12-14研究開始
故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。
しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?
さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
リルとルラのいけない姿~
ぐへへへへへへぇ~(妄想中のヤリス談)
私たちはソルミナ教授の研究の助手をする事により悲願であった豊胸手段が分かりかけて来ていた。
「邪念が多すぎます、そこっ!」
ばしゅっ!
「ひゃうっ!」
「お姉ちゃん! ぶっ!!」
とは言え日課の稽古は外せなく、学園長のはからいで稽古の時間を朝一にしてもらっていた。
学校へ行く前、朝ごはん前に学園長に稽古をつけてもらうのだけど、相変わらず学園長の攻撃をよけきれない。
最近は魔力の操作も慣れて来ていて、【念動魔法】もうまく使えるようになってきていた。
心なしか、魔力自体も増えているようで結構魔法を使っても魔力切れは無くなっていた。
だけど、それで学園長のあの攻撃をかわせるわけではない。
もうね、手加減なしなのよ。
いくら【念動魔法】で手足の重りを動かしても元々の学園長の攻撃が凄過ぎて到底さばききれない。
正直下手な魔物なんて目じゃないその攻撃に私もルラも【炎の矢】をお腹あたりに喰らう。
ほんと、この制服を着ていなかったらどうなっている事やら。
対魔処理がされているこの可愛らしい制服で魔法攻撃を受けるとその効力を消してくれるけど、衝撃とか何かとかが消える訳じゃない。
なのでもろに入ると結構きつい。
「今朝はここまでにしましょう。だいぶ【念動魔法】は扱えるようになてきましたが、まだまだですね。精進するように」
「「あ、ありがとうございました……」」
私もルラも頭を下げて礼をする。
学園長曰く、何事も「礼に始まり礼に終わる」らしいので、稽古が終わると何時もこうする。
「ふえぇ~、流石ユカ父さんだよぉ~いくら避けてもその先を読まれちゃって『最強』使っても攻撃を避けきれないよぉ~」
「ルラ、あんたのスキル使ってもよけきれないの?」
ちょっと驚き。
ルラのチートスキル「最強」は相当なもので、今までそのスキルで出来なかったことは無いのじゃないかってくらいなのに。
「ルラのスキルは基本身体能力やルラの行動を強化するもののようです。しかし意識が強化されるわけではありません。スキルにばかり頼ると私の攻撃を避けようとする意識が顕著に現れ動きの予想が容易になってしまうのです」
学園長はそう言いながら刀を鞘に納める。
ぱちん
「それって先読みってことでしょうか?」
「厳密には少し違いますが、あなたたちはまだまだその辺が弱いですからね。達人と対峙されればあなたたちの動きは容易に読まれてしまうでしょう」
いや、私たちの目的はこのチートスキルをうまく使えるようになって押さえるのが目的なんじゃなかったっけ?
そんな武芸の達人になるのが目的じゃないんですけど……
「みんな朝稽古は終わったかしら? 朝ご飯出来てるわよ~」
「わーい、朝ごはんだぁ~」
ルラは両手をあげて喜ぶ。
私も土ぼこりを払っているとマーヤさんがエプロン姿でお玉持ったままやって来ていた。
ニコニコ顔のマーヤさんからタオルを受け取り顔を拭く。
「あらあら汚れちゃったわね。【浄化魔法】」
マーヤさんは私たちを見ながら【浄化魔法】をかけてくれて服の汚れなんかも奇麗にしてくれる。
「ありがとうございます」
「いいの、いいの。女の子なんだもん、奇麗にしなきゃだものね~。 でもご飯の前にはちゃんと手を洗うのよ?」
そう言われ、部屋に戻って手を洗ってから朝ごはんをいただくのだった。
* * * * *
「うーん、せっかくルラとリルのいけない姿が拝めると思ったのに、残念ね」
「あの、ヤリスって何を想像していたの?」
教室に着くとヤリスがもう来ていた。
隣に座って講義の準備をしているとヤリスは机に突っ伏して顔を上げ心底残念そうに言う。
「え~、リルとルラの裸くらいは見れるかなって期待したのに~。もしかしたらそれ以上にいけない事とか有ればラッキーかなって」
「何を期待してんですか、ヤリスは! 大体にしてそれだけ立派なモノ持っていれば私の貧相な胸なんか見てもつまらないでしょうに」
ヤリスは十六歳って言ってたけど、かなり立派なモノをお持ちだ。
たぶん前世言う「C」以上じゃないだろうか?
