13-22大改修
故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。
しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?
さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
連合軍の「鋼鉄の鎧騎士」隊長であるアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」をアニシス様が予算関係なく改修する事となった。
「って、こんなにバラバラにしちゃって大丈夫なんですか?」
「嗚呼っ! 歴代の優秀な『鋼鉄の鎧騎士』の中身をばらして見れるだなんて幸せですわぁ~♡ もう、女の子を裸に剥いて色々と観察するのと同じくらい萌えますわ~♡」
いやそこ、剥いちゃダメでしょう?
「鋼鉄の鎧騎士」は良いとして、女の子は剥いちゃダメでしょう!?
「へぇ~『鋼鉄の鎧騎士』ってこうなってるんだぁ~」
「私も初めて見たけど、腰の所に魔晶石核があるんだ。そこから操縦者の魔力も使って各関節の動力用の魔晶石を動かしてねぇ……」
一緒に見ているルラもヤリスもここまでばらされた「鋼鉄の鎧騎士」を見るのは初めてだった。
と言うか、素体ってなんかやたらと生々しい部分もあるのね。
今まで知らなかったけど、三つある目の下に口みたいなものがあって、牙まで付いているし。
「『鋼鉄の鎧騎士』は女神様も作成に手を貸したと言われてますわ。私たちティナの国の秘伝であるエルリウムΓは女神様が考案した素材。軽くてしなやかでいてもの凄い強度を持つクロスバンド方式という作り方で今だに現存する素材の中で最強を誇りますわ」
アニシス様はそう言って魔力操作で手元の金属をぐにょぐにょと動かす。
それは形を変え、一つのパーツとなる。
「私の力では純粋にエルリウムΓでパーツを作れるのはこの位まで。でも今はヤリスもいますし、覚醒者としての魔力供給をしていただければかなりのモノが出来ますわよ!」
「げっ! アニシス様、私も手伝うんですか!?」
「お願いできますわよね?」
「ヤリス、アニシスを手伝いなさい」
驚くヤリスの後ろからいつの間にかやって来ていたアイシス様がそう言うとヤリスはびっと背筋を伸ばし直立不動になって答える。
「は、はいお姉さま! 喜んでアニシス様のお手伝いをさせていただきます!!」
脂汗ををだらだら流しながらヤリスはそう言うのだった。
* * * * *
「まずは徹底的にばらして素体の強化から始めますわよ!」
アニシス様はそう言いながらヤリスとルラも使ってどんどんとアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」をばらしてゆく。
それはもう、原型が分からないんじゃないかってくらい細かくに。
「なるほど、当時は軽量化を進める為にこう言う手法をとっていたのですわね。しかしここでミスリル合金とは…… ではここはエルリウムΓでですわ! ヤリス、魔力供給をお願いしますわ!」
「はいはい、んっ、アニシス様力抜いて……入れるわよ」
「はい、来てくださいですわ…… んっ、ヤリスのが私の中に入って来ますわぁ、熱いのが奥までぇ~♡」
いや、だから言い方ぁっ!
覚醒したヤリスは魔力量が大幅に増えるのでアニシス様に魔力供給できるけど、なんで毎回供給する時に二人とも顔を赤くして、そしてやたらと艶っぽくなる!?
見ているこっちがドキドキしてきてしまう様な表情で変な声出すし!!
「んぁ、たくさん私の(魔力回路の)中に(魔力)出してくれましたわね? (魔力が補充されて)気持ちいいですわぁ~♡」
「はぁ~、アニシス様の中って(魔力系統が違って)きついから無理矢理入れて中に(魔力を)出すの大変なのよね~。まあ、中に(魔力を)出すのは(覚醒で膨大に膨れた魔力を吐き出せるので)嫌いじゃないんだけど」
だから言い方っ!!
絶対ワザとだ、こいつら痴女だ!!
もしそう思っていても口に出して言わないでよね!!
「う~ん、魔力供給かぁ~あたしお姉ちゃんにもしたいなぁ~あれ気持ちいいんだもん」
「うぉぃい、こら! ルラはやっちゃダメ!! ルラにはまだ早いのよぉっ!!」
魔力供給の様子を見ていたルラが私の近くに来て指をくわえながらヤリスとアニシス様の魔力供給の様子を見ていてそんな事を言ってくる。
確かにあれはあるいい気持ちいいけど、だめですそんなの。
あれは本当に緊急時しかやったダメなの!
