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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十二章:留学
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12-50祭りの後

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 あの後大騒ぎになったけど、ホリゾンチームが負けを認め私たち「エルフは私の嫁」チームが優勝という事となった。

 しかし問題もあって色々と事情説明の為その後が大変だった。




「つまり、あの現象は精霊力を使った共感現象だったと言うのですな?」


「はい、そうですわ。この技術は遠い過去、ガレント王国のとある魔術師が開発されたとされていますわ」


 私たちは試合後にここ大魔導士杯実行委員会に呼び出しをされていた。

 生徒会長たちがあの緑の光の現象からホリゾンチームのゴーレム消失、公では伏せられたホリゾンチームのハイリスさん発狂等について説明をしていた。



「バーサーカーとはな…… しかし今は元に戻っているらしいが、よく元に戻れたものだ」


 アスラス生徒会長はそう言ってホリゾンチームの面々を見ている。


「で、殿下申し訳ございません。このような無様をさらすとは……」


「殿下! ミラーナを責めないでください!! 全てはこの私、ハイリスが起こした問題。全ての責はこの私に有ります」


 すぐさまその場にひれ伏す四人。

 そしてひときわ大きく頭をこすりつけるほど下げているのがハイリスさんだ。


「やめないか。ここでは私も一介の生徒。祖国を思うお前たちの気持ちは十分だ。今の私には生徒会長としての立場もある」


 そう言ってラザリヤさんがひれ伏すミラーナさんたちを起き上がらせる。


「皆さんの戦い、十分に我が祖国への忠義としてとらえられました。殿下もそれはよくご理解してます」


「しかし……」


「私は、私は……」


 リーダーのミラーナさんと獣人のハイリスさんはラザリヤさん涙目で言う。


「とにかく問題はその後ですな、アニシス様、ヤリス様、あのゴーレムは何処へ行ったのですか?」


 アスラス生徒会長は一番聞きたい事を聞いて来た。

 多分異世界に飛ばされていると思うけど、あの駄女神が出て来た。

 もしかすると駄女神の所へ行っているのかもしれない。


「正直、異界への門を開いたので何処へ行ったかは分かりませんわ。あの時はあのゴーレムの暴走を止めることが最優先でしたわ。結果ハイリスさんを支配していた怒りの精霊もゴーレム共々異界に飛ばされたと言う事になりますわよね、リルさん」


「えっ? あ、はい、多分そうです…… ハイリスさんにはもう怒りの精霊は感じませんから……」


 いきなり話を振られてちょっと驚いたけど、多分間違いない。

 同期していたあのゴーレムからは怒りの精霊をはっきりと感じた。

 だからあのゴーレムが異世界に飛ばされてハイリスさんと離れたからハイリスさんのバーサークは無くなった。

 本来なら命尽きるまで暴れまわるのがバーサーカーらしいけど。


「なるほど、結果あなたたちに助けられたと言う事ですな。もしハリスがバーサーカーとしてあのまま暴れまわっていたら被害がもっと大きくなっていたでしょう。下手をすると観客にまで害が出てしまう所だった」


 アスラス生徒会長はそう言ってハイリスさんを見る。

 ハイリスさんはびくっとなって下を向く。


「責めているのではない。よくぞ無事戻って来てくれた。お前たち獣人族の忠義は知っている。引き続き祖国の為に尽くしてくれ」


「え、あ、あの、よろしいのですか?」


「当り前だろう? ミラーナもハイリスもラッシュもロティも引き続きこの学園で学び優秀な魔導士となり祖国へ戻るのだ。それがお前たちに課せられた使命なのだからな」


 アスラス生徒会長はそう言ってニコッと笑う。

 その自然な微笑みは女の子なら誰でも、どきっ! とさせられるだろう。


「さてそうするとあのゴーレムがここへ戻ってくることはもうないと言う事ですね?」


「ええ、多分そうだと思いますわ」


 アスラス生徒会長はアニシス様に向かって確認するように聞く。

 アニシス様も平然と済ましてそう返すけど、何だろうこの二人に漂う緊迫感は?



「時に今回の大魔導士杯でのゴーレム貸出しの件ですが」


「私たちの分のゴーレムは返却が終わっていますわよ?」


「ホリゾンチームの分のゴーレムがまだなのですよ」


「まあ、それは大変ですわね」


「……」


「……」



 何なのだろう?



「ミスリル合金使用のゴーレムの価格はこの様になっております」


 ラザリヤさんがアスラス生徒に書類を手渡す。

 それをアスラス生徒会長はアニシス様に見せながら言う。



「騒ぎを止めたと言う事で半分、持ってもらえませんか?」


「三割ですわ」


「……」


「……」



 しばしにらみ合う二人。


 

「はぁ~、分かったわよ足らない分はうちから出すわよ、優勝したからお姉さまも文句は言わないと思うわ」


 にらみ合っている二人にヤリスは大きなため息を吐きながら言う。

 つまり、ホリゾンチームの消失してしまったゴーレムの損害賠償であの二人はにらみ合っていたのか!!



「お姉ちゃん、どう言う事?」


「う~ん、誰がお金払うかって話みたい……」


「ふーん、それならあの女神様にお願いすればいいのに、エルハイミさんそっくりな」


「いや、あの駄女神にお願いしたら後が怖いわよ…… って、ルラもしかして何があったか覚えてるの?」



 私は驚きルラを見る。

 あの後ルラは完全に気を失っていた。

 

 もっともしばらくして気がついたら司会のメリヤさんの私たちの優勝でその場が大盛り上がりになってうやむやになっていた。


  

「うん、覚えてる。お姉ちゃんの力、気を付けないといけないね」


「う、うん……」


 私のチートスキル「消し去る」はその気になればこの世界自体を消し去る引き金になるらしい。

 そんな事私は勿論望まない。

 そしてそんな事はしない。



「では、ガレント王国からの支援もあると言う事で今回はこれで」


「そうですわね、学校の備品ですから致し方ありませんわね」


 向こうではアスラス生徒会長とアニシス様がにこやかにそんな話をしている。

 但し目は笑っていないけど。


「とにかく、これにて今次の大魔導士杯は終了ですな。優勝おめでとう」


 しかしそこは流石に生徒会長、最後にそう言ってアニシス様に手を差し出し握手を求める。

 アニシス様はその手を握り返し言う。


「ありがとうございますわ。ティナの国としても大変名誉な事ですもの」


 そう言ってから私たちの所へ戻って来る。


「さあ、お祝いですわ! 今日は私のおごりでお祝いしましょうですわ!」


「ホント!? あたしお肉が良い!」


「ふうぅ~終わったか。ま、私もこれでお姉さまに折檻されなくて済むし大手を振って私の後宮を作れるわね!!」


 とりあえず今は優勝したことを喜ぼう。

 ちょっと駄女神の言っていたことは気になるけど。



 私たちはそんな事を思いながらお祝いで街へ向かうのだった。

    


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