11-2サージム大陸
エルフのマズ飯は鉄板!
ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。
そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……
エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
ただいまぁ~(ルラ談)
「んんっぅ~、着いたぁっ!」
ルラはそう言ってツエマの港町に降り立って大きく背伸びする。
私たちは何だかんだ言ってやっとエルフの村がある南のサージム大陸まで戻って来られた。
サージム大陸はイージム大陸と一番近いけど、それでも海を渡って最短でも一週間くらいかかる距離にある。
世界最大の大陸はサージム大陸の北西にあるウェージム大陸。
神話では最初の巨人がそこに腰を下ろしたとか。
そんなウェージム大陸の南にある私たちのサージム大陸は湿地帯や世界最大の大森林などがあり自然が豊かな場所だった。
「やっとここまで戻れたか…… もうあれから一年半以上かかっちゃったね」
「うん、でもいろいろ楽しかったね~」
とりあえずこのツエマの港町で宿をとってこれからの事を考えなきゃいけない。
いくら自分がいた大陸だとは言え、私たちはこのサージム大陸をよく知っているわけではない。
だからまずは情報収集しないといけない。
「取りあえず宿を探しましょう。そして冒険者ギルドとか教会にもいかなきゃね」
「うん、でもその前にお腹すいた~」
ルラはそう言いながらお腹を擦る。
船旅ではVIP扱いでいたけど流石に新鮮な野菜とか果物は食べる事が出来なかった。
食事も豪華で美味しかったけどやはり新鮮味にはかけていた。
なので久々に新鮮な果物とか野菜が食べたい。
私とルラは近くの人に聞きながらメイン通りを目指すのだった。
* * *
「なんかさぁ、同じサージム大陸でもここって感じ違うんだねぇ~」
「そりゃぁ、サージム大陸だって結構大きな大陸だもん。私たちのいたエルフの森とは違う所があるわよ?」
とりあえず手ごろな宿が見つかった。
なのでそこで部屋を取りこれから向かう水上都市スィーフについていろいろと情報を集める。
水上都市スィーフはレッドゲイルやドドスの街と同様かなり古い街らしい。
湿地帯を抜けた所にある街で近くにはリザードマンの部族もいるらしい。
リザードマンて見た事無いのでちょっと気にはなる。
話しでは全身が鱗に覆われたトカゲ人間らしい。
そして水上都市スィーフを北上するととうとう私たちの村がある「迷いの森」に辿り着く。
そこまで行けばあとは何とかなるだろう。
あ、でも、私たちエルフでも迷いの森に入ると結界の効果で迷って森から排出される。
なので門を探さなければならないけど、確かそれって精霊都市ユグリアの方にしか無かったはず。
となると、森を迂回して北にまで回らないとダメかなぁ……
「ん~、お姉ちゃんこれ美味しいよ?」
「え? ああぁ、どれどれ?」
ルラが進める料理に私も手を出す。
お魚のソテーみたいだけど、淡白でさっぱりしていておいしい。
そして一緒に頼んだサラダや果物も新鮮で瑞々しくてとても美味しい。
はぁ~やっぱり新鮮な食材は素材自体がいいから素朴な味でも美味しいわねぇ。
「ん~、美味しい。 っと、ルラこれからなんだけど……」
もしゃもしゃとサラダを食べているルラに話しかける。
ルラはこくんと食べていた物を飲み込み、私の方を向いて首をかしげる。
私はそれを見てから話始める。
「まずは水上都市スィーフを目指しましょう。ここツエマの港町では冒険者ギルドか教会で風のメッセンジャーを借りて精霊都市ユグリアのファイナス長老に私たちが今どこで何をしているかを明確に伝えてからね」
ルラは私の言葉にこくこくと頷きながら聞いていてくれる。
なので引き続き話をする。
「さっき聞いた話ではこのツエマの町の北側にある湿地帯は馬車じゃ移動できないから、徒歩かオオトカゲってのを買って馬代わりに移動しないとダメらしいわ。歩いて行ってもいいけど、今回はオオトカゲを手に入れようと思うの」
正直歩き旅でも良いのだけど、さっき聞いた話だと旅慣れているオオトカゲを買うと何もしないで水上都市スィーフに行ってくれるらしい。
勿論あちらに行ったらまた冒険者ギルドあたりで買い取ってもらう事も出来るので、馭者のいない馬車の様なものらしい。
そしてもう一つは、オオトカゲは人に慣れていると協力をしてくれると言う事らしい。
なんでも人間を仲間として見てくれているので、湿地帯に潜む魔物を感知して警告してくれたり、威嚇してくれるので初動が助かるとか。
そう考えるとお金には余裕があるし、買取もして売れるのならば大いに助かる。
なので私はルラにそう提案する。
「うん、あたしは構わないよ。オオトカゲってのにも乗ってみたいしね~」
「そっか、じゃあ決まりね。とりあえずこの後は冒険者ギルドか教会に行ってみましょう。そして移動の準備が出来たらオオトカゲを手に入れて水上都市スィーフに行きましょう」
残りのお魚ソテーにフォークを刺しながら口に運ぶ。
地元であるはずのサージム大陸でも私の知らない事はまだまだある。
私はもしゃもしゃと料理を飲み込みながらこの後の段取りを考えるのだった。
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