12-17実験開始
故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。
しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?
さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
「ふーん、私たちエルフってそうなっているんだ。でも私の場合は前の旦那に大きくされちゃったから、どうなんだろうねぇ?」
晩御飯を食べながら今日あった事を話す。
女性だらけだから出来る話なので、意外と突っ込んだ所まで話が進む。
マーヤさんも意外と驚くような事を暴露してくるし。
「へぇ~マーヤ母さんって前に他の人と結婚していたんだぁ~」
「う~ん、結婚とはちょっと違うんだけど、子供は出来たのよ。残念ながら流産になってしまったけどね。相手は人族だったからもうとうの昔に亡くなってしまったの。でも私にはユカがいた。だからユカには「時の指輪」を渡して私の旦那様になってもらったのよ」
「時の指輪」と言うのは私たちエルフの女性が生みだせる特殊な指輪。
同族以外で夫婦や忠誠を誓うに値する人物に出会った場合、自分の「命の木」と連動してその指輪をはめた者は「命の木」がある限り同じ時間を共に過ごせると言うエルフの秘宝。
まさしく愛の結晶である。
ちなみに男性にはそう言ったモノは無い。
なんでも女性は子供と自分を守ってもらうために、男性にも長生きしてもらう為のモノではないかとも言われている。
「マ、マーヤはあの時私に持っていてもらいたいとしか言わなかったのです。私もその頃はよく知らずに受け取ってしまって……」
「でもおかげで今もずっと一緒にいられるでしょう? あの戦いを一緒に過ごして、そして私の事を気遣ってくれるんだもん、ユカに指輪を持っていてもらいたかったのよ」
はいはい、ご馳走さまです。
学園長とマーヤさんの馴れ初めですね。
マーヤさんに以前他の旦那さんがいたってのは驚きだったけど、エルフの中ではよくある事らしい。
同じエルフどうしでも何かの理由で夫婦として分かれて他の人と一緒になったりもする。
まあ、うちのお父さんとお母さんは初めて夫婦になったとか言ってたけど、中には千年くらいで別れたり結婚したりする人もいるそうな。
「しかし、その話ですと残念ながら私には効果は無さそうですね……」
お味噌汁をすすってからお椀を置いて学園長はため息をつく。
「大丈夫だって、ユカのその可愛らしい胸だって私は好きよ。小ぶりでちょうど手に収まる感じは好きだもの」
「なっ///// マ、マーヤ子供たちの前です!」
「おっぱい触ってもくすぐったいだけなのに~、あ、でも姉ちゃんにされると変な感じもするねぇ~」
「いや、ルラにはまだ早いから!」
わいのわいの
最近はマーヤさんの爆弾発言に慣れてしまって、学園長とマーヤさんのやってる事もこうして暴露する時がある。
確かに子供の教育上あまり宜しくはないけど、もう慣れました。
「それで、具体的には何するの?」
さんざん学園長をからかってからマーヤさんはこちらを見て聞いてくる。
私は肉じゃがを咀嚼して飲み込んでから言う。
「えっと、まずは精神面から始めるそうですね。私たちの『命の木』は別世界、どちらかと言うと精神世界に近い場所にあるらしいので物理的に刺激を与えるよりは精神的な刺激の方が効果があるのではないかだそうです」
そう言ってまた肉じゃがを口に運ぶ。
マーヤさんの作る肉じゃがは絶品で、お肉に牛肉を使っているのがまた良い味を出している。
今度作り方を教わろう。
「精神的な特訓ですか? ふむ、そちらも確かに大切です。健全な身体には健全な精神が宿ると言われますからね。リルにルラ、ソルミナ教授の研究経過については着く時報告をしなさい。あなたたちの精神的成長はとても喜ばしい事になるでしょう」
「は、はぁ? わ、分かりました」
「はーい、ユカ父さん~」
「ぐっ、ル、ルラ、ユカ母さんでも良いのですよ……」
こうしてソルミナ教授の研究についてはその都度晩御飯の時に報告する事となった。
* * * * *
「うー、リルが最近私を避けるぅ~」
「ヤリス、いきなり胸揉まなければ普通にします。いくら友達だからってそういうのはいけません!」
翌日教室に行くとヤリスがもう来ていて挨拶前にふくれっ面になっている。
そりゃぁ、毎回あいさつ代わりと言わんばかりに胸揉まれれば警戒だってする。
おかげで教室では周りから変な目で見られてしまっている。
なんか男子生徒なんか尊いモノでも見るかのような紳士な眼差しだけど、きっと引かれている。
私は同性愛者じゃないけど、これって女子高校のノリよりもスキンシップが強すぎて引かれるレベルだ。
だって、放っておけばヤリスったら服の中にまで手を入れて来るから危ない。
「おはよ~ヤリス。宿題写させて~」
「ルラ、あんた結局昨日やってなかったの? もう、だめじゃない!」
「えへへへへへ~、だってお姉ちゃん写させてくれないんだもん。だからヤリスお願い、おっぱい触ってもいいから~」
いやこらちょっと待て。
代価に何言い出すのよ!!
