11-8水田
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
何処かなぁ~?(ルラ談)
現在ここ水上都市スィーフは特産物である米の田んぼに田ウナギの魔物が発生して大問題になっていた。
水田は西に面したリザードマンの領域にあって、何と水田の管理をしているのはリザードマンたちだと言うのだ。
「パキムさん、なんでリザードマンたちが水田の管理なんかを?」
『うむ、リザードマンはもともと狩猟民族だったのだが、人族との和平が結ばれてから養殖などの技術を人族に教わり生活が安定したのだ。しかし生活が安定すると今度は人口が増えてな、結果その特性を生かして稲作の管理をするようになったのだよ』
うーん、確かにリザードマンは水田とかでその能力を十分に発揮で来そうだ。
「じゃあ、パキムさんたちが田植えとかするの?」
『集落の女どもがその辺をやってくれるな。男は主に水の管理や害獣駆除、刈り入れ時の手伝いがメインだな。その後の処置は人族がやってくれるがな』
パキムさんはそう言いながらシュルシュルと舌を出し入れする。
そして引き連れらたそこは一面水田だった。
『ここは一年中米の生産が出来る場所だからな、隣で田植えをしながら水を抜いた田んぼでは刈り入れをすると言った感じで一年中米の栽培が出来る。もっとも、数年に一度は土地を休ませるためにため池にして魚を放流し養殖もするがな』
パキムさんの説明通り田植えしている横で稲刈りしてたり、網で魚を掻き集めているリザードマンたちがいる。
三度笠かぶっていたり、ほっかむりの手ぬぐいしたりとやたらと様になっているのがちょっとおかしい。
「へぇ~凄いですね。それであの田ウナギって何処に?」
『奴等は夜行性でな、前回の様に昼間に動いているのは稀だ』
そう言ってパキムさんはシュルシュルと舌を出し入れする。
うーん、夜行性かぁ。
私たちも暗い所はある程度大丈夫だけど、夜に退治に来るのは大変だ。
なので田ウナギが潜んでいそうな場所を聞いてみる。
「あれだけ大きな田ウナギです、日中は何処に隠れているんですか?」
『それが分からんのだよ。奴等は夜に獲物を捕らえようと湿地帯をうごめいているらしいのだが、最近はこの田んぼに現れるようになった。以前はほとんどここへは来なかったのだがな』
そう言いながらぐるりと水田を見回す。
確かのもし水田に潜んでいるならあの巨体だ、すぐに分かりそうなものなのに。
それが一匹や二匹じゃないらしい。
「そうすると夜を待つしかないのですかね?」
『うむ、奴他の居場所が分からなければそれしかないだろう』
どうやら持久戦になりそうだ。
私も水田を見またしながらその姿を探してみるのだった。
* * * * *
「お姉ちゃん、お腹すいたよぉ~」
「うーん、やっと暗くなったけどなかなか現れませんね……」
『うむ、通常は日が暮れた頃に動き出すのだがな、なかなか姿を現さないな』
田んぼの端っこで夜になるのを待ってずっとぼうっとしていた。
しかしいざ暗くなり始めても一向に現れる様子がない。
携帯食とかを引っ張り出しながらルラに手渡し私もそれをかじる。
パキムさんは何やら干した魚を食べている様だ。
田んぼの作業をしていたリザードマンたちも既に仕事を終えて帰り支度をし、個々に散らばり始めていた。
田んぼのあぜ道でそんな風景を見ていた私たち。
しかしいきなり地震が来た。
「うわっ、地震?」
「ほんとだ、揺れてる??」
『ふむ、地震とは珍しい』
ゆらッと来たそれはしかし収まるどころかどんどんと揺れが激しくなってゆく。
「って、何ですかこの揺れ!?」
「お姉ちゃん!!」
驚き立ち上がるとその揺れはさらに激しくなってきて足元の地面がひび割れ始める。
尋常でないその状況にしかし周りの変化がおかしい。
「お姉ちゃん、揺れてるのあたしたちの足元だけだよ!!」
「なっ!?」
『うおっ、これは!!』
驚き地面を見るとひび割れがもっとひどくなってその下からあの茶色とか緑っぽいぬめぬめした肌が現れる。
「こんな所に潜んでいた!?」
「お姉ちゃん!!」
ルラはとっさに私を抱きかかえ他の場所へと飛び去る。
パキムさんも慌てて田んぼに退避してそれを見上げる。
『まさかあぜ道の下に潜んでいたとはな!!』
鎌首をもたげるようにその田ウナギはこちらを見下ろすのだった。
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