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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十三章:魔法学園の日々
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13-18鋼鉄の鎧騎士と

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 なんだかんだ言いながらヤリスは着替え終わっていた。

 そしてとある青年を前にしていた。



「王女がお帰りになっていたとは。しかしいきなり手合わせとはどういうことですか?」


「ちゃんとロディマス将軍には許可取っているわ! さあ始めましょうアイザック!!」



 ドレス姿から格闘家のような動きやすい格好に着替えたヤリスは青い髪をお団子にまとめて軽い屈伸運動をしていた。

 それを見ていたアイザックと呼ばれた青年は大きくため息をつきながらロディマス将軍を見る。



「将軍、良いんですか?」


「久しぶりだ、手加減無しで良いぞ?」


「お戯れを…… ん? このエルフの子は? だいぶ若いようだけど……」


 ロディマス将軍とそんな話をしていたアイザックさんはルラに気付く。



「こんにちわ、あたしルラ! あたしも手合わせさせてね!!」


「いや、お嬢ちゃん……でいいのかな? エルフは見た目で年齢は分からないからな。とにかくヤリス王女は特別だから君には無理だよ?」


「だいじょーぶ! あたしは『最強』だから!!」



 そう言うルラにアイザックさんはロディマス将軍を見る。

 するとロディマス将軍はニカっと笑って言う。


「大丈夫だ、例のエルフの姉妹だ。どれほどの者か今のうちに見ておきたい。頼んだぞアイザック」



「この娘が?」



 ややも驚きルラを見る。

 そして私の存在にも気づき私も見る。


 ぱちくりと瞬きしていたアイザックさんをヤリスがせかす。



「ほら、許可もらったんだから始めるわよ!」


「ふう、分かりました。しかしヤリス王女、機体は壊さないでくださいよ?」


 言いながらアイザックさんは立ち上がり自分の「鋼鉄の鎧騎士」に向かうのだった。



 * * *



「ぬふっふっふっふっふっ、大魔導士杯でゴーレム使ったおかげで色々と学べたからね。行くわよアイザック!!」


 

 ヤリスはそう言いながら体をぼうっと薄く光らせこめかみの上に三つずつトゲのような癖っ毛をぴょこんと生やす。

 これがヤリスの本来の姿。

 覚醒者としてのヤリスは正直ルラに匹敵する身体能力と膨大な魔力を保有する。



「では、はじめ!!」


  

 ロディマス将軍のその声でヤリスと「鋼鉄の鎧騎士」は一斉に動き出す。

 正直少女のヤリスの身体と身の丈六メートルはある巨人の様な巨体では勝負にならないのだが、ヤリスは覚醒者として普通ではない。


 ヤリスは早速飛び上がりアイザックさんに向かって飛び蹴りをする。

 しかしその跳躍が普通じゃない。

 地面から一直線に弓矢の如く鋭い蹴りを飛ばす。


 それを知っているかのようにアイザックさんは「鋼鉄の鎧騎士」を半歩ずらし左手でヤリスを側面から叩くようにいなす。

 ヤリスもそれは分かっているようですぐに右手でガードをするも、既に紙一重でよけられているのでアイザックさんのかなり後ろまで飛んで行って着地する。



「相変わらずちょっとの力で私の攻撃を避けるわね! でもこれならどう!? ガレント流剣技三の型、雪崩!!」



 ヤリスはそう言いながらいつの間にか魔法で作り上げた土の剣で地面を突き刺し、魔力を高めていた。

 そしてその魔力は爆発するかのように地面を削り取り雪崩のように一気に石礫がアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」を襲う。


『くっ!?』


 流石に小さな石礫が沢山飛来するのをよけきる事は出来ず、顔の部分に飛んでくる石礫だけは腕でガードするアイザックさん。

 そこへヤリスが飛び込んでいく。



「そこっ!三十六式が一つ、チャリオットぉっ!!」



 足のばねを思い切り使った踏み込みで体全体をアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」にぶつけようとするヤリス。

 状態が石礫で崩れているアイザックさんはこれをよけきれない?


 が、ここでアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」はあり得ない動きをする。

 後ろへ倒れるかのように上半身をのけぞらせヤリスの体当たりをギリギリでかわす。

 そしてそのまま右足を上げてヤリスを後ろから蹴り上げた!



「なっ! うあぁっ!!」


 どがっ!



 完全に想定外の場所から蹴られたヤリスはそれをまともに受けてそのまま闘技場の壁まで行ってぶつかる。

 それも壁を破壊し土煙を盛大に上げて。



「ヤリス!! ロディマス将軍、あれはやりすぎなんじゃないですか!?」


 流石に覚醒者のヤリスでも生身の身体で「鋼鉄の鎧騎士」の蹴りを受けたんじゃただじゃすまないだろう。

 私がそうロディマス将軍に抗議するとロディマス将軍はニヤリと笑い指さす。


「王女があれくらいでどうこうなるとは思えませんな。覚醒時の王女は化け物ですからな」


 言われて私はそっちを見ると服の埃をはたいている元気なヤリスがいた。



「くぅ~、そう来るとは思わなかったわ。でも初めてね、アイザックが地面に手を着いたのは」



 ヤリスはそう言って肩をぶんぶん回してゆっくりとこちらに戻って来る。

 それを見てアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」もゆっくりと立ち上がる。



「そろそろか、両者そこまで!!」


 しかし対峙してもう一手と言う前にロディマス将軍は待ったをかける。



「え~、もう終わり? せっかくいい所だったのに~」


「はっはっはっはっはっ、ヤリス王女は強くなられた。アイザックに地面に手を着けさせたのですからな」



 膨れて両手の拳を、がんっ! とぶつけるヤリス。

 しかし相手のアイザックさんの「鋼鉄の鎧騎士」はしゃがみ込んでその胸を開く。

 中に鎧の様なもので体を固定されていたのがどんどんと解除されて、アイザックさんが降りて来る。



「ヤリス王女、さっきの本気で来たでしょ? ぶつけられたらこいつがお釈迦になってましたよ!!」


「いいじゃん、やっぱり避けられちゃったんだから! アニシス様も来ているから壊れたら直してもらうようにお願いしてあげるわよ!!」



「アニシス様が!?」



 ヤリスを捕まえて文句言っているアイザックさんだったけど、ヤリスからアニシス様の事を聞いたらその場で呆然としてしまった。

 何なんだろうね?



「ねぇ、終わったの? じゃあ次あたしだね!!」




 しかしルラはそんな事は気にもしないで元気に手を振っているのだった。

 

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