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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十三章:魔法学園の日々
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13-21直るの?

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 なんだかんだ言って私たちは連合軍の駐屯地に着いていた。



「アニシス様! 御久しゅうございます、また一段とお綺麗になられた!!」


「これはこれはアイザック様、お久しぶりですわ」



 馬車が着いて居り始めたら早速アイザックさんがアニシス様の手を取って馬車から降りるのを手伝う。



「お久しぶりです、アイザック殿。それとロディマス将軍まで出迎えに来ていただいたとは、恐縮です」


「いやいや、アイシス王女様が来られると聞きましてな。如何ですかな会合の方は?」


 みんな各々に挨拶しながらアイシス様はロディマス将軍と何やら話を始めている。

 こっちの方を見ると満面の笑みのアイザックさんがアニシス様のご機嫌取りで忙しい。



 アイザックさん、あなたのその思いは……


「ううぅ、アイザックさんが不憫で見ていられない……」


「え? なんで?? アイザックさんアニシス様と会えてうれしそうだよ?」


「あの朴念仁がねぇ~。でもまあアニシス様にはしっかりとフラれるだろうからその情けない顔を拝むのも楽しみね!」



 分かっていないルラと人の不幸を楽しみにするヤリス。

 私はアイザックさんが更に不憫に思えてきてしまった。



「それで、アイザック様の『鋼鉄の鎧騎士』はどちらにですの?」


「はははは、あんなおんぼろですが無いと困りますからね。こちらです」


 そう言ってアイザックさんはしっかりとアニシス様の手を引いて向こうへと言うのだった。



 * * * * *



 アイシス様はロディマス将軍と重要な話が有るとかで別の部屋に行っている。

 私たちはアイザックさんに連れられて倉庫のような場所へと来ていた。



 そこには「鋼鉄の鎧騎士」たちが椅子にでも座ったかのような格好で体に色々取り付けられていた。

 整備士だろうかいろいろな人があれやこれやと「鋼鉄の鎧騎士」をいじっている。



「まぁ、流石に連合軍。いろいろな時代と各国の『鋼鉄の鎧騎士』が集まっていますわね! 凄いですわ!!」


「はははは、アニシス様はやはり『鋼鉄の鎧騎士』を見ると嬉しそうだ。こちらです」


 そう言ってアイザックさんは更に奥の場所へと私たちを連れて行く。



「ねえヤリス。アニシス様ってそんなに『鋼鉄の鎧騎士』が好きなの?」


 歩きながらルラがヤリスにそう聞く。

 ヤリスはちょっと上目遣いで思い出しながら言う。


「う~ん、好きって言うか、うちのガレント王国の中身、素体のほとんどがティナの国製だしアニシス様は自力で魔鉱石やミスリル合金いじれるから、王女であるにもかかわらず『鋼鉄の鎧騎士』いじり倒していたわねぇ~。前にガレント王国に来た時も真っ先に納品されていた『鋼鉄の鎧騎士』の様子を見に行ってたもんね」


 どうやら「鋼鉄の鎧騎士」に関してはスペシャリストのようだ。

 それを聞いた私は少し安心をする。


 これならルラが壊したアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」も直せるんじゃないだろうか?



「ここです」


 そんな事を思いながら付いて行ったらアイザックさんが立ち止まり静かに座っている「鋼鉄の鎧騎士」を見上げる。

 私たちもつられて見上げるけど、なんかその「鋼鉄の鎧騎士」は静かに眠っている様だった。



「ホリゾン公国製二千九百年代後期の作ですわねもう百年以上前の…… 当時のホリゾン公国製『鋼鉄の鎧騎士』は魔力量をどれだけ抑えられるか試行錯誤された機体。私たちのティナの国製『鋼鉄の鎧騎士』とはコンセプトもそのシステムも全て違う発想から生まれたモノ。今では規格を統一する関係からその系統は全て生産が止まり、現存する機体も中古市場でさえかなりレアな機体となっている…… ああっ!! やっぱりこの『鋼鉄の鎧騎士』には当時の名工たちのロマンが感じられますわぁっ♡」



 アニシス様はアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」を見上げそう言ってもの凄く嬉しそうにする。



「いやはや、お恥ずかしい。こんなおんぼろしか廻してもらえないなんて」


「何を言いますの! こんな博物館でも見られないようなレアな『鋼鉄の鎧騎士』が生で見れるのですのよ!? しかも実稼働中!! それをいじれる、しかも今回はアイシス様が予算使い放題って言ってましたわ!!」



 はい?

 アニシス様がやたらと「鋼鉄の鎧騎士」に詳しいのは分かったけど、後ろの方で言っていたそれって……



「どうですかアニシス様? この『鋼鉄の鎧騎士』は直せそうですか?」


 目をキラキラさせているアニシス様を見ていたら後ろから声がかかって来た。

 見れば別部屋で話をしていたはずのアイシス様とロディマス将軍が来ていた。



「勿論ですわ! 基礎フレームの追加強化、魔力伝達用の連結回路も新品に変えて、反応速度もその出力も大幅にアップ! そして強度もエルリウムΓをふんだんに使って網目加工しますわよ! 問題となる魔晶石核ですが、連結型魔晶石核を使いますわよ! それとそれと、外装のミスリル合金は~」


「アニシス様、修理は出来ると言う事でよろしいですね? アイザック殿のこの『鋼鉄の鎧騎士』が切り札となります。よろしくお願いしますね」



「ええっ、勿論ですわ! 私のお部屋の女の子たち同様それはそれはたっぷりと可愛がってあげますわ!!」



 何それ? 

 部屋の女の子同様って……



「はぁ~、でもよかった。これで壊れたアイザックさんの『鋼鉄の鎧騎士』が直りそうだね。良かったねお姉ちゃん」


「う、うん。でも普通の修理じゃないんですか? それに切り札って……」


 しれっとアイシス様は気になる事を言った。

 ただ直すだけでなく、大幅にアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」を改修して切り札にって……



「それはですわね、アイザック様のこの『鋼鉄の鎧騎士』がスィーフに現れた魔物の討伐に行くからですわ。中古とは言え、ガレント王国の『鋼鉄の鎧騎士』を破壊した魔物。それを退治する為の改修ですのよ!!」


 アニシス様はそう言ってびっと人差し指をたてる。


 ええとぉ……

 もしかしてそれって既定事項?


 となると、あの手合わせで壊れようが壊れまいがアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」はアニシス様の手で改修されることが決まっていたぁ!?



「あ、アニシス様っ!」


「約束は約束ですわ。でもリルさんとルラさんが私の部屋に遊びに来て下さることが協力をする決め手になったのは事実ですわ。それまではティナの国から『鋼鉄の鎧騎士』の素体の提供をする案でしたが、それでは時間がかかり過ぎますからね、こうして私自ら改修に手を出すのがベストですのよ」


 にっこりとそう言うアニシス様は悪戯がばれた時の少女のような顔つきだった。



 あ~。

 はめられたぁ~。

 



 私は喜んでいるアニシス様を見ながら思い切り大きなため息をつくのだった。

  


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[一言] >にっこりとそう言うアニシス様は悪戯がばれた時の少女のような顔つきだった。 >はめられたぁ~。 >私は喜んでいるアニシス様を見ながら思い切り大きなため息をつくのだった。 アニシス「何を仰い…
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