい、すぐ入れますね!!」



 私はソルミナ教授に言われて急いでお茶を入れるのだった。



 * * *



「えへへ、果物美味しかったねぇ~」


「うん、でもまだこんなにいっぱいある。全部食べ切る前に腐っちゃいそうだな」



 アニシス様が持って来た果物はどれもこれも美味しかった。

 まだまだ食べられそうだったけど、お腹いっぱいになっちゃとマーヤ母さんの夕ご飯が食べられなくなっちゃうので我慢する。


「でもほんとこんなに沢山。嬉しいけど一気には食べきれないわよね」


 やって来たアニシス様やウ・コーンさんやサ・コーンさん、スィーフの皆さんにも切り分けて配っていたけどそれでもまだまだある。


「それじゃぁお姉ちゃんの魔法のポーチにしまっておけば?」


「それでもいいけど、ソルミナ教授もポーチか何か持ってないんですか?」


 そりゃぁあのポーチに入れとけばいつまでも新鮮だけど、そうするといちいち私が来ないと引き出せない。

 ずっとこの研究室にいるソルミナ教授が持っていればそこに入れてもらう方がいい。


「魔法のポーチか、残念ながら私はもってないのよね~」


 ソルミナ教授はそう言いながら最後の果物のひとかけらを口に放り込む。

 シャクシャクと良い音を鳴らせて飲み込む。



「そうだ、リルこれ使って何かデザート的なもの作れない? あのクレープとか言うのにも使えるでしょう?」


「え? 私ですか?? そりゃぁ果物使ったスイーツも出来ますけど……」


 色々な果物があるからいろんなものが出来るだろう。

 しかしなんでわざわざスイーツにする必要があるのだろうか?

 このまま食べても十分に美味しいのに。



「いやねぇ、魔力使ったり頭使ったりすると糖分が欲しくなるのよ。この果物どれもこれも甘くておいしいけど、もっとこうガツンと来る甘さが欲しいの。それといちいち皮むいたり切り分けたりが面倒でね~」


 そっちか!


 いや、ソルミナ教授の部屋行った事あるけど結構散らかっている。

 しかも年季の入った散らかり方。

 ベッドとかへの最低限の移動する道が残ってそれ以外は本やらマジックアイテムやらで足の踏み入れ場所なんかない位。

 一応、区画分けはされているけどゴミとか袋に入れたまま積んであるし、食事した食器とかも重ねられていた。

 なんかお酒の瓶とかそのつまみとかいててあった様なお皿も散乱してたっけ。


 私はソルミナ教授をジト目で見る。



「ソルミナ教授、そんなんだから女子力低くてソルガさんに振り向いてもらえないんですよ……」


「はうっ!」



 何かがソルミナ教授に刺さったようで思い切り胸を押さえてのけぞる。

 まったくこの人は。



「そ、それはほら、研究とかが忙しいから~」


「まあいいですけど、要はもっと甘みがあって簡単に食べられるもの作っておけばいいんですね? スイーツ系で」


「そう、それよそれ! お願いねリル♬」



「あ、いいなぁ~私もリルのお菓子食べたい!」


「お姉ちゃんが作るのはどれも美味しいからね~」


「いいですわねぇ~私も御相伴にあずからせてもらえないでしょうかしら、ですわ~」


「へぇ、甘いものはあたしたちも嫌いじゃないよ?」



 私がソルミナ教授にスィーツを作っても良いと言うと途端に周りの人たちも寄ってくる。

 意外なのはサ・コーンさんやウ・コーンさんまでもが期待の眼差しで私を見ていると言う事だ。



「分かりましたよ、やります。だからみんなしてそんな期待の眼差しで見ないでください!!」




 思わず私はそう叫んでしまうのだった。


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