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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十二章:留学
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12-23魔演会開始

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 なんだかんだ言って魔術総合実演会が始まった。



「よ~し、研究発表の分準備終わった。お疲れ様リル、ルラ、ヤリスにアニシス」


 ソルミナ教授の研究発表は掲示方式にしている。

 まだ実績の少ない教授たちは発表会の方に参加して評価が高ければそれに対してオファーが来て、うまく行けば商品化して収益が発生する。

 ソルミナ教授のように実績が多ければわざわざそちらに参加しなくてもこう言う風に掲示方式で済ませられる。


「これでうちのクラスの出し物に集中できるわね」


 そう言いながらソルミナ教授は腕を上げ伸びをするけど、私もルラもヤリスもぐったりしている。

 なんだかんだ言って資料とか掲示物の移動とか結構いろいろ忙しかった。


「おわったぁ~、あたし資料作るの苦手~」


「流石ソルミナ教授ね、専門用語が多すぎて理解するのに苦労したわ」


「確かにそうですね。調べるだけで半日かかっちゃったりしましたもんね」


 研究発表は一般人も来るのでわかりやすくしなければならない。

 業界用語と言うか、この学園にでもいなければ分からないような言葉もあるのでそれを分かりやすく表記するのが私たちに課せられた仕事だったけどこれがまた大変だった。


 その辺はほとんど上級生のアニシス様にお願いすることが多かったけど、アニシス様ってそういう方面でも優秀でどんどん翻訳に近い事やってのけていた。



「うふふふふ~、これでやっとリルさんとルラさんの可愛らしい姿が見れますわ。さあ、早く皆さんのクラスに行きましょうですわ!」



 ニコニコ顔のアニシス様はこれが終わったら絶対に私たちの「エルフの森の喫茶」に来ると言っていた。

 しかも給仕に私とルラを指名で。


「そう言えばマーヤ母さんも来るって言ってたね~」


「なんか学園長も後で様子見で来るって言ってたわね。あの人忙しいはずだけど大丈夫なのかな?」


 仕方なしにアニシス様を連れてみんなでうちのクラスの出し物の部屋に向かう。

 ちなみにいつも使っている教室ではなく、別の部屋を借りている。

 そうでないと大学の講堂みたいな私たちの教室では喫茶店なんか開けない。

 床が平らで無いもんね。


 

 喫茶店をやっている部屋に着くと既にお客さんが結構と並んでいた。


「ベルルティスさん、今戻りました! すぐシフト入りますね!!」


「リルさん、ルラさん助かりました。すぐお願いしますね」


 クラス委員長は何故かお客さんを正座させてハイヒールで踏んでいるけどお客さんは恍惚とした顔で喜んでいる。

 うんうん、やっぱりそう言ったお客さんの需要もあったのね。


 私はアニシス様をクラスのロミリアさんにお願いして席へと案内してもらう。

 あ、ウ・コーンさんとサ・コーンさんも来ているけど椅子をすすめてもかたくなに拒んでアニシス様の一方後ろに直立不動で立っている。

 あの人たちもお茶飲めばいいのにね~


 私とルラ、そしてヤリスはすぐにウェイトレスの服に着替えてアニシス様の元へ行く。



「「「お嬢様、お帰りなさいませ。お待たせしました」」」


 にっこり顔でお辞儀して三人でアニシス様の前に並ぶ。



「んまぁっ! なんて可愛らしいのですの!! いいですわぁ、フリフリの短いスカートにおいしそうな太ももを大胆にさらす事により視線をそちらに集中させ、大きなリボンでその胸元を隠しサイズの不利さをうまく隠すその塩梅、見事ですわぁ!!」



 ぐっ!

 私たちの胸の小ささをごまかすこの衣装の真意を見抜くとは流石アニシス様。

 この三人の中でしっかり揺れるサイズのヤリスはリボンの大きさを小さくしてるけど、どうやらそれもしっかりと分かっているらしい。

 肩や首回りもひらひらを多めにして胸の大きさがわかりにくいようにしていたのに。


「このままお持ち帰りしたいですわぁ~」


「お、お嬢様、ご注文は何になさいましょうか?」


 それでも今はアニシス様はお客様、決して失礼の無いようにしなければならない。


「そうですわね、おすすめは何でしょうかしら?」


「本日は私めが作ります白いパンケーキなどは如何でしょうか? お茶は桃の香りが強いピーチティーがおすすめです」


 ドドスの街でもメリーサさんに教えたけど、ヤリスに聞いたらこっちのウェージム大陸でも通常パンケーキって薄くてぱさぱさ気味のが主流らしい。

 クラスの女の子たちにドドスと同じパンケーキの作り方教えたらかなり大騒ぎになってたもんなぁ。

 おかげで厨房組も大忙しらしいけど。


「まあ、白いパンケーキとは珍しいですわね。是非それをお願いしますわ」


「それでは少々お待ちください」


 そう言って私は急ぎ厨房に戻る。

 

「オーダー入りました、白パンケーキです!」



 ざわっ!



 私がオーダーを入れた途端厨房がざわめく。

 すぐに手を洗ってエプロンをかけ、卵の白身と黄身を分ける。

 白身をかき混ぜメレンゲ状になるまで泡立ててからその他粉や砂糖、バニラエッセンスなどを入れて別にかき混ぜていた物を泡がつぶれない様に少しずつ入れる。

 それを程よく熱したフライパンに流し込み、軽く蓋をしてしばし。


「よしっ!」


 ふたを開けるともふもふの状態になっている。

 それを素早く裏返し、焼き目がつかない状態を確認してすぐにふたを閉める。

 そしてまたしばし、ふたを開けてそれをお皿に。


 生クリームやフルーツ、蜂蜜もたっぷりとかけて出来上がり!



 おおぉ~!



 周りから声が上がる。

 本当は皆にもこれを教えたかったけど、流石にこれが出来るには鍛錬が必要だった。

 作れるまでにはかなりの経験と技量が必要なので現在これが出来るのは私だけ。


 私は出来あがったそれをルラを呼んでアニシス様に持って行ってもらう。


「さあ、約束通り限定は後十食分です、すぐに作りますよ!!」


 実は一日限定十食のこの白いパンケーキは初日から話題になっていた。


 クラスの女の子の間では試食時にそのおいしさと珍しさで他のクラスに情報を漏らした子もいるので、この限定十食は抽選販売となっていた。

 しかも私のシフト時間だけの特別限定品。


 おかげで私のシフト時間に今後もお客さんが殺到するという現象になるとはこの時はまだ思いもしなかったのだけどね。



「まあ、本当に白っぽいですわね! それに私が知っているパンケーキとだいぶ違いますわね、何やらふわふわしていて美味しそうですわ!!」


 厨房でパンケーキを焼きながらちらりとホールを見るとアニシス様の元へちゃんとルラが届けた様だ。

 それを周りのお客さんも凄く気にしている様だった。


「さて、ちゃっちゃと予定分焼いて次行って見よう―か!」



 私はどんどんと白いパンケーキを焼いて行くのだった。 

  


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[一言] >それでも今はアニシス様はお客様、決して失礼の無いようにしなければならない。  良いのよ?  城とかじゃなくて店で、しかも相手の身分を考えなくて良い場所なのだから、店にとって不利益で迷惑に…
[一言] >それでも今はアニシス様はお客様、決して失礼の無いようにしなければならない。  良いのよ?  城とかじゃなくて店で、しかも相手の身分を考えなくて良い場所なのだから、店にとって不利益で迷惑に…
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