だって服を着ていてもしっかりと揺れるし、双丘の形状だって見て取れるくらい。
これってただ胸が膨らんでいるだけじゃならない現象。
しっかりとした大きさがあって、下着をつけていても谷間に服が沈みこむくらいの大きさが無いとならない現象だ。
「ヤリスってあたしの裸見たいの?」
「見せてくれるの!?」
「別にいいけど、お姉ちゃんに人前で服脱いじゃダメって言われてるから一緒にお風呂入るならいいよ~」
「ちょっと待ちなさいルラ、いくら女の子同士でも何言ってるのよ?」
この娘には羞恥心ってモノがないのか?
そりゃぁ女の子同士でお風呂入るのはいいけど、わざわざ裸を見せる為にお風呂入るって何よ?
と言うか、最近なんかヤリスがやたらと絡んでくるのは何故?
「はいはい、受講を始めますよ~。今日は魔力の基礎伝達についてですよ~」
そんな事を思っていたらソルミナ教授が入って来て今日の座学が始まるのだった。
* * *
「さて、今日の受講も終わったし、ソルミナ教授の研究室へ行きましょ!」
「いや、何でヤリスがやる気満々なんですか?」
「今日は何やるのかね~?」
午後の本日の受講も終り、私たちはソルミナ教授の研究室へ向かっていた。
この研究室の建物には他の教授たちの研究室もあって、時たま爆発なんかも起こっているらしい。
一応建物にも耐魔処置をされているらしいので被害は最小限に抑えられてはいるらしいけど。
「あら、あなたたちは確かですわ……」
ソルミナ教授の部屋に着く前に上級生らしい女性がたくさんの書類を持って私たちとすれ違う。
この女性の他にも数名男子生徒がいたが、同じように沢山の書類を持っていた。
「アニシス様……」
ヤリスは彼女を見ると心底嫌そうな顔をする。
しかしアニシス様と呼ばれた彼女はにっこりと笑って軽く膝を沈める挨拶をする。
「ごきげんようですわ、ヤリス。ヤリスも何処かの研究室に行くのですの?」
「アニシス様、ごきげんよう。 私はソルミナ教授の研究室へ行くところです」
「まあ、ソルミナ教授ですの? また何か素晴らしいモノの研究をするのですの?」
アニシス様はそう言って目を輝かす。
なんかどこかの人を思い出すなぁ……
年上っぽい感じのアニシス様と言う人は貴族の挨拶をしていた所を見るとヤリスと同じく貴族か何かなのだろう。
やや赤みがかった金髪に碧眼、こめかみの横にトゲのような癖っ毛が左右一つづつ。
凄い美人だけど何だろう、何となくエルハイミさんを思い出してきた。
「今はこの娘たちが研究に協力しているので私もそれを見に行くところです。こちら、エルフの村から来たリルとルラです」
ヤリスはそう言って私たちをアニシス様に紹介する。
「あ、リルです。こっちは双子の妹ルラです」
「ルラだよぉ~、よろしく~」
「まぁまぁ、エルフの学生さんとは珍しい。お初にお目にかかりますわ、私アニシス=ルド・シーナ・ティナと申しますわ。ヤリスとは遠い親戚なりますわ」
ニコニコ顔でそう言うアニシス様。
ヤリスと遠い親戚ねぇ~。
道理で気品がある訳だ~。
……ん?
赤っぽいけど金髪で、こめかみの横にトゲのような癖っ毛?
「あのヤリス、もしかしてこちら様もエルハイミさんの……」
「そうよ、アニシス様もエルハイミ様の直系の子孫よ、しかもティナ王国の第一王女。もう何度もエルハイミ様やシェル様にお会いしているのよ!」
うっわぁ~。
またエルハイミさん絡みか。
なんかこっちのサージム大陸って王家にエルハイミさんの子孫多すぎじゃないの?
「あらあらあら~、お会いしてはいますがそれ程頻繁にお会いできるわけじゃありませんわ~、まだ五回ほどですもの♪」
「くっ、アニシス様はティナ国におられるからでしょうに! 我がガレント王国にだってエルハイミ様やシェル様は来られてますよ!」
「あ、あのヤリス?」
なんかエルハイミさんに会う回数でもめてるの?
いや、別にあの人に会ったからって何か変わる訳じゃないし、むしろ何かのトラブルに巻き込まれる方が多いんじゃ……
「あら? 珍しい顔ぶれね。どうしたの?」
何となくにらみ合い始めたヤリスとアニシス様が廊下を塞いでいるとソルミナ教授がやって来た。
手には植木鉢を持って。
「ん~、とりあえず私の研究室へ入りなさい。廊下でにらみ合ってるんじゃ通行の邪魔になるわよ?」
ソルミナ教授はそう言って研究室の扉を開くのだった。
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