表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
338/438

14-4精霊魔法

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 改めて精霊魔法について整理してみる。



 この世界には精霊魔法と言って、精霊の力を借りる魔法がある。

 主にエルフ族が使うのだけど、稀に人族でもエルフ語を理解して精霊魔法を使う人もいる。


 精霊は大きく分けて自然界に存在する四大精霊、地水火風の四大元素と闇と光、そして精神に関連する精霊がいる。


 私たちエルフは主に四大精霊と呼ばれる地水火風の精霊たちにエルフ語に魔力を載せて語り掛け、協力をお願いする。

 そしてその代償として自分の持つ魔力を与えるのだけど、精霊には基本魂と呼べるものが無い。

 だから自分で魔力を生み出す事が出来ない。

 

 精霊魔法も結局は魔力と言う代価を与えるギブ&テイクのモノなのである。



「ふ~ん、だから精霊魔法って収得が難しいんだ。その精霊ってのにお願いするわけよね?」


「はい、ですから場合によっては無視されたり、魔力が低いとやってもらえなかったりと意外と融通が利かないんですよ」


 ソルミナ教授の話にヤリスは難しい顔をしてそう言う。

 私はヤリスにそう答えながらも、自分も精霊魔法は使うのでソルミナ教授のまとめた話はよくわかる。


 学園でも簡単な精霊魔法を体験レベルで教えてもらえるけど、基本魔術師は精霊魔法を毛嫌う。

 だって、呪文を唱えただけでは発動しないのがほとんどだから。

 精霊魔法は間にいる精霊に如何にお願いを聞いてもらえるかが重要だ。


 それと、四大精霊の場合はさらに面倒なのが媒介が必要ってこと。

 地水火風、全て媒介が無いと精霊魔法は使えない。

 と言うか、その場所に精霊がいないのだ。

 だから迷宮とかでは風が無いと風の精霊は使えないし、水筒やたいまつ、土を入れた袋なんかが無いと他の精霊も使えない。


 こう言った面倒な所も嫌厭される理由なのだろう。


 しかしエルフ族にしてみればエルフ語で語り掛け、そこにいる隣人に協力をお願いするようなものだから、女神様の御業を模した魔道の方が複雑かつ、難しく感じるらしい。



「まあ、こう言うのは慣れよね。ヤリスもその気になれば精霊が見える様にはなるしね」


「そう言うもんですか?」


「そう言うモノよ。さて、おさらいはここまでで本題に入ろうか。リルやルラは精霊魔法、特に四大精霊の打ち消しについて知っているわよね?」


 ソルミナ教授はそう言って私たちを見る。

 まあ、知ってはいる。

 と言うか、精霊たち同士でいがみ合ってる雰囲気があるから感覚として知っていた。


 例えば火の精霊は水の精霊を嫌う。

 水の精霊は土の精霊を嫌う。


 こんな感じで精霊どうし得手不得手があるらしい。



「今回アニシスが推し進めている魔晶石核は、魔晶石に精霊を閉じ込める技術の発展型ね。以前エルハイミさんたちがやったのは精霊力のスパイラル効果、四大精霊を全部使って行うモノだったの。でもそれは空間にゆがみを発生させ、別次元への扉を開いてしまうとても危険な技術よ。普通の魔力を持つものでは操作すること自体が難しいの。そしてそれが成功した事例はアイミと言うマシンドールだけ。でもアイミは上級精霊を取り込んでいるから私たちにはとてもじゃないけど再現できないわ」


 アイミ?

 そう言えばアニシス様も言っていたけど、それってマシンドール??


「あの、ソルミナ教授。そのアイミってマシンドールは今どこにあるんですか?」


「アイミはここボヘーミャに封印されているわ。必要になればティアナ姫の転生者が取りに来るだろうけど、それは世の中が乱れた時だからそうならない方がいいわね」


 ソルミナ教授はそう言って魔晶石を取りだす。

 そして話を続ける。


「今はマシンドール自体が少なくなって、使われなくなってきたけど魔晶石核を二つ使った双備型魔晶石核と言う技術は基本的には同じ精霊どうしで共鳴をさせていたの。でもアニシスが提唱するこれは別々の精霊たちを使うモノ。もしこれが上手く行けば従来の連結型魔晶石核をしのぐものが出来るかもしれない。しかも使い手をえり好みする従来のモノとは違い誰でも使えるかもしれないものが」