「勿論いいわよ! ルラのおっぱいゲットだわ!! はぁはぁ、ねえルラ、どうせなら私の部屋来ない?」
「こらこらこら! なに人の妹を誘惑してるんですか! ルラもルラよ、仕方ないから私の写させてあげるからおっぱい揉ませちゃだめ!!」
駄目だ、このままでは妹の操のピンチだ。
指をくわえて残念そうにしているヤリスを横目に私は宿題をルラに写させるのだった。
* * * * *
「来たわね? さてと、それじゃぁ早速始めましょうか」
放課後ソルミナ教授の研究室に行くと既にアニシス様も来ていた。
おつきの男の人たちは何故か部屋の外で扉の横で立たされている。
中に入らないのかと聞いたら「女性限定の研究らしいのでここで待たせてもらいます」とか言っていた。
確かに、男性がいるのはまずいもんねぇ~。
そんな事を思っていたらソルミナ教授から薄い本を手渡された。
「なんですかこれ?」
「まずは精神的に高揚してもらう必要があるかなってね。シェル経由で手に入れた異界の指南書よ。複製だけどちゃんとこちらの言語に翻訳されているから大丈夫よ」
そう言って渡された薄い本を見ると……
「駄目ですこれっ! 18禁って書いてあるじゃないですか!! これってどう見てもあの本じゃないですか!!」
「うわぁ~、みんな裸だぁ~」
「ルラにはまだ早いぃっ!!」
ばっ!
私は慌ててその薄い本をルラから取り上げる。
これって完全に夏とか冬の祭典で出回っている有志による二次創作のお話を薄い本にしたやつじゃないの!!
しかもBとLのやつとか、お坊さん系とか、中には半ズボンものまで!!
「こ、これは凄いわね! 参考になるわ!!」
「あらあら、こう言うのも良いですわね? ほほう、半ズボンはつるつるなのですわね?」
いやそこ、何便乗してしっかりと読んでいるのよ!!
「ソ、ソルミナ教授、いくら高揚が必要だからってこれは」
「良いじゃないの、私の秘蔵を持って来たのよ? この兄妹モノなんて萌えない? 特に兄が妹を凌辱するやつ。いやよいやよも好きのうちって感じでだんだんと開発されちゃうやつ!」
開発しないでください、永遠に!
なんていうもの持ち出すのよ。
いや、分からなくはないわよ?
でもいきなりこれはまずいでしょうに!!
「あ、正義の味方と悪の女司令官のもある~。これ見たい~」
「駄目です! ルラにはまだ早い! しかも誰だこんなマニアックなの喜んで読むのは!?」
ルラもヤリスたちに混じって本を手に取ろうとするのを阻止する。
まだまだ秘蔵の薄い本を取り出すソルミナ教授に右往左往する私だったのだ。
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