14-1知らせ
故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。
しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?
さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
えーと、これは。
マーヤ母さんがつやつやの肌をしている。
ユカ父さんも心なしか肌のつやがとてもいい。
朝ごはんも何故か精力がつきそうなものが多い。
納豆に生卵、オクラに山芋のとろろとか……
そう言えば昨晩の夜中にトイレに行った時にマーヤ母さんたちの部屋からお盛んな声が漏れていたっけ……
恥ずかしいからなるべく聞かない様にしてさっさとトイレを済ませんて部屋に戻ったけど、きっと昨日の晩のせいなんだろうなぁ。
「さて、今日から新学期が始まります。新入生も入ってきますからリルもルラも上級生になるわけです。上級生らしく毅然とした態度をとるのですよ」
ユカ父さんはそう言ってきりっとした感じでいるけど、昨晩何していたか知っている私はちょっとね。
なんか今朝はマーヤ母さんもやたらとユカ父さんに甘えていると言うか、くっついていると言うか。
「新入生? あれ? 学校って秋から新学期なの?」
「ああ、そうか、こっちの世界では夏休み前に入って来るのと秋口に入って来るのと二回新入生が有ったんですよね?」
魔法学園ボヘーミャは年二回程新規で新入生を入れる。
これは世界的に各国から留学生なども受け入れる関係でそうなっているとか。
春口と秋口、年二回の入学となる。
でも卒業式は年一回なんだよなぁ~。
「今年は遠くの国からも留学生を迎え入れます。一般の生徒も増えるでしょう。ですから我が娘としてさらに毅然とした態度を取るのですよ、リル、ルラ!」
ぐっとこぶしと握るユカ父さん。
まあ、言いたい事は分かるけど過度な期待はして欲しく無いなぁ。
私は生前からそれ程学業は得意じゃないんだから。
「あらあらあら~そろそろ時間ですよ、あ・な・た。今日はお帰りは?」
「式典だけですから早く帰ってきます」
「うん、じゃあ栄養のつくモノ沢山作って待ってるわね♡」
うん、朝からラブラブな二人だった。
私は食事が終わって後片付けをしてからルラをせかして学校へと向かう。
「マーヤ母さん、ユカ父さん、行ってきま~す!」
「あ、お姉ちゃん待って、行ってきま~す!!」
「はいはい、気を付けて行ってくるんですよ~」
マーヤ母さんにそう言われ見送られながら学校へと向かうのだった。
* * * * *
「おはよう、リル、ルラ!」
「おはようございますヤリス」
「おはよう~ヤリス!」
学校へ行くとちょうどヤリスが宿舎から学校へと歩いていた。
挨拶をかわしながら三人で歩いて校舎へ向かう。
「そう言えば今日は式典があってから新入生が来るのよね~。うちのクラスにも誰か来るかな?」
「そう言えばうちのクラスって初等科でしたよね? 魔術の基礎とかを教える」
「うん、基礎をちゃんと理解してないとこの後の中等科とかに行っても付いて行けないからね~。もっとも私やリルたちは中等科以上の力を持っているから、その制御を覚えるのが重要だって言われたけどね~」
ヤリスは呑気にそんな事を言っていた。
まあ、当初の目的は確かにその通りだった。
私たちのチートスキルは異常なまでに強力で、その力の使い方ひとつでは大問題になるとか。
だからその力をちゃんと制御できるようにならなければならない。
それにはこの世界の魔法についての知識や世界情勢なんかもちゃんと学ばなければならない。
意外と重要な事を学ぶのよね~。
そう思っていたら歩いている先にアニシス様たちが何やら固まっていた。
「あ、アニシス様だ~。おはようございま~す!」
ルラはアニシス様たちを見つけると手を振って嬉しそうにぶんぶんとしている。
しかし声を掛けられたアニシス様たちの様子が変だ。
「あら、ルラさん。おはようございますですわ。リルさんもヤリスもおはようございますですわ……」
アニシス様、なんか元気が無い。
「どうしたんです、アニシス様? 元気ないみたいだけど??」
ヤリスが思わずアニシス様に聞く。
するとアニシス様はサ・コーンさんやウ・コーンさん、スィーフの皆さんを見て頷いてから声を潜めて言う。
「実はスィーフから連絡があって例の魔物を討伐に行った連合軍に被害が出たそうなのですわ。アイザック様がかろうじて大破した『鋼鉄の鎧騎士』を回収して下がったそうですが、その後その魔物は逃げ出して討伐は失敗に終わったらしいのですの……」
ん?
スィーフの魔物って、確か連合軍があの後編成されて向かったはず。
それに隊長のアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」はアニシス様の特製改修型のはず。
ルラとも互角に渡り合ったあれがその魔物を逃がした?
「あの、それでアイザックさんたちは?」
「幸いけが人は出なかったようですが、戦力を大幅に削られてしまっているようですわ。次に襲撃でも喰らったら流石に一旦下がるしかないらしいとの事ですわ……」
アニシス様はそう言って大きなため息をつく。
「とにかく今は情報が少なすぎますわ。それより今日から新学期ですわ。皆さんも新入生が入って来るのですから上級生としてしっかりとしなければなりませんわね。さ、式典に行きましょうですわ」
アニシス様は不安を無理矢理に拭うかのようにそう言って私たちと一緒に新学期の式典へと向かうのだった。
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