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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十三章:魔法学園の日々
333/438

13-35ジルの村で

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 行商に来ていたジルの村の獣人の人たちに話が聞きたいと言う事でお城に来てもらっていた。



「はぁ? エルハイミさん三人が全部いるぅ?」


「何それうらやましい!」


「まぁまぁ、それは凄いですわね~。女神様が集結ですわぁ」


 獣人のリーダーであるペグさんから話を聞き始めファムさんもヤリスもアニシス様も声を上げる。

 いや、予想はしていたけどエルハイミさん全部が集結かぁ。

 そこにシェルさん、コクさん、クロエさん、クロさんまで集結しているのだもの、大騒ぎにしかならないだろう。



「それで、始祖母であるティアナ姫の方はどうなっているのですの?」


 問題となるティアナ姫の転生者についてアニシス様は聞く。


「はぁ、今回はそれが問題でして。実はナディア……ティアナ姫の転生者なんですが実はもう結婚していてですね、覚醒した時点ではもうお腹が膨らみ始めていたんですよ」



 お腹がって、女の子どうしでっ!?



「ティアナ姫が妊娠してたって事? 相手は??」


 思わずファムさんが立ち上がって聞く。

 するとペグさんはおずおずと話始める。


「それが同じ村の幼馴染のバックなんですよ。ああ、バックってのは人間族で男です」




「「「「男っ!?」」」」




 ティアナ姫の相手が男だったと聞いて思わず私もアニシス様もヤリスもファムさんも声が重なってしまった。

 衝撃の事実。

 そして納得。


「意外ね…… 今までで無かったんじゃないのかしら?」


 ファムさんはそう言って両の手を挙げて肩をすくませる。

 しかしヤリスとアニシス様は違った。



「そ、そんな…… 始祖母様が男なんかに……」


「お、男なんかにですわ……」



 なんか別の事に衝撃を受けているっぽい。



「う~んと、そうするとエルハイミさんたちって何でまだジルの村にいるの~?」


 ルラが気になる事を言ってみんなハッと気づく。

 例え覚醒したからと言っても既に夫婦になって子供まで出来ちゃってるんじゃいくらエルハイミさんだってどうにもできないだろう。

 それなのに二年以上ジルの村にいるだなんて、一体何をしているのだろう?



「最初はナディアを説得する為に女神様たちもあれやこれやとやっていたんですがねぇ、流石にお腹が大きく成ってその事実に更に大騒ぎになってた時にもう一人の女神様が現れたんですよ。そして更にもう一人と」


 ペグさんは大きなため息を吐いてそう言う。


「それに女神様たちがみんなそろってしばらくしたら黒龍様たちも来て更に大騒ぎ。しかしナディアのお腹はどんどん大きくなって騒ぎが過ぎるとお腹の子供に影響が出ると言う事で一旦は戦争は休戦になったんですよ」


 いや、戦争って……


「そんでもってナディアが出産した頃に今度は名付け親でもめましてね、アイン師匠まで出て来てあれやこれやと…… 長老も頭抱えていたなぁ」


 そりゃぁそうでしょう。

 それにアインって人は確かシャルさんの思い人。

 そんな人までこの件に関わっている?


「で、なんやかんや言っていきなり現れたアガシタ様が男の子だったので『ジークハルト』一択だろうと強引に名前を決めてしまったからさらに大騒ぎになりましてね、もう毎日が戦争ですよ」



「アガシタ様ぁっ!? なんでアガシタ様がそんな所に現れるのよ!?」


「あの、アガシタ様って誰ですか?」



 ファムさんがやたらと驚くので聞いてみる。

 するともの凄く嫌そうな顔をして言う。



「エルハイミさんの前の女神様よ。天秤の女神と言われてて、異界の神と一騎討して消えたって聞いていたけど…… やっぱりまだご存命だったんだ」


「は、はぁ……」



 なんか更にヤバそうな女神様がいたんだ。

 確かにそう言えば昔の女神様たちの中でそんな名前の女神様も聞いたような気がする。

 でも古い時代の女神様ってみんな「女神戦争」で体を失ったんじゃ……



「アガシタ様かぁ……その配下のライム様ってのがガレント王国の初代、魔法王ガーベルの妻だったんだよねぇ~」



「はいっ!?」



 ヤリスは私たちの話を聞いていてぽつり、とんでもない事を言う。


 

「いえいえ、もともとは魔法王ガーベルが始祖となり、ガレント王国どころか他の国々の基礎を作ったのですわ~。もとをただせば今の女神様も魔法王ガーベルの血を引き、更に始祖母ライム様の血を引いてらっしゃる。ライム様はアガシタ様の分身の一人とも言われてますから、全てつながっていますわねぇ~」



 更にアニシス様は追い打ちでとんでもない情報を教えてくれる。

 つまり、ここにいるガレントの人もティナの人も女神様たちの血を引く末裔って事になる。



「まあそれで今度はアガシタ様が名付け親になってしまったのでエルハイミ様が更にご機嫌を悪くして、ナディアにバックと分かれて天界に子供共々来いって話をしたんですよ」


 いや、それはまずいでしょうに。

 夫婦離婚させてその子供まで連れ去ろうとか、流石に女神様でもやっちゃいけないでしょうに。


「勿論ナディアはそれを断っていたんですがね、エルハイミ様も引くに引けなくなって何が何でも天界に来いと。で、そんな事言ってたらまたナディアのお腹が大きく成り始めてですね……」


 うっわぁ~っ!

 追い打ちで次の子供できちゃったって事?


 なんかあのエルハイミさんが壊れて行くのが容易に想像できる。


「結局お腹の子供が大切と言う長老の言葉にまた休戦状態が続いているってところですよ。で、シェル様が買い出しをして来いと」


 ペグさんはまた大きなため息をつく。

 ジルの村の人たちにしてみれば確かにいい迷惑である。


 これでティアナ姫が覚醒して無ければ何事もなく済んだのに……



「って、そう言えばティアナ姫って覚醒してるんですよね? じゃあ、エルハイミさんの事は?」



 あれだけティアナ姫にこだわっているエルハイミさんに対して覚醒した当の本人はどうなのだろう?


「ナディアは女神様に対して『今回の人生はあきらめて欲しい、次の人生は絶対にエルハイミ様にあげるから』とか言ってましたなぁ。勿論そんな事で納得する女神様では無いので、ずっと説得する為にジルの村に居座ってるんですよ……」


 今度はペグさんは疲れ果てたようなため息をつく。

 その姿には苦労がにじみ出ていた。

 

 なんかお疲れ様です。



 しかしそうするとここ数年女神様であるエルハイミさんたちがずっとジルの村にいるって理由が分かった。

 確かに大騒ぎになるなこれは。

 しかもどう考えても今のティアナ姫、確かナディアさんって人の人生は子どもまで出来ちゃったんだからもうエルハイミさんと一緒になるなんて難しいだろう。

 

 絶対に関わっちゃいけないなこれは。



 私は一人静かにぐっとこぶしを握って絶対にジルの村にだけは行かないようにしなければと改めて誓うのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言]  わあ、ドロッドロー。  ………………と言うかなんとか以前の作品で語った断片と辻褄を合わせて、浮気者が完全に悪いって悪者感を極力薄めようとした感じですか?  あの弟を好きになってから大昔…
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