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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第三章:新しい生活
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3-16ピザ試作開始

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


ピザうまぁ~(ルラ談)


 私はピザを作る為の食材を掻き集めたのでいよいよ試作のピザを作り始める。



「まずはピザソースからね。えーとトマトピューレを鍋に入れてっと」


 瓶詰のトマトピューレを鍋に出してそこへ買って来たピクルスを細かく切って少量入れる。

 そして玉ねぎも同じく細かく切って入れて更にそこに乾燥バジルをすりつぶして入れてゆっくりと煮込んで行く。


 トマトピューレは一度火を通しているけどまだまだトマトの原型が残っているのでそれをへらでつぶすかのように煮込んでい行く。

 コトコトと煮込んで行くとやがて原形をとどめないソースの状態になってゆく。


 私はそれをスプーンで少しすくって味見してみる。


「んっ、ピザソースっぽくなってきた。後は塩を少し入れて味の調整っと」


 本当は胡椒なんかも入れたい所だけど、流石に胡椒自体がシーナ商会でさえなかなか手に入らないという。

 どうやらウェージム大陸では重宝されていて高級品は胡椒の値段が金と同じとか。


「胡椒が無いけど代わりにオレガノも少し入れてみようかな?」


 私は試しであるのでやってみたい事はどんどんやってみる。

 そしてオレガノを入れるとぐっと風味が増してかなり良くなった。



「どうお姉ちゃん? ピザ作れそう??」


 ずっと横で様子を見ているルラは心配そうに聞いてくる。

 なので私はスプーンでピザソースを少しすくってルラの口に入れてやる。


 

 ひょい、ぱくっ!



「んっ、おおぉっ! ピザの味だ!!」


「ね、いけるでしょう? さてソースは出来た。つぎは生地と具ね」


 私は買って来た生のパン生地をちぎって手で丸くこねてから小麦粉を少量引いた台の上にそれを乗せ棒で引き延ばしてゆく。

 押しつぶす時にテレビか何かで見た回転させながら潰してゆくと結構奇麗に丸く平たくなってゆく。


「確か本場のイタリアではこの位伸ばしたら宙でくるくると回してさらに広げていたような。でもそんな器用な事は出来ないからこのまま棒で広げるしか無いわね」


 ころころと棒で引き延ばしながらくるくると生地を回して行きどんどん平たくする。


 これが意外と重労働でなかなか思うように平たくならない。


「うんしょ、うんしょ」


「頑張れお姉ちゃん~!」


 横でルラが応援してくれるけど美味しいピザを食べる為、ここは頑張って可能な限り平たくする。

 するとパン半分の分量で三十センチくらいにまで広げる事が出来た。


 私はそこへさっきのピザソースを塗りたくり買って来たチーズを切り分けてからナイフでカンナ掛けのように削ってたっぷりと上にかける。

 生のバジルの葉っぱを乗せて軽くオリーブ油をかける。


 アスタリアちゃんにお願いしてオーブンにはもう薪を入れて温めておいてもらった。

 私はまだ中で燃えている炎を見て火の精霊、サラマンダーを呼び出す。



「炎の精霊サラマンダー、教えて今のこのオーブンの温度を」



 エルフ語でそう唱えるとアスタリアちゃんが首をかしげる。


「リルちゃん、今の言葉ってエルフ語? なにしているの?」


「えっと、炎の精霊にオーブンの中の温度を聞いていたの。このピザって高温でさっと焼くとこんがりとしておいしくなるからね」


 私の説明にアスタリアちゃんは「ふーん、そうなんだ。でも精霊魔法って便利だね」とか言っている。

 私はにっこりと頷きながらサラマンダーが教えてくれた結構温まっている、温度としては三百度を超えていると聞いて頷く。



「さて、それじゃぁいよいよ焼きますよ~」



 言いながらまな板に載せてオーブンの中に一気にずらし入れる。

 薪を掻き回すかぎ爪の鉄の棒の先端を奇麗にして時たま中の様子を見て膨らんだ場所をかぎ爪の鋭い部分で刺してふくらみを押さえる。

 まるでおもちのようにぷふぅ~って言いながら平たく戻るそれは良い感じに焼かれてゆく。

 

「うーんもうちょとかな?」


 かぎ爪でピザを回して焼き具合を見てみると良い感じに焼き上がっている様だ。


「そろそろ良いかな?」


 私はまな板をオーブンの入り口に準備してかぎ爪でそっと引き寄せ乗せる。

 出来上がったマルゲリータのピザは香ばしい香りに見た目もまさしくピザで食欲をそそる。



「さあ出来た! これがピザよ!!」


「おおぉ~、ピザだぁ~!!」



 それを見たルラは大はしゃぎ。

 ツナマヨコーンでは無いけどチーズがたっぷりととろけたそれはよだれが出そうだった。


「これがピザなんだ? なんかパイの皮みたいだね?」


「あ、それに近いかな? でも味は全く違うよ。それでは早速試食と行きますか!」


 私は包丁でピザを切って行く。

 頑張って薄くした生地はサクッという音を立てながら放射状に切られてゆく。


「さぁ、食べよう。どーぞ!」


「わーい、いただきまーす!!」


 準備が出来たので食べようと言うと早速ルラは三角になったピザの破片を手で引き抜く。

 するととろけたチーズが糸を引く。


「わっ、手で食べるんだ。なんかチーズが糸みたいになってるね?」


 ルラのそれを見てアスタリアちゃんは驚き同じくピザの破片を手に取りルラを見る。 

 するとルラはその細先端にかじりつく。



 さくっ!



 高温で焼いたのでピザの生地はサクサクした音を立てる。 

 にっこり顔でルラはもしゃもしゃと咀嚼をして飲み込む。


「うんっ! ピザだ!! 美味しいぃ~」


「へぇ、そうやって食べるんだ。どれどれ」



 さくっ!



 アスタリアちゃんもルラと同じく先端からかじりついてもしゃもしゃと咀嚼すると目を見開く。



「なにこれ!? サクサクしているのにチーズのとろ~りが美味しい! トマトのソースも香りが独特でもの凄く合う! バジルの葉っぱって生だとこんなに美味しいんだ!?」



 驚きどんどんとかじって行くアスタリアちゃんを見ながら私も食べてみる。



 さくっ!



「んっ、マルゲリータにちゃんとなっている! これは頑張って生地を薄くした甲斐があったね!!」


 先端のトロトロチーズは勿論、ピザソースも良い味を出している。そして肝心な生地も頑張って薄くしたからサクサク。

 そこへ生のバジルの葉っぱが良い香りと味を出していてくれる。



「リルちゃん、これお店で出したら絶対に売れるよ!! あのスパゲティーと同じくこれも出そうよ!!」


「うーん、それはおかみさんと相談しないとね。なんたって生地を薄くするのが大変だし、もし大量に作るなら道具も作らないとね」



 言いながら二枚目に手を伸ばすと既にルラとアスタリアちゃんがどんどん食べていてもうなくなってしまっていた。


 私は最後の一枚をサクサク食べながら又台の上に小麦粉を少量ばらまく。

 そしてまたピザを作るのだけど今度はチーズを振りまいた上にパプリカや玉ねぎ、ソーセージの切った物やらといろいろ載せて行く。



「おかみさんたちにも試食してもらおうよ。今度はミックスピザって言うんだよ」




 私のその言葉にアスタリアちゃんは大慌てでおかみさんを呼びに行くのだった。


 

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