11-28魔法学園ボヘーミャ
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅をしてやっと帰って来られたのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
学校にまた行けるのかな?(ルラ談)
私たちが異世界からの転生者であることが暴露され、そしてスキル持ちであるのが普通のスキルではないので危ないからちゃんと制御できるようになる為に魔法学園で勉強して来いとファイナス長老は言う。
「あ、あの、私たちちゃんとスキルを扱えていますよ?」
「う~ん、学校に行くの??」
私とルラは思わずファイナス長老にそう言う。
するとファイナス長老は静かに頷き、話始める。
「確かにあなたたちはエルフとしては若木で幼子です。しかしあのイージム大陸から自力で帰って来られた。それは渡りのエルフの協力だけでは無いのでしょう? そのスキル、異世界召喚者のギフトにも勝るのでしょう?」
ファイナス長老はそう言ってじっと私たちを見る。
私は仕方なしに頷く。
「はい、確かに私たちのスキルは異様に強いと思います。黒龍のコクさんにはこの力の出元はエルハイミさんのそれと同じと聞いてます」
私が素直にそう言うと流石にファイナス長老も驚きを示す。
「黒龍がですか、となればそれは事実なのでしょうね。ますますその力をしっかりとコントロールしてもらわなければエルフの村だけでなく、この世界自体に影響が出てしまいそうですね」
ファイナス長老はそう言って大きくため息をついてユカ・コバヤシさんを見る。
するとユカ・コバヤシさんは頷いてから話始める。
「学園には同族の教授もいますから大丈夫でしょう。もっとも、この二人は久々に私が自ら指導をします」
ええとぉ~、もう既に私たちの意思は関係なくしかも直接指導するのが学園長?
ファイナス長老、この人の事「英雄」とか言っていなかったけ?
「ファイナス長老、理解は出来ますが納得できません! いくらこの子たちに特殊な力がありそれだ強大だからと言ってボヘーミャに行かせるだなんて!」
お母さんは黙っていたけど流石に我慢できなくなって割って入って来た。
せっかく帰って来たのにいきなり力の制御の為に学園に留学しろってのも確かに唐突過ぎる。
「ファイナス長老、もう少しちゃんと話しあってもらえませんか? やっとリルもルラも戻って来たと言うのに、しかもこんな若木をボヘーミャに行かせるだなんて」
お父さんもそう言って私たちの前に出て来る。
しかしファイナス長老は首を振って言う。
「このままリルとルラがスキル持ちの異世界転生者とメル様にばれたらどうなりますか? 学園に留学程度の話では済みませんよ?」
「「うっ……」」
いやあの、お母さんもお父さんもいきなり唸ってしまうのってどう言う事!?
メル様ってそんなにヤバいの?
学園に留学する以上になんかやばいのぉ!?
「どちらにせよその力はしっかりと制御できなければ問題となります。いくら転生者とは言え感情のコントロールがしっかりできるかどうかわからない若木、ここはユカ・コバヤシに任せしっかりとそのスキルを制御できるようになってもらうのが得策と思います。勿論その間にメル様は私の方から説得をしておきますが……」
いやいやいや!
それって結局メル長老が問題って事!?
「ファイナス市長、任せてください。久々に鍛えがいのありそうな子たちですから、しっかりと教え込んであげましょう」
ちょっとそこっ!
なにユカ・コバヤシさんまでやる気になってるの!!
「まあ、そのなんだ。頑張るのだぞリルにルラよ」
ずっと成り行きを見ていたソルガさんはそう言ってポンと私とルラの頭の上に手を載せるのだった。
* * * * *
「魔法学園ボヘーミャに留学ねぇ~。まあ、あそこは色々と学ぶのには確かに良い所だけど。そう言えばマーヤさんやソルガ兄さんの妹、いとこのソルミナ姉さんもいたっけ」
なんだかんだ言って家に戻って来ていた。
そしてシャルさんが遊びに来ていた。
シャルさんに私たちは今までの経緯を話すとそれ程驚かずにいてくれた。
「あの、シャルさんは私たちが異世界からの転生者って聞いても大丈夫なんですか?」
「うん? 転生者はこの世界でもあの人の所に良く現れるからそれ程驚く事じゃないわね。彼自身も何度も転生していたしね。それに、彼もどうやらあなたたちの世界から転生して来たらしいしね」
お土産の珍しい果物とかを出しながらシャルさんに話をしていると、それを口に放り込みながらあっけらかんとそう言う。
もしかして、この世界って私たちのいた世界からの転生者って多いんじゃないだろうか?
あの駄女神、ちゃんと仕事しないで面倒事全部こっちの世界に押し付けているんじゃないだろうか??
私はため息をつきながら更にいろいろと出していく。
それはエルフの村では珍しいものとか、手に入りそうにない物とかを。
それらを並べていくとシャルさんは私に聞く。
「それで、何時あっちに行っちゃうの?」
「ええと、二週間後には出発なんですよ。だからせめて親孝行で外の世界で掻き集めた美味しい物をシャルさん含めて皆さんにも食べてもらいたいなと思いまして」
結局ファイナス長老とユカ・コバヤシさんに押し切られる形で留学が決まってしまった。
勿論お母さんもお父さんも反対だったけど、学園にいるエルフが面倒を見てくれたり、何か有れば転移のゲートを使ってすぐに学園には行けるからと言う事で渋々同意をした。
せっかく戻って来たのにと言う気持ちと、学園等と言う言葉に正直に言うとちょっとワクワクしている。
何せあっちの世界では恋の一つも咲かせぬまま散ってしまった身。
やはり学園と言う響きには引き付けられるものがある。
「学校かぁ~、そう言えばあたしも学校に通い始めたばっかだったんだよなぁ~」
「そう言えばルラはあの時まだ一年生だったよね? 入学したてだもんね」
「あっちの世界で学生やっていたのあなたたち? ねえ、そっちの世界ってどんなの? 色々聞かせてよ」
珍しくシャルさんも興味を持ったらしく私たちに色々と聞いてくる。
私とルラはシャルさんにあっちの世界の事をいろいろと話始めるのだった。
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