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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十三章:魔法学園の日々
305/438

13-7夏休みの予定

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 夏休みが始まっても朝の鍛錬をしている。



「そこっ!」



 ずばっ! 



「くっ、このぉっ!!」


「うわっと!」


 ユカ父さんの分体から繰り出される斬撃波をよけながら精霊力に魔力干渉があるのを感じ取る。

 すぐに地面から隆起するであろうそれを「消し去る」ために意識を集中する。


「うわっ、【地槍】が来たぁ!」


「任せて、『消し去る』!」


 ユカ父さんが魔力の流れを操って大地の精霊たちに干渉して流し、地面を隆起させてキリの様な槍を突起させるのを私はチートスキル「消し去る」で消し去った。


 となると、今度は衝撃波を撃って来たユカ父さんの分体が飛び込んでくるはず。


「あたしは防御も『最強』!!」



 がきーんっ!



 やはり消え去った【地槍】の後ろからユカ父さんが飛び込んできて刀を振って来た。

 しかしルラのチートスキル「最強」でその攻撃を押さえる。


 ユカ父さんはすぐに刀を引いて間合いを取る。



 ばっ!


 とんっ



「よろしい。スキル自体の使いどころ、冷静な判断、教えた通りに出来るようになってきましたね」


「いいえ、そろそろ限界です!」


「ううぅ~、魔力があたしも限界~」



 ちゃきっと刀を構えてからそれを鞘に納めながらユカ父さんはそう言う。

 それを確認した私とルラはその場に座り込み大きく息を吐く。


 正直もう魔力が残っていない。

 ユカ父さんのあの攻撃をよけながら【念動力魔法】で手足の重りを操作して動き回り、更にチートスキルを使うためにギリギリの精神力は魔力もごっそりと持ってゆく。


 結果毎朝気絶寸前の所まで追いやられて朝稽古が終わる。



「今日はここまでにしましょう。明日も頑張りなさい」


 そう言って先にこの試験所を出ようとするユカ父さんにあたしは声をかける。



「あの、ユカ父さん!」


「ぐっ、リ、リルユカ母さんでも良いのですよ? それで何でしょうか?」


 私が珍しく呼び止めるのでユカ父さんは少し驚いたように振り返る。

 私は軽く息を吐いてから言う。


「あの、実はヤリスとアニシス様に呼ばれてガレント王国とティナの国に行って見たいんですが」


 一気にそう言うとユカ父さんはピクンとしてから私に向き治る。



「リル、それはヤリスの元かアニシスの元へ嫁ぐと言う事ですか?」


「ちっがーいぃます! 夏休みだから数日ずつ遊びに来いって誘われてるんです!! 何故私が嫁ぐ話になるのです!?」



 はぁはぁ……

 駄目だ、一気に疲れが出た。

 なんでユカ父さんまでそんなボケをかます?



「そう、ですか…… そうですよね、まだ私の娘たちは嫁に行くには早すぎますし、相手も挨拶の一つにも来ないと言うのは叩っ切られても文句が言えないですものね。危うくガレント王国とティナの国と全面戦争になる所でした」



 いやいやいや、なんで全面戦争になるのッ!?


 もしずっとこうだったら私たちって年百年経ってもお嫁に行けないってことじゃない?

 あ、いや、その頃には先にエルフの村に帰っているか……



「しかし、ガレント王国とティナの国ですか。予定は決まっているのですか?」


「いえ、まだ決まっていないんですが、なんかうちのファイナス長老もガレント王国に行く用事が有るとか無いかとかで……」


 まだ少し時間はあるけど予定ではそろそろファイナス長老もここボヘーミャに来る。

 そしてゲートを使ってガレント王国に行くらしいので私たちもそれと一緒に行くか、もしくは予定を早めて先に行くかで悩んでいる。


 まあ、ソルミナ教授が私たちをそうそう簡単に放してはくれないだろうけど……


 事実夏休みになってから朝稽古が終わるとすぐに研究室に呼ばれてどう考えても効果が無い育乳を試している。

 勿論私たちもそれに付き合わされていろいろされるけど、その都度アニシス様が何処からか変なグッズを持って来て主にソルミナ教授を相手に試している。



「そう言えばそろそろファイナス市長が来る頃でしたね。そうするとリルたちもそれと一緒に?」


「まだ決めてませんが、ソルミナ教授が放してくれないと多分そうなるかと……」



 学園には世界各国に繋がるゲートがある。

 なんでも大昔、魔法王国時代のモノらしく決まった場所どうしを一瞬で移動できるものらしい。

 使うには学園の許可がいるけど、その便利さは学園の運営費出資国優先で使えるので王族、貴族を中心にこう言った長期休暇などで使われる。



「ソルミナ教授が? そう言えば今は何の研究をしているのですか??」


「そ、それは、その……」


 言えない。

 エルフの胸を大きくする研究だとか言えない。

 いや、マーヤ母さんには言ってるけど……


「あたしたちエルフのおっぱい大きくする研究だよ~」


 おいこらルラ、言えないって言ってるでしょうに!!


