11-27:バレたぁっ!
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと戻ってはきたのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
どどどどどど、どうしようっ!?(リル談)
「な、何故それを……」
思わず私はそう口走ってしまい、ハッと気付いて口に手を当てる。
しかしそれは肯定する事となる訳でみんなの視線が私に集まる。
「リル? あなた、まさか本当に異世界の転生者なの?」
お母さんは怪訝そうな表情でそう聞いてくる。
どきっとさせられながらお母さんから思わず視線を外す。
「ふむ、図星のようですね。これですべてのつじつまが合いました。リル、ルラ、怒っているわけではありませんから正直に話しなさい」
ファイナス長老はそれでも静かにそう言う。
しかしその静かな物言いは半強制的にこの事実を認めろと言う事で、結果私たちの立場が非常に危うく成る訳であった。
「う~ん、異世界転生ってよくわからないけど、あたし以前は日本人だった記憶はあるよ~」
「うぉいぃ、こらそこぉっ!!」
人がどうしよか思案に苦しんでいるとルラはあっさりとその事を認めて暴露する。
思わず突っ込みを入れてしまって私はハッとしてちらりとみんなを見る。
それは完全に私たちが異世界転生者と言う事が知られてしまった瞬間だった。
「ファイナス長老、うちの子たちが異世界転生者って言うのは一体どう言う事なんですか!?」
お母さんは私ではなくファイナス長老に食って掛かる。
そりゃぁ自分の娘たちが何処かの誰かの転生者ともなればショックだろう。
しかしファイナス長老はそんなお母さんを片手をあげて静まらせる。
「レミン、あなたが驚くのも無理はありません。しかし前例があるのですよ、異世界からその魂だけがこちらの世界に来て、この世界の住人として転生をすると言う事実が」
ファイナス長老はそこまで行って黒髪の日本語をしゃべった人、確かユカ・コバヤシさんの方を見ると彼女は何も言わず頷く。
もしかしてこの人がそうなのかな?
私がそう思っているとファイナス長老はゆっくりと話始める。
「異世界転生をしたからと言ってリルとルラがレミンたちの娘であることに変わりはありません。ただ、問題はそのスキルですが、多分普通のスキル持ちとは比べ物にならないレベルのモノだと言う事です。通常スキル持ちはその固有スキルが上級魔法程度のモノです。確かに普通では凄い事ですがそれはあくまでも人としての範疇。しかし今までの報告を聞く限り、リルとルラのスキルは異世界召喚者のギフトに並ぶ威力と判断できます。それは以前この世界に異世界転生した現在の女神と同じ状況なのです」
「はぁっ!? エルハイミさんが異世界転生者だって言うんですか!?」
ファイナス長老のその説明で私は思わずそう叫んでしまった。
私たちが死んだときに最初に現れた駄女神はエルハイミさんの姿だった。
後で気付いたけど、あの駄女神はこの世界の女神、エルハイミさんの姿形をまねした更に上の存在、「あのお方」とか言うモノだったらしい。
「あのお方」はもの凄い力を持っていて、私とルラにチートスキルを与えこの世界にエルフの双子として転生をさせた。
本来ならやり残したことがたくさんあるあっちの世界で生き返らせてもらいたかったけど、あっちの世界の私たちの身体は既に火葬場で燃やされて亡くなってしまい、復活は出来ないと言われた。
なのでほぼ強制的にこっちの世界に来たわけだけど、私とルラには赤ん坊の頃から意識が有ってその事とチートスキルの事を内緒にして今まで来た。
それを今暴露され、同じ境遇だったのがあのエルハイミさんだと言われれば変な声だって上がってしまう。
「リル、ルラ、あなたたちが異世界からの転生者だったなんて…… 確かに年の割にはやたらと落ち着いていたし、物分かりが良かったけど、まさか転生者だったなんて……」
「あ、え、そ、その、ごめんなさい……」
動揺するお母さんに私は思わず謝ってしまった。
今まで自分の娘だと思っていた者が転生者で他の人物だってわかれば相当ショックだろう。
私やルラはそれを知っていて今までお母さんとお父さんを、いや村のみんなを騙していたことになる。
「ごめんなさい。確かに私とルラは異世界からの転生者です…… でも、私たちはお母さんたちの娘のつもりで、その……」
私がそう言いかけたその時だった。
ふわっ
ぎゅっ!
「へっ?」
「んにゃ??」
いきなりお母さんが私とルラを抱きしめて来た。
それも痛いくらいに強く。
「あ、あのお母さん?」
「お母さん痛いよ~」
それでもお母さんは私たちをぎゅっと抱きしめて離さない。
「例えあなたたちが以前他の誰かであっても今は私の大切な娘たちです!! 転生者か何だか知らないけどリルとルラは私がお腹を痛めて産んだ私たちの娘です!!」
ぎゅううぅ~
お母さんはそう言て更に私たちを強く抱きしめる。
そして驚いた事にそんな私たちをお父さんも抱き寄せる。
「そうだよ、たとえ以前誰であってもリルとルラは私たちの大切な娘だ!」
お母さんだけでなくお父さんもそう言ってくれる。
私はそれにもの凄く驚く。
「あ、あの、今まで二人を私たちは騙していたんだよ? それでも許してくれるの??」
「許すも何も二人は最初から私たちの娘よ! リルもルラも大切な私たちの娘なの!!」
お母さんはそう言ってまたまたぎゅっと私たちを抱きしめる。
ちょっと苦しいけど、なんだか肩の荷が下りたような安心感が一気に心に広がって来る。
今までの後ろめたさが一気に許されたような気分になって来る。
「どうやら誤解をさせてしまったようですね。私はリルとルラをとがめるつもりも何もありません。それにレミンとデューラには事実を先に理解してもらう必要があると思ったのですよ」
ファイナス長老はそう私たちに語り掛けて来る。
どう言うつもりなんだとそちらを見るとファイナス長老はとんでもない事を言いだすのだった。
「ですからしばらくの間、二人にはその危険な力を制御してもらうためにこちらのユカ・コバヤシに預ける事とします。二人には魔法学園ボヘーミャに留学してもらいます」
「はぁっ!?」
「ふえ??」
私とルラの驚きの声がこだまするのだった。
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