 ソルミナ教授はそう言って拳をぐっと握る。

 それは相当なモノなのだろう。



「お姉ちゃん、精霊を魔晶石に封じ込める事ってできるんだ?」


「うん、その方法はソルミナ教授たちが出来るみたいだけど、そもそも魔晶石核って何なんですか?」


「そこからかぁ~。良い事魔晶石核っていうのはねぇ~」



 そう言ってソルミナ教授は魔晶石核について話始める。


 技術的には約千年前に確立されたもので、もともと魔力とかを保有しやすい魔晶石に精霊たちを召喚して封じ込める技術らしい。

 精霊が封じ込められたものを魔晶石核と言い、魔力循環が出来る機関のもとになるそうな。

 つまり、魔力の発生源として活用できるコアになるらしい。


 これが凄いのは、装備した機体に魔力供給が出来るので、私たちが外部から魔力供給をしなくてもある一定期間はその機関が動く為に十分な魔力の発生が出来るものらしい。

 なんか生前の原子炉みたいな感じ。


 でも単体ではその寿命は短くなってしまうので、活性力を上げる方法が双備型、更に永久機関ともなるとそのアイミとかってマシンドールに装備されている四大精霊王を封じた物になるらしい。

 

 しかし普通の人にはそこまでの物は作れるわけもなく、ティナに国の秘伝とされる異空間に魔晶石核を連結させて封じ込める連結型魔晶石核が現在人類が使える最高峰と言われているらしい。

 但し、これは起動させる人の魔力量とか相性とかが関係して誰でも使えるものではないらしい。

 それの廉価型番が今ティナの国で使われている門外不出の技術らしい。


 これを装備した「鋼鉄の鎧騎士」は他国の「鋼鉄の鎧騎士」の数倍のパワーが出せるとか。



「とまあ、これが魔晶石核の基本ね」


「は、はぁ……要は動力源ってことですか?」


「簡単に言うとそう言う事ね」



 なんか専門用語や知識が必要なのでこう言った機械やら技術やらに弱い私に理解できたの「凄い動力源」と言う事くらいしか分からなかった。

 でも、その「凄い動力源」を更に凄くする方法が精霊魔法使いの協力で出来るってことは凄い事なのだろう。

 ソルミナ教授もこの件に関してはやる気を出している。



「誰でも扱える『鋼鉄の鎧騎士』かぁ。伝説のオリジナルには程遠くても、現存する王宮型のお飾りよりはずっとましよね? 王宮にある、あの連結型魔晶石核の『鋼鉄の鎧騎士』が扱えるのなんか十人に一人いるかどうかだもんね」


「え? そんなに扱うのが難しいんですか??」


 ソルミナ教授の話を黙って聞いていたヤリスがぽつりと言う。


「そりゃそうよ、そもそも今の戦争は『鋼鉄の鎧騎士』どうしが国を代表して戦うのが主流、まともに生身の人間が鋼鉄の鎧騎士と戦ったら、最低でも魔法使いの援護を受けながら精鋭の騎士たち五十人から百人くらいが束になって倒せるかどうかだもん。普通の兵士じゃ何百人いたって倒せるかどうか」


 え~?

 「鋼鉄の鎧騎士」ってそんなに凄かったの?

 ルラとか黒龍のクロさんやクロエさんなんかばったばったと倒していたのに……



「でも、その新たな魔晶石核が成功したら『鋼鉄の鎧騎士』の歴史が変わっちゃうかもね……」


「それ程なんですか……」


「え~、そうするとアイザックさんの『鋼鉄の鎧騎士』ってもっと強くなるの?」


 ヤリスの話を聞いていて改めてこの世界での「鋼鉄の鎧騎士」の凄さを実感するけど、ルラは多分別の意味で期待をした目でヤリスに聞く。


「あ~、あいつのは既にアニシス様によって連結型魔晶石核に乗せ換えてあるからこれ以上は変わらないんじゃない? と言うか、あれを乗りこなすアイザックも大概だけどね。さっき言った十人に一人のいるかいないかの乗り手だからね」


 アイザックさんてやっぱりすごい人だったんだ。

 なんか悔しそうなヤリスを見ながら私はそう思う。



「とにかく、リルとルラも手伝ってもらうからね! そうすれば今回の研究報告はこれで十分になるから! 成功すれば臨時ボーナスも出るから私の為に頑張るのよ!!」


「そっちかーぃぃっ!!」




 思わずソルミナ教授の本音に突っこみを入れてしまう私だったのだ。 

 

面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