「おや? 確かソルミナ教授の研究は全ての女性に対しての身体的特徴の増長研究と聞いていましたが? もし成功すれば私も可能性があると言われ予算増額したのですが、エルフだけですか?」


「あ、え、えーと、研究対象で手元にいるのが私たちエルフだったので、まずはそこからと言うか…… 一緒に研究室に来ているヤリスやアニシス様にはもう必要ない事ですし……」


 そう、もうじき同じ年になるヤリスはご立派なモノを持っている。

 更にアニシス様なんかルラの顔が完全に埋まるほどの谷間が有り、そこへ顔を押し付けられると窒息死するという危険極まりないモノをお持ちだ。


 そんな事を聞いたユカ父さんは自分の胸を両の手で持ち上げる。


「ふむ、私もかろうじて激しく動けば揺れはしますがマーヤに比べるとまだまだ。出来ればこちらの世界の女性の標準くらいは欲しい所です。あちらの世界で当時はこれでも標準的な大きさだったのですが、一度帰った時には当時の女学生はかなり発育が良くなっていてかなりへこみましたが……」


 ユカ父さんはそう言って何度か自分の胸を上下に動かす。

 

 いや、それでもうらやましい。

 揺れを感じるくらいあるだけでも十分よ、今の私たちに比べれば!!


 ユカ父さんは外見は二十歳前くらい。

 女子高生と言っても通るくらいに見えるけど、もう千年以上生きているらしい。

 それもこれもマーヤ母さんの「時の指輪」のお陰らしいけど、そう言えば指輪しているところ見た事無いな?



「あの、ユカ父さんちょっと別の事ですけど、ユカ父さんって『時の指輪』ってしていないのですか?」


「ぐっ、リ、リル、ユカ母さんでも良いのですよ…… 『時の指輪』はこうしてちゃんとつけていますよ?」


 そう言いながらユカ父さんは左手をあげて私たちに見せる。

 すると薬指にぼうっとした影が出てそこに指輪が現れた。


「この指輪は自分の意志でこうして体内に隠す事が出来ます。何かの拍子に傷ついたり壊れてしまうと大変ですからね。通常はこうしてしまってあるのです」


 そう言ってユカ父さんは大切そうにその指輪を撫でる。


 あれが「時の指輪」。

 マーヤさんが生み出したと言う指輪なんだ……

 大人になってもし私も本当に好きな人がエルフ族以外で出来たらその指輪を産めばその人とずっと一緒にいられる。


 それはとてもうれしい事であって、そしてエルフの女性にしてみれば一生に一度きりの大切な事。


「しかし、問題もありましてこの指輪をはめると確実に成長は止まります。私だってまだまだ機会がある年齢でしたがこの指輪をはめてしまいそれ以上の成長は止まってしまいました。くっ、知っていればもう少し後に指輪をはめたものを!!」


 そう言ってぐっと自分お胸を掴む。

 

 いや、つかめるだけうらやましいです!

 私やルラなんてつまむのも難しいくらいのお饅頭。

 

「話がそれました。ガレント王国とティナの国に行くのはいいでしょう。但し予定と連絡先を教えてください。何か有ればすぐにでも駆けつけますから」


「あ、えっと、はい……」



 うん、過保護ここに極まりし。

 嬉しくはあるけど遊びに行くだけでこれはねぇ~。



 私は行った事の無いヤリスとアニシス様の故郷に遊びに行ける事にちょっと期待を膨らませるのだった。








 ……そのまま胸も一緒に膨らんでくれればいいのにっ!! 

 


面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


<業務連絡>

*申し訳ございませんが、海外出張が確定となりました。

2023年6月17日から24日まで上海に行く事となってしまいました。

こちらなろう様は中国からのアクセスが出来ませんので、その間更新はお休みさせていただきます。

不便な国ですよね~中国って……

こんな物語を読んでいただいている読者様には申し訳ございませんが、どうぞご理解の上よろしくお願い致します。

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