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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
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14-5研究協力

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


「なるほど、アニシスの依頼の件ですか。スィーフの件もあります、許可しましょう」



 ユカ父さんはそう言ってお茶をすする。

 一応はソルミナ教諭に協力して研究に参加する旨を伝えておく。

 でないと、ユカ父さんは門限がなんちゃら、不順異性交遊は行けないとか大事になりかねない。



「でもリルやルラが精霊魔法を使って精霊を呼び出すのよね?」


 マーヤ母さんはお茶菓子を持ってきてそう言う。

 それをユカ父さんや私たちの前に出しておかわりのお茶を入れてい行く。


「はい、なんでも私とルラが同時に別々の精霊を呼び出し、それをソルミナ教授が魔晶石に封印するとか。ヤリスもなんか手伝うとか言って張り切ってますけどね~」


 私はそう答えながら、出されたどら焼きに手を伸ばして一口。



 はむっ。



 うっ!

 これは美味しい!!

 あんこの甘みが甘すぎず、そして程よい潰し方なので小豆の食感がしっかりと感じられる。

 さらにこのしっとりとした生地がまた良い!

 うっすらと甘みもあり、あんこに非常に合う。

 

 そして差し出された緑茶。


 この渋みとお茶の程よい熱さが口の中をリセットしてくれる。



「このどら焼き美味しいね~」


「はむはむ、うん、これ美味しい!」



「ふっふっふっふっふっ、これは精霊都市ユグリアのイチロウ・ホンダから取り寄せたモノ、ここボヘーミャでは届かない味なのです」



 ユカ父さんは心底してやったりと言うような笑みを口元に張り付かせている。



「もう、ユカったらリルとルラに美味しいどら焼き食べさせるってわざわざお取り寄せしたのよね~」


「ああっ! マーヤそれは内緒です!」



 なんか久しぶりに過保護なユカ父さんを見た。

 まあ、最近は旅行に行ったりソルミナ教授の所でごたごたあたからなぁ。 

 ありがたいけど。



「それより、例の魔物ってどうなったんですか? アニシス様も行ったきり連絡ないし……」

 

 スィーフに現れた例の魔物について聞いてみる。

 するとユカ父さんはピクリとしてから湯呑を置いて話始める。



「今分かっているというのはその魔物がそれほど大きくないと言う事です。しかし問題はその魔物以外にも他の魔物も同行しているようで、今はその足取りが取れていない状態です」


「ファイナス長老からも渡りのエルフたちに情報提供を要望されているのだけど、スィーフを北上したって話以降全く足取りがつかめてないらしいのよ~」


 ユカ父さんもマーヤ母さんもそう言って軽くため息をつく。

 しかしそうなると今の所迷いの森には被害が出ていないってことだよね?



「じゃあ、連合軍のアイザックさんたちは?」


 ルラは連合軍の状況が気になって聞いてみる。


「今の所体勢を立て直す為に水上都市スィーフに滞在をしています。しかし問題はやられた『鋼鉄の鎧騎士』の中には修理できない程の大破した機体もあったと言う事です。幸い死人は出ていませんがケガ人が多数出たようですね」


 それを聞いて私はぎょっとする。

 ケガ人が出るほど、修理できない程の大破って、相当なモノなのではないだろうか?


「アイザックさんは大丈夫なんだよね? アイザックさんが出て倒せるのかな??」


「それは、分からないわね。そもそもその魔物たちが何処へ行ったのか……」


 気にはなるけど今は情報を待つしかない。


 

 私は残りのどら焼きを全部食べるのだった。



 * * * * *



「リルさんにルラさんはソルミナ教授の所で研究を手伝っているの?」



 教室でいつの間にか私の隣が定位置になったアリーリヤさんが珍しく話しかけて来た。

 いつもは無口であまり話をしないのに、どうしたのだろう?



「えっと、精霊魔法が使える人が欲しいって話で手伝いに行ってますね」


 私がそう言うとアリーリヤさんは暫し正面を見てから聞いてくる。


「何してるの?」


「何かって言われると……」


 一応研究に関しては参加者以外には秘密にしなければならない。

 特にソルミナ教授は研究発表をする関係から私たちにそうきつく言ってきている。


「えっとぉ~」


「ごめんね、アリーリヤさん秘密なんだ~。ソルミナ教授から他の人に言っちゃダメって言われているの~」


 私が言い淀んでいるとルラがはっきりとそう言う。

 ちょっと意外。


 でもそれを聞いてアリーリヤさんは軽く頷いて「そうなんだ」と言ってまた黙ってしまった。


 なんか悪い気もするけど、秘密にしなきゃならないのだから仕方ない。

 向こうでヤリスもうんうん頷いている。

 私はお愛想笑いをして「ごめんなさい」とか言うけど、アリーリヤさんは「別に……」とだけ言ってまた受講に集中する。


 あ~、これ怒らせちゃったかな?


 何となくばつが悪くなって私はあれやこれやと考える。

 と、講義終了のベルが鳴る。


 アリーリヤさんはすぐに荷物をまとめて教室を出て行こうとする。

 私は何となくそれを引き留めて言ってしまう。



「アリーリヤさん、気になるようならソルミナ教授の所に行って一緒に研究のお手伝いしませんか?」



 私のその言葉にアリーリヤさんは一瞬立ち止まってこちらを見る。

 そしてルラとヤリスも見てから首を振る。


「遠慮しておくわ、私は精霊魔法が使えないから」


「いや、でも……」


 なんか遠慮された?

 私が更に引き留めようとするとアリーリヤさんは踵を返して教室を出て行ってしまった。



「何リル、そんなにあの子が気になるの? やっぱり浮気ね!?」


「なんですかその浮気って! 私とヤリスはそう言う関係じゃないでしょーに!」


「お姉ちゃんうわき~うわき~」



 茶化して来るヤリスにルラ。




 でもアリーリヤさんの事が気になるのは本当だ。

 だって教室を出る時にアリーリヤさんは薄っすらと笑っていたのだから…… 

 


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