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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十二章:留学
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12-4転移

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


いってきまぁ~す!(ルラ談)


「それじゃ、行ってきますねお母さん、お父さん」


「頑張るのよリル、ルラ。何か有ったらマーヤにちゃんと言うのよ?」



 お母さんはそう言ってマーヤさんを見る。

 マーヤさんは頷いて私とルラの肩に手を載せる。


「安心して、レミン。この子たちの面倒はしっかりと見てあげるから」


 私たちは転移のゲートまで来ていた。

 昨日はイチロウ・ホンダさんの美味しい料理をたらふく食べさせてもらい、餞別でお醤油とお味噌も貰った。

 もっとも、これからお世話になる学園長の家にもお醤油とかお味噌はあると聞いていたけど、もらえるものはもらっておいて損はない。


 見送りでは何とファイナス長老も来ていたのには驚いたけど、学園長とは古い友人とも言っていたのでそっちがメインなのかもしれない。


 

「それじゃ、行くわよ? みんな魔法陣の中に入ってね」


 マーヤさんはそう言って私たちを呼び寄せて魔法陣の中に入れる。

 そして呪文を唱えながら魔力を込める。

 

 途端に足元から光のカーテンがせり上がって来る。


 見送りにはお母さん、お父さん、ファイナス長老にアレッタさん、ソルガさんもいた。

 お父さんは涙目だけど、そんなお父さんの頭を撫でているお母さんはしっかりとこっちを見て親指なんか立ててくれている。


 うん、お母さんがいればお父さんは大丈夫か。


 そんな事を思っていたら光のカーテンが完全に私たちを遮った。

 そしてまたカーテンが下がって来るとそこは薄暗い石壁の部屋だった。



「本当に転移したんだ! 凄い凄い!!」


「エルハイミさんたちに巻き込まれた時とは違いますね、なんかあまりにも呆気ないと言うか」


「ふふふっ、このゲートは人族がその昔作った魔道具なのよ。それを真似しようとしたエルフ族はうまく行かず代わりにあなたたちも持っている魔法のポーチを作り上げたのよ?」



 マーヤさんはそう言ってポンと手を叩く。

 すると完全に光のカーテンは消えて足元も魔法陣も光を消す。



「さあ着きました。二人ともこちらに来なさい」



 学園長はそう言ってたくさん魔法陣が書かれたこの部屋を出ていく。

 私とルラは顔を見合わせて慌ててその後に付いて行くのだった。



 * * * * *



「こ、これは……」



 かこーん!



 ししおどしの音が鳴り響く庭が見える。

 そして上がれと言われたその部屋は完全に日本の家だった。



「うわぁ~廊下の奥の部屋って畳だぁ~」



 ルラの言う通り、ふすまの向こうは畳部屋でその奥に日本庭園があってししおどしがかこーんとか鳴っているのが見えた。

 まさか異世界で日本の家に来る事になるとは。



「どう? エルフの村とは違うけど今後あなたたちはこの家に住むのよ?」


 マーヤさんはそう言って荷物を奥の部屋に置いてきたようだ。

 そして学園長と客間らしき所へ行くと座布団が敷かれていた。



「さて、リルとルラにはこの家で生活してもらいます。きっちりと鍛えますので覚悟するように」


「あ、あのぉ~いったい私たちは何をさせられるのでしょうか?」



 座布団に正座させられながら学園長の前に座らせられる。

 正座なんて久しぶりだけど、学園長もぴっちりと背を伸ばして座っているのでつい私たちもそれに習ってしまう。



「あなたたちにはこの世界についてもっと理解してもらうと同時に心身ともに鍛えます。特にあなたたちの持つスキルは使い方によっては危険なものになりますからどんな状況でも平常心が保てるようになってもらいます。同時に魔法についても更に深く理解してもらう事になりますから座学もしっかりと学ぶように」



 そんな事を言っているとマーヤさんがお茶を入れてくれた。

 

「まあまあ、ユカ。リルもルラもまだまだ幼いんだから。リル、ルラゆっくりでいいから覚えましょうね~。お母さんがしっかりと教えてあげるからね」



 既にマーヤさんはお母さんモードになっているぅっ!?



「マーヤ母さん、あたしたちって何処に寝るの?」


「はいはい、ルラたちはこっちのお部屋よ~。この話が決まってからしっかりと準備したのよ!!」


 そう言ってマーヤさんは私とルラの手を取って立ち上がらせ、廊下の向こうの部屋に引っ張って行く。



「あ、マーヤまだ話は終わっていないのですよ?」


「まぁまぁ、そう固い事言わないのユカ。ほんとユカお父さんは口うるさいんだから~」



 びきっ!



 マーヤさんがそう言うとなんか学園長が白く固まっている。



「わ、私が父親役なのですか!? は、母親役では無いのですか!?」


「ユカにお母さん役は合ってないわよ? いっつも小言が多いし、厳しいしね~。お母さん役は私に任せてね~」


 にこにこ顔にマーヤさんに対して学園長は何故か下を向いてぶつぶつ言っている。


「わ、私だって子供を育ててみたいですし、良妻賢母を目指してみたいのに…… お、お父さん役ですか……この私が……」


 あれ?

 なんかダメージを受けている?




 そんな学園長を他所に私たちは新たな生活を送る我らが我城へと向かうのだった。 



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


*申し訳ございませんが、私生活がまだまだ忙しくなっておりまして更新はしばらく不定期とさせていただきます。

読んでいただいている方にはご理解いただけますようお願い申し上げます。


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― 新着の感想 ―
[一言] >「わ、私だって子供を育ててみたいですし、良妻賢母を目指してみたいのに…… お、お父さん役ですか……この私が……」 エルハイミ「………………じ〜〜〜〜〜〜」(在籍中に厳しくされたアレコレを…
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