はぁはぁと肩で息をする私だったのだ。
* * * * *
その後アニシス様はまるで人が変わったかのように「鋼鉄の鎧騎士」をいじり倒している。
それもほとんど休憩を入れないままで。
「はぁ~、やっぱりアニシス様『鋼鉄の鎧騎士』をいじり始めるとこうなっちゃうかぁ。魔導士杯でも徹夜でゴーレムいじってたし、やっぱりこう言うの好きだよねぇ~」
「凄いですね。骨組みもうすぐ出来あがっちゃいそうですね」
確かにすごい。
時々ヤリスに魔力供給を要求してくるけど、あそこまでばらばらだった「鋼鉄の鎧騎士」の骨組みがもうすぐ組み上がりそうだった。
アニシス様の話では骨組みが出来たら魔力伝達の回路を仕込んで駆動部の魔晶石を汲み上げる手順だそうだ。
周りにいた職人さんたちもアニシス様のその驚異的なスピードに驚きしばし手を止めその様子を眺めるほどだ。
「おーーやってるやってる。流石アニシス様だねぇ~」
「ああぁん、あんなに激しく。あの夜を思い出しちゃう」
「あそこまで剥かれちゃうだなんて、あの『鋼鉄の鎧騎士』がうらやましい」
「あんな所まで開かれて見られちゃうだなんて、あたしにもして欲しいなぁ~♡」
いきなり聞こえて来た声に振り向くとスィーフの雌犬……もとい、お付きとなったミリンディアさんたちが来ていた。
「ミリンディアさん、どうしたんですかこんな所に?」
「それはアニシス様が数日こちらにお泊りになられるとアイシス様から連絡があったのだよ」
私がミリンディアさんにそう質問してみると更にその後ろからサ・コーンさんとウ・コーンさんが大荷物を持って来ていた。
どう言う事かと聞くとアニシス様は一旦「鋼鉄の鎧騎士」をいじり始めると終わるまで止まらないことが多いそうな。
なので仮眠の為の寝袋や食事用の物とか着替え、もろもろが必要となりそれを皆さんが持って来たとか。
……そう言えば魔導士杯の時もそうだったなぁ。
あの時は手伝わされたスィーフの皆さんも死んでたし。
「まあそう言う事だよ。私たちはアニシス様の忠実な雌犬……もとい、使用人だからね」
「今雌犬って…… ま、まあ分かりました。じゃあそうするとお食事は私も手伝いますね!」
「やったぁ~! あたしお腹すいて来てたんだよね~」
皆さんが荷物をおろして一人奮闘するアニシス様を見ながら色々と準備を始めるのだった。
*
「さて、そうすると簡単に食事できるものが良いわね? となると、手で持てるもの、そうだ、サンドウィッチがいいかな?」
「あ~、あたし卵サンド食べたい!」
「サンドウィッチ? 何それ??」
ミリンディアさんたち色々と持って来た中には冒険者が良よく食べるような保存食があった。
でもあれって栄養補給が優先されるので硬くてぱさぱさしておまけに美味しくない。
なので食事は私がする事となった。
「ヤリスはサンドウィッチ知らないんですか?」
「うん、聞いた事も無いかな?」
流石お姫様。
こう言った手で食べるような物って今まで食べた事が無いのだろう。
「簡単に言うとパンに具材を挟んで食べるものですね。忙しい時とかには便利なんですよ」
「へぇ~、パンにはさんでね。面白そうね」
私は言いながら腰のポーチから道具と食材を取り出す。
ルラの要望のあった卵サンドも作るので鍋とか卵とかお酢とかも出しておく。
このシャルさんからもらった魔法のポーチはうちの長老が直々に作ったハイスペックのもので、かなりの物資のモノをつながった異次元にしまい込む事が出来る。
それはもう大きさも関係ななく。
過去には地竜なんかもしまい込めるほどで、その優秀さはかなりのモノだ。
しかもこの中に入れている間は全く劣化しないので、新鮮な野菜や果物はその時のまま、温かい鍋なんかもそのままで何時でも出来たてのお料理だって出せる。
「取りあえず食パンを薄くスライスします」
言いながら私は食パンを薄く切り始めるのだった。
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<業務連絡>
*申し訳ございませんが、海外出張が確定となりました。
2023年7月15日から23日まで上海に行く事となってしまいました。
こちらなろう様は中国からのアクセスが出来ませんので、その間更新はお休みさせていただきます。
不便な国ですよね~中国って……
こんな物語を読んでいただいている読者様には申し訳ございませんが、どうぞご理解の上よろしくお願い致します。




